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国内で買うより少しおトク ANA機内で手に入る格安SIMを買ってみた

2015年03月16日 19時00分更新

 去年あたりから、訪日外国人向けのデータ専用SIMが各社から登場し、家電量販店などで手軽に購入できるようになっている。そんな中、IIJが販売する『Japan Travel SIM powered by IIJmio』が、3月より全日空の国際線機内で販売されるようになった。そこで、実際に機内で購入してみた。

●日本着陸後すぐにデータ通信が可能!

 IIJは、2014年10月より、訪日外国人向けのデータ専用SIM『Japan Travel SIM powered by IIJmio』を販売している。ビックカメラやヨドバシカメラなどの国内家電量販店で、身分証明書の提示や登録作業不要で購入し利用できる。購入後も、SIMカードをスマホに装着してAPNを設定するだけですぐにデータ通信が可能となる。とにかく手軽に利用できるため、訪日外国人にとって非常に便利な存在となっている。成田空港や羽田空港内のショップ“BLUE SKY”などで販売されており、日本到着後すぐに購入し利用することも可能だ。

 ただし、BLUE SKYは日本航空系列のショップということもあって、成田空港では第2ターミナルにしかなく、全日空などが利用する第1ターミナルにはない。そのため、成田空港第1ターミナルに到着する訪日外国人にとっては、国内の量販店に行かないと入手できないという問題があった。

 そこでIIJは、2015年3月よりJapan Travel SIM powered by IIJmioを、日本発着の全日空国際線機内(中長距離路線限定)で機内販売すると発表した。空港で買えないなら、機内で売ろう、というわけだ。ちょうど筆者は、2月末から3月上旬にかけて、MWC 2015の取材でバルセロナに渡航し、帰国便として全日空便を利用することになっていた。機内限定=買わないわけにはいかないということで、実際に機内で買ってみることにした。

『Japan Travel SIM powered by IIJmio』
↑IIJが発売している、訪日外国人向けデータ専用SIM『Japan Travel SIM powered by IIJmio』。
『Japan Travel SIM powered by IIJmio』
↑ビックカメラなどの国内家電量販店で販売されている。
『Japan Travel SIM powered by IIJmio』
↑空港のショップでも販売しているが、成田空港では第2ターミナルでしか買えない。
『Japan Travel SIM powered by IIJmio』
↑3月より全日空の国際線機内で『Japan Travel SIM powered by IIJmio』を販売すると発表!
『Japan Travel SIM powered by IIJmio』
↑MWC取材の帰国便にパリ発成田行きの全日空便に乗ることになっていたので、買ってみた。

●国内で買うよりもちょっとだけおトク!

 飛行機に搭乗し、さっそく機内販売誌『ANA SKY SHOP 3-4月号(国際線)』をチェック。すると、ちゃんとJapan Travel SIM by IIJmioが掲載されていた。販売価格は3700円。国際線の機内販売ということもあって税金はかからない。国内の量販店では4090円前後で販売されているので、国内で買うよりもちょっとだけお得だ。ちなみに、全日空の機内販売では、ANAカードで決済した場合には10%引きとなるので、さらにおトクとなる。

 機内での購入は簡単で、CAを呼んで「Japan Travel SIM powered by IIJmioが欲しい」と言うだけだ。あとは、座席に座っていれば持ってきてくれるので、料金を払えばいい。実に簡単だ。訪日外国人向けとして販売されているが、もちろん日本人でも購入可能。たとえば、海外で生活している日本人で、日本に一時帰国する場合などにも便利に利用できるはずだ。

 機内で販売されている製品は、国内の量販店で販売されているものと同じだ。SIM形状はナノSIMのみで、利用できるデータ容量は2GB、有効期限は利用開始から3ヵ月(初回通信日より3ヵ月後の月末まで)。データ通信のみで通話は非対応。LTEにも対応しているので、通信速度は下り最大150Mbps、上り最大50Mbpsとなる。

 パッケージの内容物は、日本画が描かれた屏風の形をした台紙と、その台紙に貼られたSIMカード、折り紙と鶴の折り方を紹介する冊子など。これも国内で市販されているものと同じだ。

 ちなみに、機内販売誌には、Japan Travel SIM by IIJmioは“iPhone用”として紹介されているが、もちろんナノSIMに対応のスマホならiPhone以外でも利用可能。実際に、筆者が普段利用している『Xperia Z3 Compact SO-02G』に装着してみたが、全く問題なく利用できた。ナノSIM非対応のスマホでも、アダプターを併用すれば利用できるはずだ。

『Japan Travel SIM powered by IIJmio』
↑機内販売誌を見ると、Japan Travel SIM powered by IIJmioの記述が。さっそくCAを呼んで買ってみることに。
『Japan Travel SIM powered by IIJmio』
↑機内での販売価格は3700円。非課税のため、国内で買うよりちょっとだけおトクだ。
『Japan Travel SIM powered by IIJmio』
↑実際に買ったJapan Travel SIM powered by IIJmio。
『Japan Travel SIM powered by IIJmio』
↑パッケージ内容物も、国内で販売されているものと同じ。
『Japan Travel SIM powered by IIJmio』
↑機内ではナノSIMのみの販売となる。
『Japan Travel SIM powered by IIJmio』
↑日本画が描かれた屏風の形をした台紙にSIMが取り付けられている。台紙は飾り物として活用可能。
『Japan Travel SIM powered by IIJmio』
↑折り紙と鶴の折り方が書かれた冊子も付いている。

●速度はほかのIIJmioのSIM利用時と同じ

 というわけで、成田到着後にさっそく使ってみることにした。以前は、飛行機のドアが閉まっている間は、機内で通信電波を発する電子機器は利用できなかったが、2014年9月にルールが変更となり、着陸後の地上走行中は通信電波を発する電子機器の利用が可能となった。というわけで、機内で購入したJapan Travel SIM by IIJmioは、機内でスマホに装着して着陸後すぐ利用可能となる。今回はそこまで試さなかったが、着陸後すぐにネットに繋ぎたいと思っているネット中毒の訪日外国人にとっては、SIMが機内販売されているというのはかなり魅力的かもしれない。

 使い方は通常のIIJmioのSIMと同じだ。SIMをスマホに装着し、起動後にAPNを設定するだけだ。APNの設定内容は、ほかのIIJmioのSIMと全く同じ。設定方法はパッケージ内の台紙に、日本語、英語、中国語で記載されているので、外国人も問題なく設定できそうだ。そして、APNの設定が完了すれば、即データ通信が可能となる。APNの設定以外に作業不要で使えるというのは便利だ。

 実際の通信速度は、場所や時間帯によって大きく左右されるが、東京都内の飯田橋駅付近で平日午後8時頃にXperia Z3 Compactを利用して計測した場合では、下り41.22Mbps、上り21.09Mbpsと、なかなかの速度が計測された。これはかなり速い部類の結果と言えそうだが、IIJmioは比較的安定して速い速度が発揮されると定評があり、おそらく多くの場所で快適に利用できるものと考えられる。

 Japan Travel SIM by IIJmioは、データ容量2GBで有効期限が3ヵ月と、旅行者向けの仕様となっていることもあり、日本人にとって使い勝手のいい製品ではないかもしれない。ただ、こういうSIMが飛行機の機内で販売されるようになったことで、訪日外国人にとっての利便性は大きく高まったと言える(もちろん一時帰国してくる日本人にも)。

 つい数年前まで、日本では訪日外国人がスマホでデータ通信を行なうのが難しかったというのが嘘のような進化だ。問題があるとすれば、まだ全日空の中長距離国際路線でしか扱われていないという点だが、2020年の東京オリンピックに向けて、短距離国際路線や、ほかの航空会社が扱うようになる可能性も十分に考えられる。さらなる販路の拡充に期待したい。

『Japan Travel SIM powered by IIJmio』
↑利用時には、スマホにSIMを装着してIIJmioのAPNを設定するだけ。その他の登録作業不要ですぐに使える。
『Japan Travel SIM powered by IIJmio』
↑設定に必要な情報はパッケージ内の冊子に記載。英語や中国語でも記載されている。
『Japan Travel SIM powered by IIJmio』
↑飯田橋駅付近での計測で下り41.22Mbps、上り21.09Mbpsの速度を記録。なかなか快適に利用できそうだ。

●関連サイト
Japan Travel SIM powered by IIJmio 公式ページ

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