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マウスコンピューターのWindows Phone端末を予想 アプリ開発者は戻ってくるのか?

2015年02月23日 17時30分更新

 2月23日、マウスコンピューターが“Windows Phoneベースのデバイス”の開発に着手したことを発表しました。

 Windows Phoneの新端末は、2011年8月に発売されたWindows Phone 7.5端末『IS12T』以来、3年半ぶりとなります。後継機を待っていた人にとって、永遠とも思えるほど長い3年半だったのではないでしょうか。

Windows Phone
↑マウスコンピューターが開発中のWP試作機。IS12T以来、3年半ぶりとなる国内向けWindows Phoneとなりそうです。

 筆者としても、Windows 10に合わせてSIMフリーの端末が登場するのではないかと予測していたものの、意外にも早くその片鱗が見えたことに、正直驚いています。

 果たしてマウスコンピューターのWindows Phoneデバイスとは、どのような端末になるのでしょうか。

IS12T以降、新端末がなかったWindows Phone

 2010年、Windows Mobile時代からUIやアプリ環境を大きく刷新したWindows Phone 7が登場したものの、日本での発売は見送られました。その遅れを取り戻すかのように2011年8月には、富士通東芝モバイルコミュニケーションズ(当時)によるIS12Tが、世界初のWindows Phone 7.5としてKDDIから発売されました。

 その後、Windows Phoneはバージョン8や8.1に進化し、ノキアのLumiaシリーズを中心に多数の新デバイスが登場したにも関わらず、国内キャリアからの発売はありませんでした。

 その間にはパナソニックからWindows Phoneベースのタフネス端末『FZ-E1』が発売されたものの、あくまで業務用という位置付け。個人向けスマートフォンとしてのWindows Phoneは、徐々にユーザーの関心が薄れていく状態でした。

 日本マイクロソフトもまた、米国本社や国内キャリア、端末メーカーの思惑が交錯する中で板挟みとなりながら、いまでもIS12Tを日常業務に活用しています。

Windows Phone
↑日本マイクロソフトでXboxのマーケティングを担当する井上正之氏。2月20日の説明会において、IS12Tの健在ぶりを披露しました(ただし、Windows Phone 7.8はOSとしてのサポートが切れているため、同社では特別なセキュリティー体制を構築して運用しているとのこと)。

 こうした状況においてマウスコンピューターの発表は、Windows Phoneにとって久しぶりの大きなサプライズとなっています。

LTE対応のミドルレンジ端末として発売か

 マウスコンピューターのWindows Phone端末は、まだ開発に着手した段階ということもあり、具体的なスペックは発表されていません。画面サイズ、発売時期などについても、「開発に着手した段階なので、まだ詳細はお伝えできません」(マウスコンピューター広報)としています。

 試作機の写真から判断する限りでは、一般的なスマートフォンと同様にカメラを備えていることや、端末前面にWindowsロゴや検索ボタンなどのハードウェアキーがなく、ソフトウェアキーによる実装になることが予想されます。

 Windows Phone 8.1ではハードウェアの要件が大きく引き下げられ、Qualcommによるリファレンスデザインにも対応しています。これによりWindows Phone端末の開発はハードルが下がっており、海外では安価なデバイスが次々と登場しています。

Windows Phone
↑2014年2月のMobile World Congressで発表した、Qualcommリファレンスデザインへの対応により、端末設計は大幅に敷居が下がりました。

 マウスコンピューターによる最近の製品としては、低価格Windowsタブレット『WN801V2-BK』があります。低価格ながら、2GBのメモリーやOfficeを搭載、インターフェースも充実している点が人気を博しています。

 開発中というWindows Phoneベースのデバイスについても、LTEに対応したSIMフリー端末となっていることから、ミドルレンジのスペックを備えたコストパフォーマンスの高い端末となりそうです。

Windows Phone
↑当時のパートナーは海外メーカーばかりだったが、ついにマウスコンピューターがここに名を連ねることになりそうです。

WPアプリの開発者は戻ってくるか

 ようやく日本におけるWindows Phone端末の後継機が見えてきたところで、今後の展開を予想してみたいと思います。まずはアプリ開発が課題となるでしょう。

 かつてIS12Tが登場した頃には、Windows Phoneアプリの開発プロジェクトがいくつも立ち上がりました。実際に筆者も、その一部に参加していたことがあります。しかし2012年ごろ、後継機が出る見通しが大きく下がったことにより、それらの企画の多くはお蔵入りとなりました。また、リリースまでこぎ着けたアプリであっても、ダウンロード数が伸びないことで、その後のバージョンアップを続けることは困難な状況となりました。

 このように一度はWindows Phoneをあきらめた開発者が、今回のマウスコンピューター端末の登場により、再び戻ってきてくれるでしょうか。

 これまでWindows Phoneのアプリ開発に取り組むにあたって、「国内で端末が出ないのでは?」という疑問にぶつかることは避けられませんでした。その端末が出ることで、少なくとも開発者向けのイベントや勉強会はやりやすくなりそうです。例えば、日本マイクロソフトが5月に開催する開発者イベント『de:code』では、Windows Phoneのセッションがこれまで以上に充実することが期待されます。

 具体的なOSについて、マウスコンピューター端末のOSが8.1なのか10なのかはわからないものの、8.1から10に無償アップグレードできることはたしかです。そして現在国内では、SIMフリー市場がかつてない盛り上がりを見せています。これらの追い風を受けて、今後の発売に向けた展開が非常に楽しみになってきました。

Windows Phone
↑Windows Phone 8.1からの無償アップデートが可能な、Windows 10対応も期待のひとつです。

■関連サイト
マウスコンピューターニュースリリース

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