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任天堂DeNA「ダメな提携」ホリエモンばっさり

 

 堀江貴文氏はいつものように手厳しい。

 既存市場の大手と、新興市場のスタートアップ(DeNAをそう呼んでいいのなら)。この提携は本当にダメなのだろうか。資本・株式には踏みこまず、純粋に事業として見るとどうなのだろう。

 任天堂とDeNAの提携内容は一見素直だ。ただスマホゲームで当てて儲けたいわけではない。任天堂のキャラクターを使ったスマホゲームでヒットを出して、ゲーム専用機ゲームの宣伝にする。

 任天堂・岩田聡社長は記者会見で「ゲーム専用機ビジネスに対する情熱を持ち続けている」といい、新しいゲーム機『NX』(「任天堂X」の略だろうか)を来年に発表すると話している。

 任天堂公式サイトでも述べているように、

「わたしたちの強みを最も活かせるビジネスは、ハード・ソフト一体型のプラットフォームビジネスであり、『ハード・ソフト一体型のビデオゲーム専用機プラットフォームを経営の中核とすること』は今後も変わりません」

 なのである。スタートアップの力を借りて大手が成長力を得ようという、ある種まっとうな話には聞こえる。

 だが、両者がともに苦境にあることは確かだ。任天堂は2011年から2015年にかけて売上高を1兆円台から5000億円台まで減らしてきた。かつてiPhoneのアップルをライバル視していた任天堂が、半ば敵であるスマートフォンの懐を借りてでも、世界規模でゲーム機の底上げをはかりたいという決断を下した形だ。

 一方のDeNAも売上は減少傾向にある。ソーシャルゲームの収入・収益がともに落ち込み、『マンガボックス』『SHOWROOM』といった新規事業を成長させてもなかなか追いつかない。

 創業者で取締役の南場智子氏も3月10日、IPA主催のイベント"未踏会議"で、現状のDeNAがいかに苦境に追い込まれているかを語っていた。

「利益が一時の700~800億円から200億円台まで下がっている。経営は楽ではない」(DeNA創業者 南場智子元代表)

 DeNAが提携で得るいちばんの武器は著作物(IP)だ。

 DeNA守安功社長が掲げる成長戦略の肝がIPだからだ。前述のマンガボックスなどでIPを生み、ゲームなどに育てて複合的に利を得るメディアミックス型のビジネス構想を持っている。

 今回の提携により、なかば任天堂のキャラクターがDeNAの成長戦略に組み入れられたものともとれる。(もちろんDeNAオリジナルIPと任天堂オリジナルIPは違うのだが)

 焦点はグローバル展開だ。

 守安社長は就任時から果敢に海外展開を進めてきたが、海外ゲーム大手と伍すほどの伸びにはつながっていない。任天堂という巨大なIPを得たことで、中国や米国など海外にどこまで歩を進められるか、守安社長の手腕が試されることになる。

 南場代表が現・守安社長に代表取締役兼CEOの座を渡したのは4年前。「創業者イメージがくっついていつまでも(社会の)公器にならず、南場智子カンパニーでありつづけてしまう」のが嫌だったと南場氏は話していた。提携は守安体制のDeNAが飛躍するかの大きな転機となりそうだ。

 かかった魚は大きいが、釣りあげるには技術が必要だ。任天堂、DeNA、窮した2社が迎えた正念場。ダメかどうかは、ゲームを見てから判断しても遅くないのではないか。

任天堂DeNA業務提携

■関連サイト
任天堂
DeNA(IRニュース)

 

※2015年3月18日18:00更新 南場代表による発言内容での金額表記が一部誤っておりました。初出時は300億円台と記述していましたが、正しくは200億円台となります。お詫びして訂正いたします。

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