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Programming Will Save Us by遠藤諭

2014年10月28日 13時00分更新

 週刊アスキー本誌では、角川アスキー総合研究所・遠藤諭による『神は雲の中にあられる』が好評連載中です。この連載の中で、とくに週アスPLUSの読者の皆様にご覧いただきたい記事を不定期に転載いたします。

文具とパソコンの話

 7月から“Tech Institute”(※1)という16~35歳までが受講生のアプリ講座を手伝っている。正直、講師の方々のおかげで試行錯誤しながらやってこれているのだが、やっぱりこの時代にデジタルを使って自分をパフォーマンスしない手はない! ちょっとうらやましい。

 10月9日、オバマ大統領が“Medium”に投稿したこと(※2)がとちょっと話題になっている(日本ではまるで報道されていないかもしれません)。Mediumは、Twitterの創業者のひとりエヴァン・ウィリアムズが1年ほど前に公開したサービスで、日本の“note”はMediumを意識しているんじゃないかなどといわれる。若い専門家やクリエイター、オピニオンリーダーに重宝されている新しいタイプのブログといえる。

 たしかに、大統領がクールな若者たちに支持されているサービスに投稿したのもニュースかもしれないが、内容は学生ローンや教育システムなどにも触れながらテクノロジーについての考え方を強調したものだ。“歴史はキミたちをミレニアルズ(Millennials~'00年前後以降に成人をむかえた世代)と呼ぶ”として、オバマ政権は、20世紀型のオールドエコノミーじゃない、“新しい技術”と“若者たち”に賭けていると訴えたのだ。

 オバマといえば、昨年12月の“コンピューターサイエンス教育週間”(今年も12月8~14日に行なわれる=そういうものがあるだけでうらやましい)で、今米国は“プログラミングする民”が必要で、そこでは誰にでもチャンスがあると講演した。今や20年前には存在しなかったスマートデバイスやソーシャルメディア、デジタルファブリケーション、それらを支える基礎技術が世界を動かしている。そうした状況の中で絶対不可欠な要素がプログラミングである。三段論法的に言えば、大統領は、“プログラミングがアメリカを救う”と言ったといってもまるで間違いではないだろう。

 ところで、プログラミングといえば、角川アスキー総研で“Tech Instituteアプリ開発講座”のカリキュラムや運営を手伝わせてもらっている。早稲田大学エクステンションセンターで7月に開講したものだが、来年1月からは大阪でもグランフロント大阪 ナレッジキャピタルと角川アスキー総研の共催で行われることになった。全130時間、第一線で活躍するプログラマらを講師に迎えたアンドロイドのアプリ開発スクールである(受講受付は11月6日まで=公式サイトをご覧あれ)。

 ナレッジキャピタルは、JR梅田駅を降りて右にヨドバシカメラを見ながら駅直結の大型商業施設グランフロント大阪にある(13年に竣工したばかり)。ここは1階から6階まで関西を中心にした企業や大学がテクノロジーで直接人々と対話する“フューチャーショウルーム”。7階に、ビジネスマン、研究者、クリエイターが自由に交流できる“ナレッジサロン”(会員制)、13階までは、それらをもとに知の創造を実現する“ナレッジオフィス”。さらに、シアターやカフェ、カンファレンスルームも完備しており、ナレッジキャピタル代表理事の宮原秀夫氏(元大阪大学総長)は「人が集まるところに“屋台”が並ぶ感じ」(屋台=企業・研究機関・大学など)とコメントしている。

Tech Institute 神は雲の中にあられる
Tech Institute 神は雲の中にあられる
↑JR大阪駅の梅田貨物駅を中心とした跡地の再開発が進んでいるがその先行開発区域として開業したのがグランフロント大阪。その北館を縦につらぬくようにつくられたのがナレッジキャピタル。

 そうなのだ、私もナレッジキャピタルの計画をはじめに聞いたときに、「なんで駅前の一等地にそんな施設をつくるんだ?」と疑問に思ったのだが、実は、ふつうの人々がショッピングや飲食に訪れるところにあるからこそが意味がある。今やテクノロジーやそれをとりまくクリエイティブなことすべてが、スマートフォンやネットサービスによって、ふだんの人々の生活の目線のなかに降りてきている。オバマ大統領は、新しいテクノロジーやプログラミング、その世界の主役であるべきみんなの隣にいる若者たちこそが、“アメリカを救う”と言った。日本もそのはずなのだ。

Tech Institute 神は雲の中にあられる
Tech Institute 神は雲の中にあられる
↑テクノロジーやアートを栄養にした巨大生物かロボットみたいな感じでもある。さまざまイベントも開催されており、11月6日~2015年1月25日には“アルスエレクトロニカ”とのコラボレーション!“CODE:「私たちの時代の言語」展”が行なわれる。

※1
Tech Institute アプリ開発者養成講座

 角川アスキー総合研究所が協力し、サムスン電子が社会貢献活動としてスポンサードするものです。以下の項目にビビっと来た方はぜひご応募あれ(11月6日〆切)!

・プログラミング未経験者も歓迎
・160時間でアプリ開発を身に付ける
・東京に加えて2015年は大阪でも開講
・20歳以下無料、一般も7万円の受講料
・日本アンドロイドの会が協力
・第一線のエンジニアが講師
・仲間とアプリ完成まで学べる

応募および詳細ページ http://techinstitute.jp/

※2
オバマのMedium
「Why I’m Betting on You to Help Shape the New American Economy」
(私が新しいアメリカ経済を形づくるためにキミたちに賭けている理由)


 https://medium.com/@PresidentObama/why-im-betting-on-you-to-help-shape-the-new-american-economy-e80a775b44ee

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