週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

「ドローン」に新しい名前が必要な理由

2015年02月22日 08時00分更新

娯楽用デバイスか殺人マシーンか?今はどちらの解釈も可能だ。(ReadWrite Japan提供記事)

MTI3NjY4NDcwMzQ2MTY0ODY3_0

1月26日早朝、シークレットサービスはホワイトハウス敷地内に1台のドローンを発見した。ホワイトハウスの報道官は何も恐れはないと語ったが、少なくともわれわれは「ドローン」という言葉を聞けば、危険なことも想像してしまう。

通常、ホワイトハウス側がドローンを飛ばしており、ドローンの標的ではない。行政府は2,400人もの死者―報道によれば、その10%以上が市民である―を出した空爆を行うプレデター・ドローンを使用することに対して批判を受けてきた。

したがって、この新しいドローンがオバマ大統領や彼の家族、ホワイトハウスの職員にとって脅威だと言うのは少々無理がある。少なくとも「ドローン」には二通りの意味があることを考えねばならない。

もちろん、政治的な文脈において、通常「ドローン」という言葉は、ミサイルを装備した準無人軍事機を指す。しかし、最近この言葉は、安価で軽量なリモコン操作式の娯楽用無人機のことも指すようになっている。これらのクアッド、ヘキサ、あるいはオクサ(※)コプターは一般的に3ポンド(約1.3キロ)未満で、おもちゃや鳥瞰カメラ、空輸配達サービスとして利用することができる。

※ローター数(クアッド=4、ヘキサ=6、オクサ=8)によって区別がされている。

(月曜の昼前、シークレットサービスはホワイトハウスで発見されたのがクアッドコプターであったことを明らかにした。)

実現可能となったドローンによる配達サービス、Prime Airは市民にとって無害だとアマゾンは主張している。しかし、米国政府を納得させるのに骨を折っているのは驚きに値しない。結局のところ、輸送機となりうるドローンは殺人兵器という意味をも背負っているのだ。

もちろん「ドローン」にはその他にも多くの意味がある。ミツバチのオス、怠け者、ブーンという音、などだ。近代的な戦闘手段を指すものとして、軍事用語においてのみ、無人機という意味を持っている。

「ドローン」に新しい名前を

娯楽用の無人機には「マルチローター・コプター」という名前がよりふさわしそうだ。一般にこのような無人機は、ホバリングや離着陸をスムーズに行うため、4または8つの回転翼(ローター)が必要なので、これはより説明的な役割も持つ。

そしてこれは特徴を示した名前なので、異なるタイプの無人機と混同されることはなさそうだ。プレデターおよびグローバル・ホークといったドローンはコックピットのない戦闘機に似ており、遠距離飛行が可能な大型機である。「マルチローター・コプター」は「ミニ・ドローン」という混同も避けられる言葉だ。あらゆるテクノロジーがそうであるように、兵器用のドローンも必然的に小型化することが予想されるからだ。

ドローンの独自性を誤用されるという例は既に起きている。1月下旬、結晶状の覚せい剤を運んでいた小型のマルチローター・コプターが米国とメキシコの国境付近で墜落した。墜落の原因は過積載とみられる。Secretaria de Seguridad Publica Tijuanaによって撮影されたドローンは、やはり密輸ではなく本来は娯楽用のものだった。

しかし、LAタイムズはまったく別のプレデター・ドローンの写真とともに、このニュースを掲載した。ドローンを利用して麻薬を国外に輸送したケースが150以上あったと、麻薬取締局の報道官が2012年にメキシコメディアに語ったことから、そのような混同が起きたのだと考えられる。

ドローンがニュースになるとき、われわれは技術の発達に驚くべきなのか、一目散に逃げ出すべきなのか、すぐに判断できない。一目でほぼ無害だということがわかるように、「マルチローター・コプター」と命名するこの案はどうだろうか。

トップ画像(DJI Phantom and Predator drone)提供:Wikimedia Commons

Lauren Orsini
[原文]

 

ReadWrite Japan
ReadWrite Japan
ReadWrite Japan(リードライト ジャパン)は2013年9月にスタートした、Webプロダクトとトレンドを分析し辛口なオピニオンと共に提供する世界でも有数のITメディア、ReadWrite.comの公式日本語版です。ReadWriteの刺激的な記事のなかから、日本の読者が興味を持ちそうなものを厳選してお届けします。

※本記事はReadWrite Japanからの転載です。
「ドローン」に新しい名前が必要な理由

■関連サイト
ReadWrite Japan

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう