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犬パシーにロボ女子大生、流れ星自作まで 開設半年DMM.make Akibaに集まった超天才たち

2015年05月18日 21時30分更新

 選りすぐりのハードウェアスタートアップが集うモノづくりの拠点“DMM.make AKIBA”。誰もが驚いた機材総額5億円という超ド級の施設が秋葉原に開設して半年を迎えた記念に、“DMM.make AKIBA 0.5周年記念懇親会”が2015年5月11日に行なわれた。

 DMM.make AKIBA仕掛け人のひとりで、IoTハードウェアスタートアップを支援するABBALabの小笠原治代表取締役によるとすでに300人以上が集まり、すべてのルームが埋まっており、施設を増床する予定だという。この日のイベントでは、そんな施設に入居するスタートアップ企業が一堂に会してプロダクトを紹介した。その中でも、キラリと光るおもしろプロダクトやアイデアをご紹介。

DMM.make AKIBA 0.5周年記念懇親会
DMM.make AKIBA 0.5周年記念懇親会

■なんでも入力デバイスに変えてしまう超センサー
 次世代のモノづくりの人材育成のために、同施設が始めたプログラム“DMM.make SCHOLARSHIP制度”の第0期生でもあり、2013年度未踏スーパークリエータにも認定される天才、モノテクの大野誠代表のプロダクト『Stethos』は、身近にある“モノ”をなんでもタッチ入力可能な“デバイス”に変換してしまうセンサーケーブルだ。触る、傾けるといったモノに伝わる振動を検知して解析、その振動を入力に利用し、モノに触ると何かが起こる出力につなげるプログラムを構築できる。たとえばフィギュア人形の頭をタッチすると音楽を鳴らすといったことが可能になる。入出力のプラグラミングはPCで行なう。

DMM.make AKIBA 0.5周年記念懇親会
DMM.make AKIBA 0.5周年記念懇親会

 また大野氏は、スマートフォンのイヤホンジャックに挿して使えるローラー型のデジタルメーター『コロコロプラグ』も開発している。スマホに挿してコロコロと長さを計測できるというシンプルなデバイスだが、荷物の送料計算ができるなど、アプリによっておもしろい使い方が想定される。こちらは現在、製品化に向けて改良中とのこと。普通にコレ欲しい!

DMM.make AKIBA 0.5周年記念懇親会

■「ご主人様、いま気持ちいです」が伝わるデバイス
 犬の気持ちがわかるデバイス『犬パシー』は、犬の心拍数を図れるセンサー機器だ。毛皮の上から装着できて、剃毛の必要がない。心拍パターンを測定、解析して、色でリラックス度を判定する。人間用心拍計を利用して、タッパーウェアにArduinoを無理やり入れて装着していた開発初期の第一世代から開発を進めて、最新世代は心拍計測ロジックを搭載して、LEDの色によって“犬の気持ち”がわかるまでになった。

DMM.make AKIBA 0.5周年記念懇親会

 開発者山口譲二氏の愛犬あかねちゃん。実際会場で行なわれたデモでは、人が多くてちょっぴりストレスが多いのかLEDは赤色。目と鼻をおさえて犬をリラックスさせるとLEDは見る見るうちに青色になった。お見事!

DMM.make AKIBA 0.5周年記念懇親会

■実績ある広告企業がとんでもないことに挑戦!?
 ZaaZは匂いを販促に利用するBtoB系のベンチャー企業。ピザの広告紙にピザの匂いを付けるといったような匂い販促事業やデザインなどを行なっている。IKEAやパナホーム、プリンスホテルなど取組実績もあり、そんな企業がなぜDMM.make Akibaに?と思ってしまうが、代表の川口健太郎氏の取り組む次のプロジェクトがぶっ飛んでいる。

DMM.make AKIBA 0.5周年記念懇親会

 なんと人工的に流れ星を作成してしまおうというのだ。気球で成層圏までのぼり、くす玉を落下させて、流れ星に見えるようにするという。目標は2020年の東京五輪の開幕式での利用、開発はギリギリ間に合うという状況とのこと。前回はブルーインパルスが五輪マークを空に描いたが、今回ははるか上空で流れ星が五輪マークをつくるかもしれない!?

DMM.make AKIBA 0.5周年記念懇親会

■美少女とロボットの融合は間違いなくロマンだ
 ロボティクスファッションクリエーターのきゅんくんもちょっと変わっていておもしろい。電子機械工学を学ぶ女子大生。ロボットとの合体を目指して、ファッションとして着用するロボットを制作している。肩に背負うカタチで装着するロボット姿で登場。モーターで駆動、動作パターンはあらかじめプログラムで組み込んでいる。ぜひ将来的には感情で動くような仕組みも組み込んでほしい。ちなみに彼女、DMM.make Akibaに入居しており、先日クラウドファンディングを成功させた光るスマートシューズのプロジェクト『Orphe』の開発担当もしているバリバリのエンジニアだ。

DMM.make AKIBA 0.5周年記念懇親会

■DMM.make Akibaがあるから生まれたスマートシューズ
 続いてスマートシューズ『Orphe』を開発するno new folk studio代表の菊川裕也氏。DMM.make Akibaに入居しようとしたきっかけは自分を“最高の実験体”にしようとしたからだという。2014年11月の入居時、アイデアはあったがモノづくりのノウハウはなく、ガジェットはもちろん、靴づくりの経験もなかった。機材の使い方などを手伝ってくれるDMM.make Akibaのテックスタッフと連携を取りながら、なんとかカタチにしていき、2月にプロトラタイプを完成、3月にはクラウドファンディングを開始し、米国テキサス州で開催される音楽と映像、テクノロジーの祭典“SXSW 2015”にプロダクトとともに出展した。そして、5月にはクラウドファンディングを達成した。

DMM.make AKIBA 0.5周年記念懇親会

 菊川氏は「こんなに成長できる場所はほかにない!」と語る。DMM.make Akibaという場があることで、間違いなく日本のモノづくりは加速している。たった半年で様々な出会いがあり、プロダクトが生まれ、育てられている。今後、どのようなモノがここから生まれるか、楽しみだ。

■関連サイト
DMM.make Akiba

(2015年5月19日14時訂正:初出時、ZaaZ代表川口健太郎氏の氏名を間違って掲載しておりました。読者の皆様お呼び関係者の皆様にご迷惑をおかけしたことを、お詫びして訂正いたします)

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