2015年03月20日18時00分

ハンドル操作を捨て去った『ドリフトスピリッツ』がウケている理由とは(前編):召喚★アプリ神

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 話題のスマホゲームのクリエイターとスクウェア・エニックス安藤武博氏が対談する連載『召喚★アプリ神(ゴッド)』。週刊アスキー本誌で掲載しきれなかったインタビュー内容を3回に分けて掲載します。

 第10回はバンダイナムコゲームス『ドリフトスピリッツ』の中西俊之さんと門田研照さんを召喚!

 なお、第11回のゲストはアソビズム『城とドラゴン』の森山尋さん。追って掲載いたしますのでそちらもよろしくお願いします。

『ドリフトスピリッツ』

召喚★アプリ神
召喚★アプリ神
↑写真右からバンダイナムコゲームス門田研照(もんでんけんしょう)氏、バンダイナムコスタジオ中西俊之氏、スクウェア・エニックス安藤武博氏。

安藤武博(以下、安藤):おかげさまでこのコーナーも10回目を迎えることができました。ひと区切りとなる今回は『ドリフトスピリッツ(以下、ドリスピ)』を手がけられたお二人にご登場いただきます。実はドリスピは、リリース直後からこのコーナーで取り上げたくて仕方がなかったタイトルなんですよ。

中西俊之(以下、中西):そうなんですね、嬉しいですね。

門田研照(以下、門田):リリースから1年と少しくらいですが、そういっていただけるのはありがたいです。

安藤:『パズル&ドラゴンズ』以降アプリゲームの幅や可能性が広がって、これからは積極的にバラエティーに富んだものをつくっていかないといけないと僕は思っていたんです。オープンプラットフォームになっていろんな人がいろんなものをつくれるようになったのに、カードバトル全盛の頃のようにまたみんな似たようなものになってしまっている。そんな中でドリスピは、個性派タイトルの代表格なんです。まず、ハンドル操作で運転するものではなく、なぜドリフトを主軸にしたゲームをスマートフォンでつくろうと思ったのか教えてください。

門田:きっかけは3年近く前で、弊社だと『アイドルマスター シンデレラガールズ』がヒットしていました。これからはソーシャルゲームがくるぞ、ということで、会社の上の方々の打ち合わせがあったんです。

中西:その打ち合わせで、弊社には『リッジレーサーシリーズ(以下、リッジ)』もありますし、車で1本できるだろうという話が出たみたいなんですね。実は僕の方も、ソーシャルゲームをつくりたいという話を社内でしていまして。

安藤:中西さんは、もともとはコンシューマーをつくられていたんですか? アーケードですか?

中西:コンシューマーゲームをずっとつくっていました。今のハイエンド機のゲームだと企画してからつくるまでに、人とお金がとんでもなくかかりますよね。会社としてもチャレンジしにくいですし、僕自身閉塞感を覚えていたこともありまして、ソーシャルゲームやスマホで今までにないものを企画して出したいという気持ちがあったんです。

安藤:それで中西さんに話が来たわけですね。

中西:そうです。当初、車の合成カードバトルの企画が上がっていたんですが、どうもしっくりこないと。中西は車好きだしちょっと見てくれ、という話をいただいたのがきっかけです。

安藤:中西さんご自身、車はどのぐらいお好きなんですか?

中西:ランエボを駆って峠でやんちゃしていましたが、事故ってからはジムカーナに転向しました(笑)。そんな僕から見て、車のカードバトルゲームなんてやりたくないなと。

門田:やっぱり車は、走ってこそ価値がありますからね。

安藤:なるほど、おっしゃるとおりだと思います。

中西:一方で、弊社には過去の資産として車のモデルデータもあれば、アーケードで『湾岸ミッドナイトマキシマムチューンシリーズ(以下、湾岸マキシ)』もやっている。そういったノウハウを活かせば試作はすぐにできます、やらせてくれませんか、と。さらにタッチでドリフトするというアイディアが浮かんで、これは面白いんじゃないか、というところから、ドリスピが始まったんです。

召喚★アプリ神
↑ドリフトゾーン前後のラインに合わせて画面をタッチするだけで、迫力のドリフトが味わえる秀逸なシステム。

■ ドリスピに搭載されているレースゲームの2大発明

安藤:タッチでドリフトって、レースゲームの歴史においてすごい発明だと思っているんです。あのアイディアはどういうタイミングでわいてきたんですか?

中西:海外のゲームに『Real Racing』というゲームがありまして、実によくできている。デバイスを傾けて操作するんですが、スマホで無理なく遊べるようにつくられている。

安藤:しかも進化し続けていますよね。

門田:なので、あの方向に行ってはダメだと(笑)。

安藤:ガチンコで相撲を取るのではなく、違うアプローチの車のゲームをつくる、ということですね。

中西:そうです。『Real Racing』で遊んでいて気になったのは、あれを電車の中でやりますか、といったらできないですよね。(電車の中で傾けて遊ぶのは)恥ずかしいし、揺れるとやっぱり遊びにくい。なので極力操作はシンプルにして、まさにタッチする程度でレースゲームができたらいいなと思ったんです。

安藤:そこからどう発展していったのか気になりますね。

中西:最初は車を自動で走らせて、ブレーキングで操作するシステムだったんです。ブレーキングのタイミングをキューッと合わせて、リリースするとバーンと行く。企画書もそれで書いたんですが、進めていくうちに、ドリフトするゲームだからブレーキよりハンドルに置き換えた方がお客様にも解りやすいのではないかと。ちょっとずつ仕様を変えつつも、ワンタッチで操作するという部分は極力外さずに考えていきました。

門田:試作段階では、『太鼓の達人』のように画面にバーが出ていて、ドリフトのタイミングに合わせてボタンをタッチするシステムだったこともありました。

安藤:そうなんですね、それは意外でした。

中西:プログラマーに「タッチのポイントは路面にも出せますよ」と言われて試しにやってみたら、そちらのほうが断然よくて、今の形になりました。

門田:結果として、今までレースゲームをやったことがなかった女性にも遊んでいただけるゲームになりました。彼氏が車好きだから普通のレースゲームで遊びたいけど、複雑なボタン操作でとっつきづらい、でもドリスピはシンプルな操作で遊べるから楽しいといっていただいています。想定外だっただけに嬉しかったですね。

安藤:ドリスピって抜群にレースをしている気持ちになれるんですけど、正体はタイミングを合わせるゲームですものね。

中西:そうです、その通りです。

安藤:でもやり込んでいくと最終的には自分との戦いになりますよね。つまり従来のレースゲームとまったく同じ構造になってくる。本当に1メートル、いや1センチで攻めるような領域になっていって、コーナーに進入するときにきちんとブレーキを踏んでアクセルをあけて出ていくような、たとえるなら『F-ZERO』でタイムアタックをしている時とまったく同じ感覚になるんです。レースゲームの楽しさや操作を究極まで成分抽出して研ぎ澄ましたから、女性でも遊べるし車好きの人にも楽しめる。相当ゲームの構造設計やデザインに長けているクリエイターの人がつくったんだろうなと思っていたんです。

中西:かなりのベタ誉めですね(笑)。ありがとうございます。

安藤:もうひとつすごいなと思ったのは、ついにレースゲームがカメラの制約から解放されたことです。

門田:そこに気付いていただけましたか! 

安藤:あれこそ革命だと思うんです。普通、レースゲームで運転している時にいきなりカメラの視点が切り替わったら大変なことになる。でもドリスピのドリフト中はボタンを押すだけでハンドルを操作しないから、視点が自在に変えられる。

門田:レースゲーム好きの方からすると、もうちょっとライン取りを考えたいという要望もあると思うんですけど、なぜそうしなかったかというとまさにタッチでドリフトの操作からきているんです。

中西:ライン取りが必要なゲームで、途中で視点が変わったら困りますよね。でもソーシャルゲームってコンシューマーの比じゃないくらい繰り返し遊ぶじゃないですか、何万回も。それに耐えうるようにするにはライン取りのゲーム性よりも、簡単だけどカッコいいシーンが誰でもすぐに味わえる、そういう方向だという確信めいたものが僕の中にあったんです。かなり早いペースで試作して1ヵ月ぐらいでできたので、その点でブレはあまりなかったですね。

安藤:さらにすごいのは、やり込んでいってレベルの高い相手との対戦になって実力が拮抗した時です。最初のコーナーで2台同時に進入していくと、きれいに並んでドリフトでコーナーを回る。それがすごく美しい。相手に負けたくないという気持ちよりも、同時に進入する情景の美しさを感じることが峠のタイマンバトルの醍醐味だと思うし、マンガの『頭文字D』や『湾岸ミッドナイト』を読んでいるときと同じ気持ちになるんですよね。今までのレースゲームと全然違う面白さや見せ方があって、何度も言いわせていただきますが大発明だと思います!

召喚★アプリ神
↑ドリスピならではのカメラ視点。実力が拮抗したライバルとの対決では、写真のように2台並んでドリフトする様子が美しい。

※この対談は2015年2月に行なわれたものです。

■関連サイト
ドリフトスピリッツ公式サイト

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