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“相撲×ミュージカル”の前代未聞ドラマがdTVで配信決定!落合賢監督に独占インタビュー

2015年07月10日 18時30分更新

“壁ドン”はないけど、“床ドン”はある。

 相撲とミュージカルがあわさるだなんて……。そんな夢か現実か一瞬とまどうドラマ作品『どす恋 ミュージカル』が、エイベックスとドコモの運営する動画配信サービス『dTV』で7月12日から独占配信されます。

『どす恋 ミュージカル』
(C)BeeTV

 監督は2013年に『タイガーマスク』、2014年には『太秦ライムライト』を手がけた落合 賢氏。主演は台湾のアーティスト、リン・ユーチュン氏。圧巻のダンスの振り付けはダンサー・パパイヤ鈴木氏が担当しています。

 ストーリーは以下のとおり。ダンスシーン以外にも相撲部部員たちのコミカル掛け合いや迫力の土俵でのシーンは必見です。

『どす恋 ミュージカル』
(C)BeeTV

【ストーリー】
台湾から日本の大学・富士山大学に留学してきた呉 竜司は、太っている事を理由にいじめにあっていた。

どこにも居場所がなく、友達もいない呉だったが、そんな時、相撲部主将の玉木 光太郎に助けられ、相撲部に入部することになる。

一度は相撲部という居場所を見つけた呉。しかし、ある事件をきっかけに、相撲部を退部することになってしまう。

失って初めて相撲への想いに気づいた呉は、相撲部へ戻るため、復帰をかけた光太郎との立ち合いに挑むことになる。

果たして呉は、光太郎に打ち勝ち、自分の居場所を取り戻すことができるのだろうか……?

笑いあり!感動あり!前代未聞の相撲ミュージカル

 なお、この作品はドコモ以外のキャリア、MVNOの格安SIMを利用しているユーザーも使える"dTV"で独占配信予定。全1話構成でdTV会員(月540円)であれば、iPhoneとAndroidはもちろん、PCやテレビ(対応製品もしくはdTVターミナルなどが必要)でいつでも視聴可能です。

 また、配信に先立ち落合監督のインタビューを実施。週アス読者向けの独占コメントもいただけたので、ぜひご覧ください。

『どす恋 ミュージカル』
↑落合賢監督。

──撮影現場で意識された点はどのあたりですか。

落合監督:相撲部全体の“連帯感”です。 今回の目玉コンセプトである“ミュージカル”を売ってくために連帯感が一番大切だと考えました。

 キャストの方々には、撮影開始の1週間以上前から、法政大学に相撲の稽古に通っていただき、その中でお互いの名前を覚え、横のつながりと上下関係が自然にできたことで、それぞれのキャラクターが確立していったようです。普通の撮影なら現場で会ってそのまま撮影スタートとなりますが、今回に関してはポッチャリ系の“共和”と言いますか、“ハーモニー”ができ上がっていました。裸の付き合いをしている中で培った“ハーモニー”が、この作品を通して出ているのではないかと思います。また、ミュージカルとしての“連帯感”だけでなく、相撲部自体の団結力も描きたかったので、その点で彼らの“ハーモニー”は必要不可欠でしたね。

──ダンスシーンに関して意識された点はありますか。

落合監督:大きなダンスシークエンスが3つあるのですが、ひとつ目の“相撲の花道”に関しては、相撲をメインにしており、ミュージカル作品『ストンプ』のように、リズムに合わせて動くということを意識しました。

 ふたつ目の“EZ DO DANCE”では、とにかく弾けてほしかったので、自分の限界に挑戦する姿を表現して頂きましたね。スタッフ、キャストともに、一生に一度の経験になったと思います(笑)。

 最後の“どす恋ロード”では、パパイヤ鈴木さんとも話し合い、相撲とダンスの融合をテーマに“一体感”を出しました。上から土俵を撮影し、皆で花の形を描いたシーンなど、“ハーモニー”をつくり出せたと思います。

『どす恋 ミュージカル』
(C)BeeTV

──撮影中に印象的だったエピソードを教えてください。

落合監督:たくさんあるのですが、“まわし”を付けることで皆の一体感が強調されたことですね。

 撮影後の更衣室が本当の部室みたいになってしまい、開けた時の臭いがものすごく、生まれたままのような姿で歩く光景が目に焼き付いています(笑)。ただ、僕自身が男子高出身ということもあり、自分の居場所を見つけたような感覚で、ほっこりしてしまいましたね。

 去年撮影した「ジュリエット×2 ~恋音ミュージカル~」という作品では、女子高生に囲まれていたので、自分がそこに属していないような感覚でした。今回はそれとは全くタイプの違う作品ですごく溶け込めた気がします。

 また、僕も1日だけ法政大学に稽古を受けに行ったのですが、足は痛いですし、まわしのズレ方はきついですし、相撲のつらさを思い知りましたね。離れて見ているぶんにはカッコいいのですが、実際にやってみて格闘技の辛い部分を肌で感じとりました。このような相撲の一面を映画で描き出せたらいいなと思いました。

──カメラワークやカット割りなど、落合さんが映像に関してこだわっている部分を教えてください。

落合監督:現在一緒に活動をしている、アメリカ人のカメラマン「クリス」とふたりで話し合って進めています。最初に作品のテーマを決め、そのテーマをどういう手法で表現するか。カット割りだけでなく、カメラのズーム、レンズ、色など、どのように工夫するかを話し合いますね。

 今回は主演のリンさんが自分の居場所を探す作品になっているので、彼とほかの相撲部員をどうわけるかを重要視しました。

 相撲部屋では、基本的に何も飾らないことが美しいとされるので、それをキレイに映し出すにはどうしたらいいのかを考えました。その結果、メリハリを出すことが大切であると思い、基本的には相撲部屋の色を無くすようにしたのです。そうする事によって“EZ DO DANCE”(主題歌)のパートで色が映えるようになったと思います。

『どす恋 ミュージカル』
(C)BeeTV

──『どす恋 ミュージカル』はdTVというVOD(Video On Demand)サービスでの配信となりますが、VODで作品をつくる際に意識した点などはありますか。

落合監督:テレビ用とウェブ用で撮影方法をどこまで変えるのか、もしくは変えない方がいいのかいつも悩みます。これに対する答えというのは、まだ誰も出していない気がします。ただ今回は携帯のコンテンツであるため、いちばん大きな違いが“音”になると思います。dTVに関しては、基本的にイヤホンを付けて視聴する方が多いと思いますので、普通のテレビで観るよりも良質な低音が聞けるはずです。ですが、“臨場感”に関してはどうしても難しい部分があります。劇場と変わらない“臨場感”を出すにはどうすればいいか、サウンドデザイナーの方とよく話し合いましたね。

──落合監督は普段、映像配信サービスを利用されていますか。

落合監督:僕は普段アメリカでNetflix、Huluなどを使っていますね。日本にいるときはdTVを使用しています。すごく便利なサービスなので、これからどんどん増えていくと思っています。アメリカではNetflixがある意味テレビを変えました。テレビを見る人が少なくなる一方で、月額で見られるケーブルテレビのクオリティーが高くなり、今まで映画でしか表現できなかったものがドラマとして表現されています。そのため、日本でもこのような携帯のコンテンツサービスを増やしていくべきだと思いますし、自然に増えていくだろうと考えています。

 というのも、映画では通常2時間しか物語を描けませんが、ドラマは12時間もあるため、時間をかけて語ることができますよね。マンガが浸透している日本文化にとっては、いちばん入りやすいかたちではないでしょうか。長編小説を読んでいるような感覚は、本の世界に浸りたいという人に受け入れられ、中でもdTVはどんどん進化していくと思いますね。

──クリエイターとして、落合さんが今後の動画配信サービスに期待することはありますか。

落合監督:日本でしか見られない作品を、アメリカやほかの国々でも見られるようにしていただきたいです。地域や国といった垣根を越えて“世界共通のサービス”として広がれば、クリエイターとしてのチャンスも増えますしね。

──最後に今回の作品でいちばん描きたかったことと、メッセージ、見どころを教えてください。

落合監督:この作品の一番のメッセージは“誰にでも居場所はある”ということです。

 というのも、僕の人生と重なる部分がありまして。僕はアメリカに単身渡米し、留学して、アメリカの国技でもある映画を勉強していく中で、アメリカ人の日本人に対する見方を知りました。

 現地では“アウトサイダー”と言いますか、“部外者扱い”されているような感じを受け、まさにこの作品で描かれているクレのように、自分の居場所がありませんでした。なので、先輩や仲間と共に映画を制作することで、関係性を作るように心がけました。

 その背景を、この作品ではかたちを変えて描くことで、世界中でいじめや差別が続く中でも、この作品を見た人が“自分の居場所を探すきっかけ”を見つけていただければうれしいです。

●関連サイト
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