2015年06月04日09時30分

ついにタイトル保持者との対局も!? 将棋新棋戦誕生と電王戦開催決定

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電王戦新展開

 6月3日、将棋電王戦の新たな展開が発表された。なんと、ドワンゴが主催するプロ棋士の新棋戦を創設。その優勝者は将棋電王トーナメントで優勝した将棋ソフトと二番勝負を行なうというものだ。

 これまで3回続いた団体戦に終止符をうち、1対1のガチ勝負となり電王戦の魅力はさらに増すことだろう。

 さらに、コンピューターへの挑戦者というか新棋戦による優勝者を決める戦いは、エントリー制ながら160名以上いるプロ棋士全員が対象。つまりこれまで自薦他薦により日本将棋連盟が決めていた挑戦者が、実力で棋戦を勝ち抜いたものが人間代表(挑戦者)となることで、タイトル保持者がコンピューターへ挑戦するという道が開かれたことを意味する。もちろん、タイトル保持者がエントリーしなければ可能性は0だが、すでに糸谷哲郎竜王がエントリーしていることが発表された。また8期名人位を保持し、電王戦でも解説者として登場している森内俊之九段も参戦。谷川浩司日本将棋連盟会長をはじめ、かつて電王戦に挑戦したり解説に登場した棋士がエントリーしており、棋戦としてもかなり盛り上がることだろう。

 新棋戦誕生の経緯をドワンゴ・川上量生会長が語った(風邪のため声が出ず司会者が代読)

電王戦新展開

 将棋電王戦は2013年の第2回電王戦、2014年の第3回電王戦、2015年の第4回(FINAL)電王戦と人間代表棋士とコンピューター将棋プログラムが5対5の対局で優劣を競う形式で開催してきました。主催者として我々が目指してきたものは、人工知能が急激な発展をみせる21世紀の現在において、人間とコンピューターの違いはなにか、人間の知的能力を凌駕しつつあるコンピューターに、人間はどのように対峙すればいいのか。人間にしかできないこととはなにか。そこにどんな人間ドラマが生まれるのか、ということを明らかにすることでした。これまでの3回の5対5の団体戦において示せる、それらの目的は、ほぼ達成できたのではないかと思っています。来年からはさらに電王戦をスケールアップし、人間棋士の中からコンピューターと戦う代表棋士を選ぶ新棋戦をドワンゴ主催で開催することにしました。選抜された5名ということではなく、将棋プログラムと戦おうとするすべての棋士が参加する電王戦とすることで、さらに一層将棋界に貢献し、将棋ファンの皆さんに楽しんでいただければと願っています。

これに対して、日本将棋連盟・谷川浩司会長

電王戦新展開

 5対5の団体戦を3度続けてきましたが、昨年の秋頃からこれからどのような形でということは、川上会長をはじめドワンゴのみなさんとお話をしてきました。その中でドワンゴ主催の公式戦を立ち上げて、ソフトと対局するのはいかがですか?と打診がありました。将棋連盟としては、タイトル保持者がソフトと対局することはなかなか難しいのですが、棋戦を主催してということであれば、うまくいく可能性があるのではないか、ということで協議を続けてまいりました。今回大きなことは、公式戦を主催していただくことで、プロ棋士とソフトの対局だけでなく、将棋連盟には160数名の現役棋士がおり、公式戦はニコニコ生放送で数多く中継されることで、将棋界が盛り上がって、将棋界には個性的な棋士がいるんだということを皆様に広く知っていただけたらという思いもあり、実現の運びとなりました。

日本将棋連盟・青野照市専務理事の話

電王戦新展開

 新しい時代の新しい棋戦だと思っております。やはりエントリーしてこの棋戦に挑戦するんだという思いからスタートするんだろうと思います。みんながこの棋戦に参加し、優勝して、電王戦に出て行くんだという気持ちを見せるということが素晴らしのではないかと思います。各棋戦のタイトル保持者ということではなく、独自のタイトル保持者、優勝者を対戦させるのはいままでにない発想であり、皆さんにも楽しんでもらえるものだと思っております。

電王戦エグゼクティブ・プロデューサー KADOKAWA・角川歴彦会長の話

電王戦新展開

 前回のFINALが各新聞で大きく取り上げていただき、新聞社は各棋戦の主催者でもあるなか、記者の方々はなかなか適切なことをおっしゃっているなと思いました。その中で川上くんにはひとつの役目は終わったのではないかと正直言いました。なので私はそういう気持ちでおりました。ところが川上くんが意外にも真面目な顔をして、「自分にできることがあるなら、実は後援し続けていきたい」というんです。これが意外な感じがしまして川上くんにもそういうところがあったんだなと、見なおしました。内輪の話ではありますが。今回公式戦、全棋士参加の新規公式戦は久しぶりのことだそうで、そういうことを考えると電王戦の公式戦ということは、時代の申し子みたいなところもあって、その時代の申し子が伝統的な将棋のルールに則ってどういうふうに発揮されるのか、そう考えると意味のあることだと思いました。なので協議を続けていきたいと川上くんが言うので、バックから応援させていただきました。今日こうやってまとまってお話ができるこしは、とてもいいことだと思っていますので、ぜひ今日聞いていただだいているみなさんも前向きに受け止めていただければありがたいと思います。

電王戦新展開
↑糸谷哲郎竜王、谷川浩司九段、佐藤康光九段、森内俊之九段、屋敷伸之九段、藤井猛九段ほか14名をこの日発表。参加者の最終発表は6月18日に行なわれる。

 この新たな棋戦は、まだ名前が決まっていない。現在6月10日中まで棋戦の名前を募集している。応募された名前の中から主催者が候補を選出し、それに対してユーザー投票を行ない新棋戦名が決定される。

 棋戦の名前が現時点で決まっていないにもかかわらず、棋戦の開幕戦は6月20日、午前10時より東京・将棋会館にて予選が始まる。段位ごとにわかれてトーナメントを行ない、予選の模様は22番組を使って生中継する。残念ながら全ての対局は放送出来ないという。ルールは持ち時間各1時間(チェスクロック方式)で秒読みは60秒。

 予選は9月下旬まで行なわれ、本戦に出場するのは九段は4枠、八段~五段は各2枠、四段は1枠となり、タイトル保持者の段位を加味した計16枠となる。本戦は10月中旬から11月下旬にかけて行なわれ、こちらは全5番組で全ての対局を生中継する。ルールは、予選と変わらず持ち時間各1時間(チェスクロック方式)で秒読みは60秒。

 決勝は3番勝負となり、12月に3週続けて行なわれる。持ち時間は各5時間(チェスクロック方式)で秒読みは60秒。2勝したほうが優勝となり、電王戦でコンピューターと対局することになる。

電王戦新展開
↑新棋戦の公式サイトより。6月20日から予選が開始する。

 来年3月から5月に行なわれる新電王戦は『第1期電王戦』という名称になり、二番勝負・先手後手1局ずつの対局となる。持ち時間は各8時間の2日制。各日午前10時に対 局開始し、初日は18時封じ手。秒読みは60秒で行なわれる。その他の詳細なルール(コンピューター側のマシンやソフトの貸出など)はまだ未定だ。

電王戦新展開
↑新棋戦の公式サイトより。現時点ではこれ以上の詳細ルールは決まっていない。

 今回の決定で、タイトル保持者との対局を夢見て将棋ソフトの開発者も再び力入れてくるのではないだろうか。いや、そうなってほしい。過去に電王戦に参戦したソフトがだんだん参戦していない現状を変えるチャンスになるかもしれない。また、対局が2日制となり、将棋ソフトにはない封じ手を行なう可能性が生まれてくる。封じ手機能自体はUI側で吸収できるかもしれないが、ソフト側もたとえば18時に近づいたら封じ手になるまで考える(メリットがあるかどうかは別)とか、封じ手になった手まで探索したデータを保存して次の日に持ち越すようにするとか、電王戦へ向けた機能追加を行なうというのもありかも。あと、8時間もあるので、序盤は一手に長めの時間を使って中盤以降は短くするなど、さまざまな戦略も組めるだろう。

 第1期電王戦がどうなるのかも楽しみだが、新棋戦がどういう展開で人間代表が決まるのかという過程も楽しみ。将棋ファンならずともドキドキ・ワクワクする対局になることを望みたい。最後に川上会長の電王戦に対する思いを語った。

 「電王戦を始めた時、社会的意義があるとともに、コンピューターの時代が来るときに、我々ソフトウェアを扱っている会社が、それを主催することに意味があるだろうと思い、小さい会社ですがドワンゴが主催させていただいたわけです。そのなかでコンピューターがこれからどうなるのか、世の中に教えてあげようという若干上から目線のおごった気持ちというのが私の中にありました。また電王戦をやるなかで、私自身が人間とコンピューターの関係についていろいろ思うことがあり、たとえばコンピューターに負けた人間が、人間をこれほどまでに感動させるものかと。電王戦の中ではいくつもありました。そんななかで私は人間とコンピューターの関係は悲観的な感じで見ていたのですが、人間はまだまだ素晴らしいですし人間はまだまだやって行けるということを深く感じ、私自身も電王戦によって勉強させていただいたと思っております。それによってドワンゴ自身も人工知能研究所を立ち上げ、より一層テクノロジーを迷わずに進化させていきたいという決意も感じました。これからも電王戦と将棋を支えていきますし、その中でコンピューターも素晴らしい技術ですし、人間ももっと素晴らしいということを世の中に示していければと思っております」

■関連サイト
将棋新棋戦公式サイト

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