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脳をハックしよう:報酬の与え方でやる気が変化する

2015年06月11日 09時30分更新

人は何かを得ることよりも失うことの方にこだわる。(ReadWrite Japan提供記事)

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この記事の発信元は同時配信ニュースサービスのFerenstein Wireであり、オリジナルの記事を一部編集しています。本記事に関するお問い合わせは、執筆・発行人のGregory Ferensteinまで、メールにてお願いします。

仕事に取り組む際に脳のパフォーマンスを向上させる方法を認知心理学者が見直した。それは、最大の報酬を初めに与えておき、成功しなかった場合にはそれを減らしていくというものだ。

人に最高のパフォーマンスを期待する場合、成功したら報酬を与えると言って縛りつけるよりも、最初に報酬を与え、成功に責任を持たせる方が、結果としてやる気を引き出すことが判明している。

まず与え、そして奪う

この戦略はやる気が持つユニークな性質を利用している。つまり、人は将来手に入るものよりも、今持っているものが失われるのをずっと気にするということだ。

この理論はいわゆる「授かり効果」についての有名な実証研究を基にしている。例えば、マグカップをタダでもらうと、人は執着を持ち、それを手放す際には初めに手に入れた時よりも高い価値があると考える。買う時に3ドル以上は出さないようなマグカップを、5ドルでなければ売れないと言うようなものだ。

最近の研究では、授かり効果を利用して教師が生徒のテスト成績を上げたことが報告されている。教師は最高額のボーナスをあらかじめ受け取る。だが、生徒が学年末に目標を達成できなければ、ボーナスの一部を返さなければならない。研究者らによれば、この場合、成績は10%向上した。一方、教師が学年末にボーナスを受け取る場合、成績は全く上がらなかった。

最新の研究によると(PDFリンク)、ワシントン大学のチームは、感覚処理実験でも同様の効果があることを発見した。あらかじめ用意した報酬を減らしていく場合、被験者の誤答数は、正答数に応じて報酬が増えるグループよりも減少した。

報酬によって、人はリスクを避けるようになる

だが、この研究では他にも興味深い点が明らかにされた。では、視覚処理実験で起こったことを見てみよう。被験者は画面右側と左側からランダムに表示される光を見て、どちら側からの点滅が多かったかを瞬時に決めなければならない。

各回の結果は完全にランダムであるにもかかわらず、正答数に応じて報酬を得られる被験者は前に正解した側を選ぶ傾向が強かった。一方、報酬を失うおそれのあるグループではその傾向は小さく、その結果、正答率も高かった。

論文の主執筆者であり、ワシントン大学医学部大学院生のジャン・クバネクはこう述べている。「客観的には、25セントを手に入れるのも失うのも、影響の大きさは同じだと考えられます。しかし、実際には違うようです」。

結論:人に目標を達成させようとするよりも、まず報酬を与えてこそパフォーマンスも最大化すると考えよう。それがより良い戦略だ。

トップ画像提供:Shutterstock

Gregory Ferenstein
[原文]


 

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※本記事はReadWrite Japanからの転載です。
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