2015年05月12日06時00分

“世界のソフトバンク”になるべく元Google最高幹部のアローラ氏を後継者に:SoftBank決算

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 ソフトバンクは2015年3月期の決算を発表した。売上高は8兆6702億2100万円で前年比30.1%増、営業利益は9827億300万円で同8.8%減だった。これは前年にガンホーやウィルコムを子会社化したことによる一時益のためで、それを除くと19%増。償却前の営業利益であるEBITDAは2兆1329億200万円で約20%の増加となるため、孫正義社長は「業績は順調」とアピールする。

ソフトバンク決算2015年05月
ソフトバンクの孫正義社長。

 孫社長は決算説明会の中で、「第2のソフトバンクとして“世界のソフトバンク”になりたい」と話し、今後国内通信事業については、“ソフトバンク株式会社”として宮内謙・現副社長を代表取締役社長兼CEOに一任。自身は持株会社の“ソフトバンクグループ株式会社”の代表取締役社長兼CEOとして、世界戦略を加速させていく。

ソフトバンク決算2015年05月
後継者として指名されたニケシュ・アローラ氏。

“ソフトバンクグループ”の代表取締役副社長兼COOには、元Google幹部のニケシュ・アローラ氏が就任。英語の役職である“President(プレジデント)”は、ソフトバンクにおいて、従来は孫社長のものだったが、「(ソフトバンク)上場以来初めて」(孫社長)手放し、アローラ氏が“President & COO”となる。孫社長は“Chairman & CEO”になり、アローラ氏が実質的に孫社長の後継者として位置づけられた。商号や役職の変更は6月19日から。

ソフトバンク決算2015年05月
ソフトバンク全体の売上高。

 主力の国内携帯事業は、売上高が4兆1895億1300万円で同32.3%増、セグメント利益が6952億8700万円で同14.8%増。ソフトバンクモバイルやブライトスター、スーパーセルが売り上げを順調に伸ばし、ソフトバンクモバイルの販売手数料減などで利益も拡大した。

 ソフトバンクモバイルの契約数は3776万6000契約で、純増数は184万1000。ARPU(1ユーザー当たりの月間平均収入)は同220円減の4230円で、LTE契約の拡大でARPUは増加したものの、ARPUの低い端末も増加したことで最終的にマイナスとなった。端末の販売数は1335万5000台で、82万の減少。解約率は同0.06ポイント増の1.33%となり、高止まりしている。

ソフトバンク決算2015年05月
一時益を除いた営業利益は増益。
ソフトバンク決算2015年05月
EBITDAは2.1兆円に達した。
ソフトバンク決算2015年05月
純利益も順調に拡大。

 ワイモバイルに関しては、純増数が6000件で累計契約数は1001万7000件。PHSは38万7000件減で累計契約数は515万9000件だった。

ソフトバンク決算2015年05月
主力の携帯電話事業も順調。
ソフトバンク決算2015年05月
ワイモバイルは“スマホの新規獲得数”で同39%増。非常に順調とアピールした。
ソフトバンク決算2015年05月
国内の携帯ネットワークは1位になっているというアピール。
ソフトバンク決算2015年05月
通信速度もトップを維持している。

 米国のSprint事業では、売上高が3兆8000億2100万円で同46.1%増、セグメント利益が同800億700万円増の738億8800万円の黒字。旧式の通信設備の償却が終了し、減価償却費が減少したこと、ネットワークの強化・改善によりネットワーク費用やローミング費用が減少。さらに端末の販売奨励金が減少したことも寄与したという。

ソフトバンク決算2015年05月
四半期ベースでは純増に転換。
ソフトバンク決算2015年05月
解約率も改善。

 もともと、「最初の思惑はT-Mobileと(Sprintを)合併させて米国での3強の構えを作る」(孫社長)ことを想定した買収劇だったが、その思惑が外れ、単独での事業再建が必要になったSprint事業。マルセロ・クラウレ氏をCEOに迎えた新体制の元で立て直しを図り、「ユーザー数が連続して純増で、最近はコンスタントにいけるところまで自信が深まってきた」(同)と、業績改善に自信を見せる。

ソフトバンク決算2015年05月
「ボロボロだった」というネットワーク品質も改善。

「毎日夜中2時ぐらいまでSprintの次世代ネットワークに深く関わってきた」という孫社長は、「改善の道筋ができてきた」という。前回の決算会見では減損もあって厳粛な面持ちだったが、「当時は風邪を引いていて調子が悪かった」と孫社長は笑い、今回はSprint再建に自信を見せた。

 Sprintの契約数は5613万7000件で258万6000件の純増。孫社長が重視するポストペイド型の契約数は、全体では21万2000件の純減だが、第3四半期から純増に転じ、第4四半期はそれが拡大して21万件の純増になったことも強調。純増や解約率低下、ネットワーク品質の向上など、Sprint事業の改善点を孫社長はアピールし、今後の「次世代ネットワーク」の構築などを想定して「明るい兆しが見えてきた」と話す。

ソフトバンク決算2015年05月
ヤフーの純利益自体は拡大している。

 国内の固定通信事業は売上高は5410億5600万円で同1.3%減、セグメント利益は1002億6300万円で同7.4%減。ワイモバイルのADSLサービスの売上減に加え、前年に一時的な事業者間接続料収入があったソフトバンクテレコムの減収が響き、利益を圧迫した。

 インターネット事業は売上高4191億3400万円で同4.8%増、セグメント利益は1874億8000万円で同1%減。ヤフーの出店料無料化などで売上が減少したものの、ディスプレイ広告などが順調で売り上げを伸ばした。

 通期予想だった売上高8兆円、EBITDA約2兆円、営業利益9000億円は達成したが、今回は通期予想が発表されなかった。孫社長は「数字に縛られるのは良くない。実質的な企業価値の最大化を図るためには、(企業の)売却や投資が機動的に行えるように」とコメント。数字が一時的に増減して、そのたびに数字を変更するよりは、予想自体を発表しない、という考えを示した。

 その背景には、今後の同社の世界戦略がある。主力の国内通信事業は、ネットワーク品質が改善して設備投資額も今後抑えられるとして、フリーキャッシュフローの拡大を図る。国内では成長戦略のさらなる強化と経営の効率化を進めるため宮内氏を社長兼CEOとして事業を任せ、ここで得られた収益を原資として世界戦略を加速させる意向。

ソフトバンク決算2015年05月
収穫期に入った国内携帯事業では、設備投資を削減してフリーキャッシュフローに振り分ける。
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国内事業を任された宮内謙氏。

 孫社長は、ボーダフォン買収以降「(国内の)通信インフラにほとんど精力を使ってきた。頭、時間の使い方の90数%は通信インフラを構築することに使った」ため、インターネット関連の投資や戦略的グループの形成に使った時間は「2~3%で趣味のように続けてきた」だけだと話す。国内携帯事業が安定期に入ったことで、今後はインターネット企業への投資を強め、「本格的に世界のソフトバンクになる」ことを目指す。

 そのため中国アリババやインドsnapdeal.comなどのeコマースをはじめとした好調なグループ会社だけでなく、成長の見込める海外企業への投資を強化する。孫社長は、「テクノロジー企業には30年ライフサイクルの問題がある」と指摘。創業30年でピークが過ぎて成長が止まるライフサイクルということで、創業30年を超えたソフトバンクも、同様に成長が止まることを避けたいという考えを示す。

ソフトバンク決算2015年05月
「テクノロジーが古くなり、創業者が年を取り、ビジネスモデルが古くなる」ことで30年ライフサイクルという問題が出てくるという。
ソフトバンク決算2015年05月
IT業界の30年問題。

 孫社長は「決して“大企業”に成り下がりたくない。そうなったら最大の屈辱であり、最大の失敗」と強く語り、その解決策として「革新的な起業家集団であること」を示した。

ソフトバンク決算2015年05月
まだ若い起業家たちに投資をして一緒に経営を行うことで「起業家集団」としてグループを維持する。

 インターネット企業への投資では、30~40%の株式を所有し、創業者も10%程度の株式を持つ状態で筆頭株主となり、創業者という「野心的な起業家と一緒に経営を行う」ことで、ソフトバンクグループを「野心的な起業家集団」として位置づけたい考えだ。

“素晴らしいパートナー”であり「毎日電話をする」ほど、アローラ氏への信頼を熱く語った孫社長だが、アローラ氏の人脈でグループの陣容を強化。「2~3年の間に、新しいソフトバンクグループのグローバル戦略の経営幹部を一気に強化していきたい」とコメント。

 最も重要な後継者候補として、ナンバー2の実力をもつアローラ氏を得た孫社長だが、「まだ引退するつもりはないし、これまで通り経営の第一線を継続していく」と強調し、今後はソフトバンクグループの成長に向けた世界戦略に注力していく考えだ。

■関連サイト
2015年3月期 決算説明会プレゼンテーション

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