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スティーブ・ジョブズの精神を受け継ぐ周辺機器デザインスタジオ、その全貌とは

2015年03月25日 16時00分更新

 全国の良い子の皆様、こんにちは。弓月ひろみです。

 突然ですが、皆さんは、“ドミニク・サイモンズ”というデザイナーをご存じでしょうか。
 彼は、1999年のMacWorld Expo(San Francisco)のブースデザインと、Appleにとって初のStore-in-store店舗(サンフランシスコのCompUSA内)のデザインを担当した人物。
 スティーブ・ジョブズの精神を色濃く受け継いだかのようにも思えるサイモンズ氏は、現在『Bluelounge(ブルーラウンジ)』というデザインスタジオを経営しています。

Appleの店舗デザインも手がけたことのある有名デザイナー
ドミニク・サイモンズ氏が緊急来日

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 そんな彼が、緊急来日したとの知らせを受け、Blueloungeとはどのようなブランドなのか、その背景にはどんな思いがあるのかを伺って参りました。

DOMINIC SYMONS(ドミニク・サイモンズ)(Bluelounge創立者兼デザイナー)
 スイス/イギリス出身の製品デザイナー。5歳で絵に目覚め、12歳でデザイナーを目指す。スイスとカリフォルニアのデザインアートカレッジで学び、1999年に妻のメリッサとともに「Bluelounge」を設立。Red Dot、IDEA、Sparks、Good Desginなどで受賞し、国際的な評価を得ている。

・サイモンズ氏が手掛ける周辺機器デザインスタジオ『Bluelounge』

 Blueloungeは1999年、ドミニク・サイモンズ氏とその妻・メリッサ・サンジャヤ氏によって、ロサンゼルスで設立されました。 驚くべき事に「あまり営業活動をしたことがない」というサイモンズ氏。それもそのはず、独立して1年後の2000年に、出展した世界最大級の国際家具見本市である『ミラノ・サローネ』で絶賛を浴び、ELLEをはじめとする数多くのメディアに紹介されるという快挙を成し遂げているのです。

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 当時のミラノ・サローネに出品されていたのは、彼がデザインした家具。

 その後はシンプルかつ機能性の高いデザインを作り上げるセンスを評価され、大手企業から次々と依頼を受けるようになります。代表的な商品は、日本Panasonicのパッケージデザインやビデオレコーダーのリモコンや画面のインターフェイス、ユニクロのデザインなど。しばらく企業とのコラボ商品制作を続けていましたが、2005年に、こだわりの全てを詰め込んだ、自分たちの商品開発をスタートさせました。
 現在、主力をおいているのはPC、スマホ、タブレットのアクセサリーといった周辺機器。日本では代理店であるトリニティより販売されています。

・「ケーブルを収納する」新しい発想がヒットを生んだ

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 最初の製品でありながら、一大ヒット商品となったのが、この『Cableyoyo(ケーブルヨーヨー)』。デジタルライフのさまざまな機器のケーブルを、スタイリッシュかつシンプルに収納することができる”ケーブルマネージメント”です。ケーブルをヨーヨーのようにクルクルと巻き付けていくだけで、ケーブルの絡まりから解放されるという画期的な製品。今ではたくさんの類似商品が出ていますが、当時は「ケーブルを収納する」という発想がなかった時代。2005年の時点では、壁に固定したり、まとめたりという事が限界。そんな流れを変えたのが、この商品でした。

 この年、Blueloungeはラスベガスで開催されたCESに初出展。わずか2名が立てるだけだったという小さなブースながら、10万個を売りあげました。

・ケーブルマネージメントで、暮らしのシーンを美しく

 デジタル製品を使う事で、必ず生じてしまう“ケーブル”のわずらわしさをなくそうと、サイモンズ氏はケーブルマネージメント製品を次々と発表していきます。中でも「ケーブル全てを一つにまとめて、箱に入れてフタをする」という斬新なアイディアの『Cable box』は、大人気商品に。

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(写真・左)こんなにごちゃごちゃしたケーブル全てが、(右)のように箱の中におさまった!

 細部までこだわりって作り上げた部屋も、デジタル製品のケーブルで雰囲気を台無しにしされてしまうことが、よくあります。Blueloungeの製品は、そんな悩みをシンプルに解決するデザインをいくつも作り上げて来ました。

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Before・床に散らばったケーブルが……。
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After・ボックスの中に収まってすっきり!
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スマートフォン用のケーブルをテーブルから落ちないように固定する『Cable Drop』も人気。

 ケーブルマネージメント用のツールにデザイン性を求めた事について、サイモンズ氏は「スティーブ・ジョブズが心がけていた"裏側まで綺麗に仕上げる”という精神に影響された」と語っています。確かに、机の裏側まで綺麗にシンプルにするツールですよね。


・目指すのは「日常的な問題を解決するプロダクト」

 Blueloungeが提供するのはケーブルマネジメントだけではありません。パソコンの背面から放出される熱を逃がす為のスペーサーや、タブレットをたてかける為のスタンド、iPhoneを壁に浮かせながら充電出来るステーションなど……すべての商品が、とにかく「かゆいところに手が届く」賢さ。なおかつ、スマートなデザインで「部屋におきたくなる」ものばかりです。
 

デザインスタジオ

『Kickflip』
 MacBook Pro背面にスペースを作って熱を逃がすエアスペーサー。
 

デザインスタジオ

『Mika』
 ラップトップ/タブレット用アルミスタンド。Mac30th記念のPVでも30台ほど使用されているスタンド。現在42か国の国々と、アップルストアで販売されている。
 

デザインスタジオ

『Jimi』
 iMacユーザー待望のUSB延長アダプター。ディスプレイ背面に手を回す煩わしさを解消!

・Simplicity  but still  Radical  シンプルかつラジカルな製品を

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サイモンズ氏と、日本の代理店であるトリニティの星川社長。

 最後に、サイモンズ氏に、Blueloungeが大切にしている事は何なのかを聞いてみました。

 「“Simplicity but still Radical” シンプルでありながらもラジカルであること。 そして“ Exciting and Caring” エキサイティングであり、挑戦し続ける商品であること。
我々の製品は日常的な問題を解決するプロダクトでなければならないと考えています。
この商品が何を解決するのか、目的は何かを突き詰め、シンプルに解決できる製品をつくっていきたいと考えています」

 まだまだ、たくさんのアイディアを持っているというサイモンズ氏。これからも問題解決の為のスタイリッシュなツールが、彼の手から次々と生み出されていくことを期待しましょう!

■関連サイト
Bluelounge | Simple solutions for everyday problems
トリニティ株式会社 | Trinity, Inc. 【Digital Life Products】

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