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4K動画でもどんどん来い!驚異の12TB外付けHDD『WD My Book Duo』に迫る

2015年07月11日 10時00分更新

 PC用の液晶ディスプレーだけでなく、リビングで利用する大画面液晶テレビでも4K(3840×2160ドット)表示対応製品が増えてきた。デジカメやビデオカメラも“4K”が徐々に注目を集めつつある。特に、4K動画撮影に対応するデジタル一眼カメラは人気で、映像のクオリティーは非常に高く、一度4K動画を見てしまうとフルHD動画でも物足りなく感じてしまう。

 しかし、4K動画撮影を特徴とするデジタル一眼カメラでは、100Mbpsと高ビットレート撮影が可能な製品が多い。必然、動画のデータサイズが非常に大きくなってしまい、1分間撮るだけで750MB以上にもなってしまう。家族旅行や子供の運動会などでは、数時間単位の撮影になることも少なくない。そうなると困るのが、撮影データの保存場所だ。静止画ならPCの内蔵ストレージに保存するのも容易な場合(もちろん量によるが……)が多いが、4K動画ではそうはいかない。1TB程度ならあっという間に埋まってしまい、すぐに容量不足になってしまうだろう。そこで必要となるのが外付けHDDなどの大容量な外部ストレージだ。

 ところで、大容量外部ストレージと言えば、ネットワーク接続の“NAS”を思い浮かべる人も多いだろう。NASはネットワーク経由で複数のPCからデータを共有できるという仕様上、当初より大容量モデルが多く投入されており、10TBを超える製品も珍しくない。それに対し、USB接続の外付けHDDは容量2~3TBの製品が主流で、NASに比べると容量が少ないものが大半だ。しかし、中にはNASに匹敵する大容量製品も存在する。今回取り上げるウエスタンデジタルの『My Book Duo WDBLWE0120JCH-JESN』もそういった大容量USB接続HDDのひとつで、容量は12TBと圧倒的だ。

ウエスタンデジタル
12TBの大容量を誇る、USB 3.0対応外付けHDD『WD My Book Duo WDBLWE0120JCH-JESN』。

 WDBLWE0120JCH-JESNは容量6TBの3.5インチHDDを2台搭載し、RAID 0構成で出荷して12TBを実現している。 また、内蔵HDDは、ウエスタンデジタル製の高品質HDD『WD Red』シリーズを採用。WD Redシリーズは、24時間365日常に稼働することを前提としたNAS向けのHDDで、とにかく品質重視の設計となっている点が特徴。平均故障間隔(MTBF)は100万時間と非常に長く、保証期間も3年とHDDとしては破格の長さとなっている。

 “NASware 3.0テクノロジー”や“3D Active Balance Plus”などの独自技術の採用で、RAID環境での優れた性能や複数台同時利用時の振動による性能低下を防ぐ工夫も施されている点も魅力的だ。NASに比べて稼働時間の短いUSB接続HDDで、このような高品質HDDを採用することはかなり贅沢な仕様と言えるが、そのおかげで一般的な外付けHDDにはない優れた信頼性を実現している。これなら、安心して大容量データを保存できるだろう。

ウエスタンデジタル
本体サイズは、99(W)×157(D)×165(H)mm。幅が広いのは3.5インチHDDを2台搭載するからだ。
ウエスタンデジタル
内蔵HDDはウエスタンデジタルがNAS向けとして展開している高品質HDD『WD Red』シリーズを採用。WDBLWE0120JCH-JESNでは6TBモデルを2台搭載し、合計12TBとなる。
ウエスタンデジタル
HDDは本体上部から簡単に取り出せる。万が一HDDが故障した場合でも、容易に復旧できる。

 WDBLWE0120JCH-JESNは大容量なだけではなく、RAID 0構成にするとアクセス速度が速くなるという点も特徴のひとつ。USB3.0接続のため、もともと内蔵HDDの速度を最大限に引き出せるポテンシャルを備えており、公称読み込み速度は毎秒約290MBと、SSDにも匹敵するほどの速度を実現。ベンチマークテストでは順次読み込み速度で毎秒325.5MB、順次書き込み速度は毎秒295.7MBと、読み込み/書き込みともに公称速度を上回った。ネットワーク接続のNASでは、最も高速なものでも毎秒100MBほど。大容量のデータを転送すればするほど、この速度差が大きく影響し、転送時間が大きく変わってくる。やはりアクセス速度の速さは正義だ。

ウエスタンデジタル
PCとはUSB3.0で接続するため、内蔵HDDの速度を最大限引き出せる。また、USBハブ機能も備えるため、USBポートの少ないノートPCで利用するのも便利。
ウエスタンデジタル
標準でRAID 0構成となっているため、アクセス速度は非常に高速。ベンチマークテストでは、順次読み込み速度毎秒325.5MB、順次書き込み速度毎秒295.7MBと、公称値を上回る速度を発揮した。

 ところで、WDBLWE0120JCH-JESNは出荷状態ではRAID 0構成だが、専用ユーティリティー『WD Drive Utilities』を使えば、RAID 1構成や2台のHDDを個別のHDDとして利用するJBODにすることも可能。中でもオススメしたいのが、RAID 1構成での利用だ。RAID 1構成では利用できる容量が総容量の半分(WDBLWE0120JCH-JESNの場合、6TB)になるが、2台のHDDに同じデータを並列記録するため、もし一方のHDDが壊れたとしても、データが失われることがない。

 それに対し、RAID 0では最大限の容量が活用でき、アクセス速度も非常に速くなるが、データを2台のHDDに分散記録するため、一方のHDDが壊れると保存したデータのすべてが失われてしまう。つまり、データ消失の危険度がHDD単体利用時に比べて2倍に高まってしまうことになる。家族の写真や動画は失いたくない非常に大事なデータだ。そういった大事なデータを保存するなら、いくら信頼性に優れるHDDを利用しているとはいえ、やはりRAID 0での運用は避け、安全なRAID 1環境で利用するべきだと思う。

 しかも、WDBLWE0120JCH-JESNなら、RAID 1構成で使ったとしても、6TBと十分に大容量。その上、ハードウェアRAIDコントローラーを搭載するため、RAID 1構成でも速度低下を最小限にとどめられる。ベンチマークテストでも、HDD単体運用時と比べてほぼ遜色のない速度が記録できた。

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専用ユーティリティー『WD Drive Utilities』でRAID構成を変更可能。2台の内蔵HDDを個別に利用したり、優れた冗長性を確保するRAID 1構成などに変更できる。
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RAIDを使わず、それぞれ単体のドライブとして使うJBODモードでの速度。順次読み込み速度、順次書き込み速度ともに毎秒170MBを超える。
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こちらはRAID 1構成での速度。ハードウェアRAIDコントローラーの搭載により、単体利用時とほぼ遜色のない速度となっている。

 この他にも、256bit AESハードウェア暗号化機能で安全性を高める仕組みや、無料で利用できるPCバックアップソフトが用意されるなど、外付けHDDとしての魅力が高い。唯一の懸念材利用となるのが価格だろう。WDBLWE0120JCH-JESNの実売価格は9万2500円前後とかなり高価で、そうそう気楽に買える製品ではない。それでも、単体で12TBという大容量を実現するUSB接続HDDは他にはなく、とにかく容量重視で外付けHDDを探しているならイチオシの製品と言える。

ウエスタンデジタル
WD Drive Utilitiesでは内蔵HDDの健康度もチェックできる。このほかにPCバックアップソフトなど、各種ユーティリティーソフトも用意されている。

 なお、WD My Book Duoシリーズは容量12TBモデルのほか、8TB、6TB、4TBのモデルをラインアップ。8TBモデルは6万5500円前後、6TBモデルは4万8000円前後、4TBモデルは4万1000円前後となる。12TBが不要な場合には、安価な低容量モデルをオススメしたい。

■関連サイト
ウエスタンデジタル WD My Book Duo製品ページ

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