2014年11月19日17時00分

Windows情報局ななふぉ出張所

「スゴい」PCが年末商戦に直面する、大きな課題

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 PCの売り上げが大きく伸びた2013年の年末商戦から1年が過ぎ、いよいよ2014年も残すところ1ヵ月強となりました。

 11月12日には年末商戦に向けてWDLCがPCの販促キャンペーンを発表。昨年同様に東進ハイスクールの林修先生を起用し、新しいOfficeを中心に売り込んでいくことを表明しました。

「スゴい」PCが年末商戦に直面する大きな課題
↑今年のキャッチフレーズは「スゴい!」。新しいOfficeにより、1TBのOneDrive(将来的に容量無制限になる予定)が多くのPCから利用できる点はたしかにスゴい。だが、PCの下落トレンドを反転させるほどの起爆剤になるかどうかは未知数だ。

 2013年から2014年にかけて訪れた“XPサポート終了”や“消費税増税”は、PC業界に数年来の特需をもたらしました。それが過ぎ去っても、果たしてPCは売れるのか、今後の動向を予想していきましょう。

■壇上のメーカーは3社に減り、売上げは昨年の反動で伸び悩み

 PCの売り上げがピークを迎えると思われた2014年3月を過ぎても、しばらくの間、PCは売れ続けていました。

 しかし11月11日にIDC Japanが発表した国内クライアントPC出荷台数では、前年同期比で下落したことが明らかになっています。昨年が売れすぎただけに、余計にその反動が大きく感じられます。

 一方で、“若者のPC離れ”を耳にする機会も増えてきました。携帯電話キャリアも、AndroidタブレットのPCのように使いたいという需要を認識しており、いよいよNTTドコモは冬モデルにおいて、GALAXY Tab S 8.4にキーボードを同梱してきたほどです。

「スゴい」PCが年末商戦に直面する大きな課題
↑NTTドコモは冬モデルのGALAXY Tab S 8.4にキーボードを同梱。わずか550gで、LTEを搭載した8.4インチ・WQXGA解像度のタブレットをPCのようにも利用できる。Androidで学校のレポートを作成したい、スマートデバイス世代をターゲットにした製品だ。

 このような世代交代には、2年や3年といった短期ではほとんど気が付かないものです。しかし5年、10年という期間で見れば、子供の頃からiPadとChromebookに親しんできた世代が増えていき、やがて勢力が逆転する可能性が出てきます。
 

■ソニー不在のキャンペーン、“VAIO”は対象外

 WDLCの理事としてステージに登壇したPCメーカーは、ソニーがいなくなったことで、昨年の4社から3社に減りました。新たに発足したVAIO株式会社はWDLCに参加していないため、今回の販促キャンペーンの対象外となっています。

「スゴい」PCが年末商戦に直面する大きな課題
↑2013年のキャンペーンの様子。NECレノボ、ソニー、東芝、富士通の4社が勢揃いした。
「スゴい」PCが年末商戦に直面する大きな課題
↑2014年にはソニーが消え、3社が残ったカタチに。日本マイクロソフト幹部が両端を固めることで人数は増えたものの、ソニーの不在がいっそう強調される形となった。

 ちなみにソニー時代には、「メーカーの枠を超えて、PC業界全体を盛り上げていこう」と呼びかけていたこともあり、業界団体の枠を超えてVAIOを支援できないというのは、やや寂しいところです。

 そんななか、出荷台数世界1位のレノボとNECの合弁によるNECレノボ・ジャパングループは、国内PC市場でも1位を確保。国内3位の東芝は、すでにコンシューマー向けPCの縮小を表明しており、企業向けに集中する方向に向かっています。

 気になるのは、国内2位の富士通です。2014年7~9月期のPC出荷台数は、コンシューマー向けとビジネス向けの両方で前年比3割減と、大きく落ち込んでいる点が気になります。

 同社のPCやスマホ製品を手がけるユビキタスソリューション事業では、「(キャリア向けが中心のスマホと違って)PCはエンドユーザーとの唯一の接点」とし、今後もコンシューマーPCを重視していく意向を示していました。しかし今回の大幅減により、何らかの見直しを迫られることになりそうです。
 

■PCを買い換える積極的な理由はあるか?

 それでは、2014年の年末商戦はどうでしょうか。

 ドル円相場は急激な円安が進んでおり、今後はPC関連製品の値上げが予想されます。しかし消費税の引き上げは2017年4月に先送りされたこともあり、慌てて買い物をする必要はありません。

 Windowsは2012年の“8”、2013年の“8.1”と、年末商戦に合わせてアップデートを繰り返してきました。しかし2014年はOfficeのみの更新にとどまり、しかもOfficeアプリの基本部分は変わっていません。来年には、Windows 8の問題点を修正したWindows 10が登場すると思われます。

 プロセッサーとしてはCore Mが登場したものの、最小構成で15万円の『Let'snote RZ4』など、搭載製品は限られています。第5世代Coreプロセッサー(Broadwell)が広く普及するのは、1月のCES 2015以降になるでしょう。

 以上のことから、PCが壊れて使い物にならないなど差し迫った理由がない限り、2015年に向けて、この冬は様子見の姿勢が無難といえそうです。

■スマホ・タブレットの不便さを補完できるPCの登場に期待

 ただ重要なのは、こうした状況下でも、デルや日本HPは前年同期比で出荷台数を大きく伸ばしているということです。コンシューマーの需要に応えるPCなら、売れる見込みは十分にあるといえます。

 今後の方向性として、まずは個人向けの販売も始まったChromebookのように、シンプルで低価格なPCが挙げられます。AMDプロセッサーやWindows 8.1 with Bingなどを利用して、2~3万円台の製品ラインの充実に期待したいところです。

 また、アップルがYosemiteで搭載したiOSとの連携機能“Handoff”のように、スマホ・タブレット連携も重要になりつつあり、すでに東芝は、ノートPCのキーボードをスマホやタブレットの外部キーボードとして利用する機能を実現しています。

 なによりスマホやタブレットでは、大画面のディスプレイやフルサイズのキーボード、大容量ストレージの活用に困難が伴います。PCは使いこなしが難しいものの、スマホやタブレットの不便さを解決できるポテンシャルがあることは間違いありません。

 スマホやタブレットしか使ったことがない世代にも、「PCがあれば圧倒的に便利だ!」と実感してもらえるような製品の増加を、期待したいところです。

山口健太さんのオフィシャルサイト
ななふぉ

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