「世間で思っているツイッターのイメージと実際はかなり乖離がある」
KADOKAWA・DWANGO代表取締役の川上量生会長はそう話す。4月1日、角川アスキー総合研究所が開発した、ツイッターからエンターテインメントコンテンツの人気を分析できるサービス『キャッチ・ザ・モーメント』(Catch The Moment)発表会での一言だ。
「ツイッターはフェイスブックよりネットのコミュニティーアーキテクチャーとして優れている、次世代の仕組みだ。(日本では)フェイスブックの方があとから紹介されたので新しいイメージを持たれた人もいると思うが、アーキテクチャーとしてはツイッターのほうが先進的だ」
具体的には、ツイッターのほうが「精神的」に優れているという。
「ネットを使うのは『ツールとして使う』『住みかにする』という2種類がある」と川上会長。
フェイスブックやLINEはリアルを生きている人間がネットを「ツール」として使うときに最適なサービス設計になっているが、一方のツイッターはネットを新しい生活空間(住みか)にするため最適な設計になっているというのだ。
「ミクシィもそうだが、人間付き合いの『面倒くさいレベル』を100倍くらいに加速してしまう。なので『ミクシィ疲れ』や『フェイスブック疲れ』『LINE疲れ』が出る。リアルをエンハンスするツールはかならず疲れるもの。ネットを長く使うユーザーほどコミュニケーションストレスが低いサービスに流れる。ツイッターは精神的に優れたアーキテクチャーだ」
川上会長は映画『天空の城ラピュタ』テレビ放映時にツイッターで起きる『バルス祭り』などにふれ、日本とツイッターはもともとコミュニティーとして相性がいい側面もあるのだと話す。
「高校デビューや大学デビューという言葉があるが、日本ではあるコミュニティーに属するとき『キャラチェンジ』をする瞬間がある。それがツイッターでは可能だ。キャラチェンジができるコミュニティーとして、世界よりも日本で支持されている」
日本人の性質に合ったツイッターは現在、もっとも「ネットの実態」に近いツールだと川上会長。実際、ドワンゴで新サービスを出すときはツイッターを重要な評価軸にしているのだという。
ドワンゴが注力しているイベントでもツイッターの分析は有効だと話す。
「たとえば『超会議』『電王戦』のようなイベントをするときは生放送とセットにしている。現地は電波状況が悪く、モチベーションとしても発信するどころではない。だが、リアルに数万人いるとき、ネットには十倍(の視聴者が)いて、(リアルの代わりに)情報を発信する。発信源になるのはツイッター。イベントが成功しているかどうかもツイッターを活用して(判断して)いる」
ただし、ツイッターにもユーザー目線でみれば改善点はあるという。
「ツイッターはアーカイブ機能が弱い。超会議や電王戦などある程度のイベントをやると、1時間前のツイートが出てこない。新たなツイートが数百単位で出てきてしまう」
ともあれ、マーケティングツールとしてのツイッターには期待していると川上会長。ネットでマーケティングをするならツイッターを基点にすべきと話すとともに、角川アスキー総研の『キャッチ・ザ・モーメント』の可能性を一緒に考えてほしいと観衆に呼びかけた。
写真:編集部
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