週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

第3局はやねうら王が勝利し、コンピューターの1勝となる|将棋電王戦FINAL

2015年03月28日 20時50分更新

将棋電王戦FINAL第3局

 プロ棋士側の2勝で迎えた第3局は、舞台を函館・五稜郭の兵糧庫に移し、稲葉陽七段vsやねうら王の対局が行なわれた。やねうら王の開発者・磯崎元洋氏が「おもてなし定跡」と表現した、事前練習で少しでも将棋を楽しんでもらうべくプロの実践に出てくるような形をたくさん仕込んだという。これに対して稲葉七段は、PVを見る限りあまりこのおもてなしを感じていない様子。

 そんな両者の対局は、序盤から速い指し手で昼食休憩までサクサクと39手まで進み、YSSの評価値では稲葉七段が若干有利。しかし、昼食休憩終了直後の△2四飛で雲行きが怪しくなり、評価値もやねうら王に傾きだす。徐々に評価値は開き、61手目には稲葉七段が-1000を突破、持ち時間もみるみる消費していく悪い展開に。夕食休憩時には、残り時間が稲葉七段が1時間43分、やねうら王が2時間36分。評価値は稲葉七段の-2943だ。

将棋電王戦FINAL第3局

  夕食休憩後、先手玉が中段で粘りつつ、取られた飛車を△7六飛と王手金取りとして打たせるなど、右上方向へ入玉できる体制を固めた稲葉七段だが、評価値的には-6000から-7000とだいぶ辛い状態。

 そして、19時42分、116手まででやねうら王が勝利した。対局前に「これから負けしかない戦いが始まる、、」とツイートしていたが、蓋を開けてみたらやねうら王の完勝と言ってもいい展開だったと思う。

 

■終局直後の話
――横歩取り3三桂は予想通りの展開だったのか。
稲葉七段「確率は低いが一番嫌な手、力勝負になると思った」

――そのあと、仕掛けた。
稲葉七段「ギアチェンジを掛けたけど、ちょっと早かったかもしれない」

――序盤は評価値的にプラスだった。
稲葉七段「優位な局面と感じたことはなかった。ずっと苦しいかなと思った」

――入玉は目指しませんでしたね。
稲葉七段「駒があまりにも足らないので、駒を稼げたら入玉を考えようかなと思っていた」

――敗戦と感じたのは。
稲葉七段「97手目▲5四歩△3三歩のあたりですね。プロ棋士側が2連勝といい流れを持ってきてくれたのに、ふがいない内容で申し訳ない」


――やねうら王の評価値的にはどうですが。
磯崎氏「48手目2二銀成りでやっとプラスになり、そこからずっとプラスでした。ただ、入玉されたら評価値がプラスでもあまり関係ないですね」

――入玉に関しての対策は?
磯崎氏「昔のソフトとかよりはちょっと強いでしょというぐらい。自身はなかった」

――今回やねうら王らしさは。
磯崎氏「事前貸出に対して、今回特に対策を取らなかった。一直線で研究手順で負けてもしょうがない。研究されないようにランダム性を入れるのは良し悪しがあり、弱くなるようなランダム性は入れたくない。良かったとは思ってはいないけど、入れませんでした。

――最後は詰みはあったのか?
磯崎氏「17手以内で詰むことはわかっているようだ」

――今回の勝利について。
磯崎氏「勝ったという実感はまだない。事前研究に対する研究が打てなかったところが反省点です」

将棋電王戦FINAL第3局
将棋電王戦FINAL第3局

■関連サイト
将棋電王戦FINAL公式サイト

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう