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MSXを彷彿させるBASIC言語の1500円PC、IchigoJamが楽しい

2015年01月16日 15時00分更新

 MSXやPC-8801、MZ-2000、FM-7……そんな名前を聞いて「懐かしい!」という人も少なくないのではないでしょうか? MS-DOSなどが登場するよりもさらに前の時代、電源を入れるとすぐにBASICが使えた'80年代の8bitパソコン(当時はマイコンと呼んでいたかな)は、当時としては最先端のデジタルガジェットであり、マニア?だけが使う秘密の世界でもありました。(編集部注:MZ-2000などのパソコン(マイコン)のなかには、内蔵カセットやフロッピーから読み込まないとBASICなどの言語は使えないものもありました)

 私自身も1981年、高校1年生のとき、入学と同時に全貯金を叩いてPC-8001を購入し、その後、コンピュータの世界にドップリとハマっていったのですが、やはり最初はBASICから始めたわけで、BASICが自分の血となり肉となったという思いがあります。

 そんなBASICパソコンが、現代に復活していたのをご存じですか? IchigoJamという小さな小さなワンボード機材がそれ。

Ichigojam
IchigoJamは小さなワンボードコンピュータ

 「BASICプログラミング専用こどもパソコン」と銘打たれたIchigoJamは、完成品なら2000円+送料、自分でハンダ付けして作るプリント基板のキットなら1500円+送料という手頃なもの。61mm×45mmという小さな基板に乗ったワンボードのPCで、ここに電源用供給用のmicroUSBを接続し、PS/2キーボードを接続、そしてコンポジット端子から出るビデオ信号をテレビに接続すると使えるというシンプルな機材なんです。

Ichigojam
61mm×45mmという小さなサイズ
Ichigojam
1,500円+送料140円で手に入れたキットをハンダ付け
Ichigojam
microUSB端子は電源のためのもの
Ichigojam
PS/2キーボードを接続して利用する

 中枢にはLPC1114というARMコアのマイコンチップが搭載されており、ここにIchigoJam BASICなるものが入っているんですね。メモリ空間はたったの4KB。またFlashメモリが32KBという、ミニマルなシステムではあるけれど、これでしっかりと動いてくれます。

Ichigojam
基板の中央にはLPC1114というマイコンチップを取り付けた

 実際、起動させてみると、まさに当時のMSXマシンのような雰囲気です。

10 INPUT A
20 INPUT B
30 C=A+B
40 PRINT "A+B=";C

 なんていうように入力し、「RUN」とコマンドを打てば、すぐにプログラムが動いてくれます。そう、いまではソフトウェアは人が作ったものを買ってきて使うのが当たり前であるのに対し、BASICパソコンは自分でプログラムを組んで初めて動くものなんですよね。

 プログラムといったって、BASICなら誰でも簡単。「BASICプログラミング専用こどもパソコン」と言っている通り、小学生だって数時間もあれば、すぐに覚えて使えてしまいます。だからこそ、教育にも役立ちそうだし、大人だって「コンピュータのプログラムとはどういうものなのか?」ということを知るために使ってみても絶対に面白いですよ。
 まあ、MSXみたいとはいえ、BASICのコマンドを眺めてみると、MSXのコマンドの豊富さには到底至らないものではあります。主なコマンドおよび関数を並べてみると

ASC()
CLS
GOTO
IF ~ THEN
INKEY()
INPUT
LIST
LOCATE
NEW
PRINT
RND()
RUN

 といったところでしょうか。文字列変数は使えないし、カラーも使えないなど、ちょっと物足りないところはありますが、それでもかなり楽しく遊べますよ。

Ichigojam
電源を入れるとテレビに出力される。ここでBASICが利用できる

 ちなみに、このIchigoJamが発表されたのは2014年4月であり、その後IchigoJam BASICは進化しながら、2015年1月15日現在のバージョンは0.9.0。今後のバージョンアップによって、まだまだコマンドが増えたり、機能強化されていく可能性は高そうです。
 またワンボードの端子がむき出しのマシンということだけあって、このBASICで端子の入出力をコントロールできるのも面白いところ。IN、OUTという端子の入出力関数も備えているので、これを使って外部機器をコントロールするという使い方もできそうです。

 一方で、このIchigoJamのコマンドにはBEEPとPLAYという音に関するものも用意されています。そうBEEPは「ピー」と鳴らすためのものであり、PLAYは「ドレミファソ」などと演奏させるためのコマンドです。ただし、このIchigoJamには音を出力するための端子が装備されていません。どうするのかというと、中央のマイコンチップの端子であるEX2とGNDを引っ張り出してアンプやスピーカーに接続すると音を出すことができる仕組みになっているんです。

Ichigojam
圧電スピーカーを取り付けて音を出せるようにした

 個人的には、その昔、「音を出すためにPC-8001」を買ったといっても過言ではなく、今もその延長線上で生きていきるだけに、IchigoJamの一番の興味は、ここにありました。

 先日、私が書いているブログ、DTMステーションの記事でも、その演奏する様子を取り上げたのですが、その時のビデオがこれです。

 そう、MMLという音楽記述言語を使ってコントロールを行い、出せるのは単音のみ。また音色も「ビービービー」というシンプルな電子音だけしか出ないのですが、それでも手探りのように苦労しながら演奏データを作り出す面白さは味わえるのではないでしょうか?

 興味のある方は、ぜひ、一度使ってみてはいかがでしょうか?

■関連サイト

藤本健の“DTMステーション”

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