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国内初 踊るiDoll!ロボット/ドローン、自作ガジェット編 Maker Fair Tokyo 2015レポ

2015年08月04日 11時45分更新

 企業出展から個人出展、クラウドファンディング系、価格の付いているものから、「作ってみたので出展してみた」というモノまで。モノづくりを趣味にする人たちの祭典だったMaker Fair Tokyo 2015(以下、MFT2015)。
 これから世に出てくるIoT的なガジェットや、開発キットなどを一望できるイベントとしては、やはり国内随一だ。
 ここでは中編として、MFT2015の展示からジャンル別に気になった出展者を紹介。
※前編のレポートはこちらからどうぞ。 

●ロボット/ドローン編

動きを楽しむロボットドール『iDoll』

Makers Fair Tokyo 2015レポ:中編
Makers Fair Tokyo 2015レポ:中編

 以前からコンセプトモデルということでWebサイトで動画や進捗が発表されていた、動きを楽しむロボットドール。実物を見たのは初めてだと思っていたら、なんとMFT2015での展示が国内初の実機展示だそう。

 詳細は動画を確認していただくとして、とにかくこのドール、わずか15センチの小ささで、めちゃめちゃよく動く。
 台座部分に15個ものサーボが入っていて、スタンド部分を通じてワイヤーで関節を動かしているとのこと。首関節は前後左右に稼働するので、踊る様子はリアル版MMDというところ。 

 モーションについては専用のスマホアプリでつくっていくような仕組み(開発中)や、ネットを通じての配布ができるようにも検討中なのだとか。

 ちなみに設計は、DMM.make ROBOTSでコミュニケーションロボ『BOCCO』の販売を開始したユカイ工学。発売まではあと1年はあると言い、価格も未定だがOEMのキャラクター展開も期待できそうだ。

まるで鳥みたい!? mbedでコントロールする羽ばたくラジコン飛行機

Makers Fair Tokyo 2015レポ:中編
Makers Fair Tokyo 2015レポ:中編
フレームは針金、サーボも小型。自力で羽ばたいてとぶための軽量な設計。

 ある種のハンドメイドロボットという意味で印象深かった羽ばたき飛行機製作工房さんの出展作品。
 ARM系の小型マイコンボードmbedを使って、ダイレクトドライブのサーボをコントロール。羽ばたく速度を左右独立してコントロールすることで、本体わずか約10gという軽さで、鳥のように自分で羽ばたく飛行機になっている。 

 テストでは5分間程度の飛びっぱなしの飛行時間も記録しているとのこと。RCなので当然、飛ぶ方向のコントロールもできる。メンテナンスができる人向けにキット販売してほしい逸品です。
羽ばたき飛行機製作工房のブログはコチラ

・HMDの一人称視点で操縦するレーシングドローン(FPV RACING JAPAN)

Makers Fair Tokyo 2015レポ:中編
レーシングドローン全景。全体的に華奢なつくり。本体制御もレース仕様で、一般的なドローンと違って曲がる際の傾き角度の制御が入らないそう。1回転もできてしまう運動性と引き換えに、上手に飛ばさないと落ちるドローンでもある。
Makers Fair Tokyo 2015レポ:中編
不要なパーツが何もない、削ぎ落とされたパーツ設計がいかにもレーサーなムード。

 数ヶ月前に「スター・ウォーズのようなエアレースだ」と話題なったレーシングドローンによるレース映像。これはドローンレースという名称でとして確率している。

 機体の仕様はF1やMotoGPなんかのレース好きならドハマりそうな内容。
 まず軽量かつ運動性重視に振ったドローンに、カメラを搭載。このカメラは単なる映像撮影用ではなくて、Oculus RiftのようなHMDを装着して、ドローン視点で操縦するためのカメラになっている。このジャンルはFPV飛行(First Person View飛行)と呼ばれているそう。

 夏場のスキー場などクローズドなコースで競技し、スピードは80キロ近く出ることもある。カメラ映像の遅延を尋ねると「遅延はほぼありません」。遅延がないのは、アマチュア無線周波数帯のアナログ電波で飛ばすためだ。逆にいうと、ドローンレースを始めるには講習で取得できるアマチュア無線免許が必要ということになる。 

Maker Fair Tokyo 2015レポ:中編

 価格は案外お安く、エントリーは本体が4万円ほど、カメラとHMDを足しても合計6万円ほどだとか。
 8月8日にはFPV RACING JAPANとしての初のドローンレースプレ大会を佐賀県天山リゾートで開催するとのこと。 

海外のドローンレースの映像。この視点でのレース、迫力満点でしょ。

●自作ガジェット編

ブラシレスジンバル カメラスタビライザー(ステディカムオフ会)

Makers Fair Tokyo 2015レポ:中編

 ビデオ撮影が趣味でアナログのステディカム自作にハマったことがきっかけで、電子制御のジンバル自作も始めてしまったそう。
 制御ソフトは、有志によって開発された『Simple BGC』というソフトを利用している。

Makers Fair Tokyo 2015レポ:中編
Simple BGCの動作画面。

——製品のジンバルを買うより安くできます?
「自前で電子工作ができる人なら、まぁ安くはなりますよ」

——自作した場合のお値段は?
「これでだいたい5万円くらいかな」

——パーツ購入はどの辺りで?
「(中国の通販サイトの)Alibabaと、サーボ系はアメリカのラジコンのECサイトから」

電動インラインスケート『ThundrBlade E-Inline Skate』

Makers Fair Tokyo 2015レポ:中編
Makers Fair Tokyo 2015レポ:中編

 インラインスケートを重量をそれほど変えることなく電動化。夫婦で作っているそうで、取材対応してくれたのは妻のカルバリョ・アレナさん。車軸は前後2輪で、その間にバッテリーとモーターを搭載。出力のコントロールは、電動スケボーなどでもよくあるコントローラー方式。

——電動インラインの操作感ってどんな感じですか?
「電動にしても重さはほとんど変わらないんですよ。エンジニアリングは旦那さんがやってます。
登り坂は当然楽だし、ブレーキもかけられるので下り坂も怖くないんです」

——価格とか発売時期とかは?
「まだ開発中なのでその辺は決まってませんね!」

対決!超反応昇竜拳(ハードウェアとか研究所)

Maker Fair Tokyo 2015レポ:中編

 人間と人工知能で格ゲー対戦したらどうなるか?ハードウェアをハックすることで、スーパーファミコン版のストリートファイターIIを自動操作するAIを仕込んでいる。
 人間と同じ条件で戦うため、画像認識で状況を認識して、コントローラーに信号を送ってキャラクター操作をしてるとのこと。 

 AIといっても機械学習をしているわけではなく、互いのキャラの位置関係に応じて、反応する行動を決めている。「格ゲーをAIで操作する」というのは将棋の電王戦みたいなもので、格ゲージャンルとしても面白い試みかもしれない。
 ゲームメーカーさん、AI対戦の全国大会を開催したら、結構注目されるんじゃないでしょうか? 

光るスマートシューズ『Orphe』(no newfork studio)

Makers Fair Tokyo 2015レポ:中編
Makers Fair Tokyo 2015レポ:中編

 DMM.make入居のスタートアップも出展。操作UIまで含めた実物のデモは初めて見た。Indiegogoでクラウドファンディングが7万6000ドルを集め、目標金額の213%でサクセスしているので、既に商品化は決定済み。今からクラウドファンディングで買う場合、330ドルで購入できる。
 さすがに商品化前提の作りこみなので、完成度が高かった。

 iPadアプリの操作感が良く、iPadの画面上で色を決めてなぞると、実物の靴もその色で光る。色はリアルタイムで反映され、光るパターンは、ストロボやブレス(明滅)、足踏みに応じて光るムーブなど4種類から選べる。一足あたり200個のフルカラーLEDを搭載している。
 出荷は年内を予定している。 

Makers Fair Tokyo 2015レポ:中編
Orpheのデモアプリ。左右独立して、リアルタイムにシューズの傾きなどのログを表示してくれる。
Makers Fair Tokyo 2015レポ:中編
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