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Windows情報局ななふぉ出張所

ソニモバ製Android Wear端末を検証SmartWatch 3とSmartBand Talk

2014年11月26日 17時00分更新

 ソニーモバイルの最新“スマートウェア”がまもなく発売されます。Android Wearを搭載した『SmartWatch 3 SWR50』は11月28日、SmartBandが進化した『SmartBand Talk SWR30』は11月下旬の発売予定です。

発売直前のSmartWatch 3とSmartBand Talkを試す
↑SmartWatch 3(右)とSmartBand Talk(左)。両製品とも、まもなく発売予定となっている。

 発売直前にこれらの製品を試用する機会を得たため、最新のウェアラブルデバイスの使い勝手はどうなのか特徴を紹介していきたいと思います。

■ソニーによるAndroid Wear端末『SmartWatch 3』

 SmartWatch 3は、ソニーモバイルのSmartWatchシリーズの最新モデルです。今回からOSとしてAndroid Wearを採用し、豊富なアプリを利用できるようになりました。

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↑Android Wearを採用しており、基本的な使い勝手やアプリプラットフォームは他メーカー端末と共通化された。

 ソニー独自アプリとして、マイクから聞かせた音楽の曲名を検索できるTrackIDなどがあることを除けば、他のAndroid Wear端末と基本的な使い勝手は同じです。ただ、ディスプレー表面が滑らかなカーブを描いており、触り心地がいいのはうれしいところです。

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↑ディスプレー表面は滑らかで、触り心地が良い。常に身につけるデバイスとして、細部の作り込みにこだわっている点は好感が持てる。

■スマートウォッチの便利さは、ロック解除機能

 ところで、スマートウォッチを身に付けて生活していると、「いったい何が便利なのか?」とよく聞かれます。一般的には“Androidの通知を受けられる”機能が注目されがちですが、筆者が気に入っているのは、スマホのロック解除機能です。

 この機能はAndroid 5.0 Lollipopで“SmartLock”として標準搭載されるもので、Android 4.4でも『Wear Unlock』などのサードパーティ製アプリを使えば実現できます。これは、あらかじめ登録したデバイスがスマホから一定距離内にある場合はスマホをパスワードでロックしないという機能です。

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↑Android 4.4でもAndroid Wearによるスマートロックを実現するアプリ『Wear Unlock』。

 もしスマホを置き忘れるなど、スマートウォッチがBluetooth接続の圏外になるようなことがあれば、即座にパスワードロックがかかります。そういう例外的な事態を除いて、スマホのロックをいちいち解除する手間を省くことができます。これはスマホを頻繁に使うヘビーユーザーほど、魅力的な機能といえるでしょう。

 実際に筆者がここ2ヵ月の間で、Androidスマホのロックを解除したのは、わずか数回ほど。まったくロックを解除しない日も珍しくないほどです。

■microUSBケーブルによる充電は一長一短

 賛否両論を呼びそうなのが、その充電方法です。SmartWatch 3は、本体背面に搭載したカバー付きのmicroUSBポートにケーブルを接続することで充電します。

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↑SmartWatch 3の充電ポートは本体裏側。microUSBケーブルによりどこでも充電できるのはメリットだが、せめて表裏の区別がないType-Cだったら……。と考えてしまう。

 たいていのAndroid Wear端末の電池持ちは2日間弱。うっかり充電を忘れると、2日目の途中で電池が切れる恐れがあります。そういう意味では、SmartWatch 3が一般的なmicroUSBケーブルを用いて充電できるのは心強いです。

 ただ、毎日の充電のためにカバーをあけてmicroUSBケーブルを接続するというのは、やはりめんどうに感じます。もし『Nokia N1』が採用したような、裏表のないType-CのmicroUSBコネクターに対応していれば、もう少し使い勝手はよかったはずです。この点は、ソニーらしいスマートな改善を期待したいところです。

■SmartBand Talkは電子ペーパー画面を搭載

 もうひとつのウェアラブル製品であるSmartBand Talkは、新たにスマホと組み合わせた音声通話に対応しています。

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↑SmartBand Talkは、新たにディスプレーを搭載。従来モデルとは大きく外観が変わった。

 従来モデルとの大きな違いは、本体にディスプレーを搭載している点です。前モデルは“ライフログを記録するデバイス兼リモコン”といった製品でしたが、ディスプレーを搭載したことで、いよいよ本格的にアプリが動作するようになりました。タッチ操作には対応していないものの、画面を軽くタップすることで、クリックに相当する操作が可能です。

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↑ディスプレーを搭載したことで、SmartBand上で動作するアプリが実現。アプリの形式は独自仕様だが、ダウンロードにより追加できる仕組みが用意されている。

 ディスプレーには、消費電力の低いモノクロの電子ペーパーを採用。そのメリットは、画面をオンにした状態でもほとんど電力を消費しない点にあります。スペック上の電池持ちは約3日間となっており、実際に装着していても、なかなか減っていかないという印象でした。

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↑電子ペーパーの特性上、別の画面が焼き付いたような跡がわずかに残ってしまう。

 一方で、電子ペーパーならではの問題もあります。画面描画の切り替えはやや遅く、別の画面の跡がわずかに残ってしまう点が気になります。似たような形状の製品として、サムスンの『Gear Fit』や、米国で発売された『Microsoft Band』と比べると、モノクロゆえの地味さは否めないところです。

■ソニーモバイルの次の一手も見えてきた

 毎日の生活で身につけるウェアラブル製品として、ブランドにはこだわりたいところ。そういう意味では、ソニー製というだけでも魅力を感じる人は少なくないでしょう。

 半面、ソニーモバイルは直近の業績悪化に注目が集まっています。11月25日に開催されたSony IR Day 2014では、ソニーモバイルの売り上げの9割を占めるスマホ事業について、日本や欧州でXperiaシリーズが好調な半面、米国や中国ではシェアが1%に満たないなど、苦戦が続いていることが明らかになりました。

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↑11月16日付けでソニーモバイルコミュニケーションズの新社長に就任した十時裕樹氏。構造改革により収益性を改善した後は、新分野にチャレンジしていくとの展望を語った。

 今後の展開として、一部市場からの撤退や製品ラインの絞り込みなど、厳しい構造改革は避けられないようです。しかしソニーモバイルコミュニケーションズの新社長に就任した十時裕樹氏は、その先にある新しいIoT時代を見据え、通信機能を備えたコンシューマー向け製品は、ソニーとして重要な分野と認識していると語りました。

 ハイエンドのXperiaを中心に事業を立て直した上で、ソニーモバイルの次の展開に期待したいところです。

山口健太さんのオフィシャルサイト
ななふぉ

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