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【私のハマった3冊】いまライブドア事件から“働く意味”をもう一度考え直す

2014年10月11日 21時00分更新

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社長が逮捕されて上場廃止になっても会社はつぶれず、意志は継続するという話
著 小林佳徳
宝島社
1296円

ゼロ
著 堀江貴文
ダイヤモンド社
1512円

リクルートのDNA
著 江副浩正
角川oneテーマ21
741円
 

 2006年1月16日の夕方。六本木ヒルズのオフィス内に声が鳴り響いた。「みんな、パソコンに触らないで!」。東京地検特捜部による株式会社ライブドア強制捜査の始まりだった。

 あの日、僕はあの場所にいた。15年働いたアスキーを離れ、新天地で自分よりひとまわり以上若い同僚たちと世の中に切り込むべく、苦しかったけど希望を抱いて働いていた日々。

 いつも高速回転する歯車のように働き続けていた社員たちは、「仕事をするな」と指示されて呆然と机に向かっていた。

 そこへ堀江社長が現われて言い放った。「いいんだよ、みんな仕事して。頑張ろうぜ!」巻き起こる拍手と歓声。ただ、このあと堀江さんは地検に勝手なことをするなと、怒られたらしい。

 ライブドアは不思議な会社だった。既存の社会の不文律に縛られない(≒わかっていない)若い社員達がガムシャラに社会のあちこちに風穴を開けようと奮闘していた。しかし、そんなライブドアの本質を伝えたマスメディアは皆無だった。

『社長が逮捕されて上場廃止になっても会社はつぶれず、意志は継続するという話』は当時人事部にいた僕の知人が書いた、たぶん初めて内部から見たライブドアの実態を描いた本だ。

 実利主義だけど一方で人間的だったライブドアの社風を描き、やりたいことを、なりふり構わず仕事にできたことがライブドアの魅力であり、ガムシャラな働き方こそ今の暗い日本を明るくできるのでは、としている。

『ゼロ』は、そんなライブドアを作った堀江さんの仕事論と人生論。かけ算で飛躍する前に、まず足し算でゼロな自分に経験を積み上げる大切さを説く。今も昔も猛烈に働くのは、お金ではなく働く仲間の笑顔と、世の中を少しでも良くしたいからだという。同じように時代に先駆け、社会に影響を与えた企業の創業者が来歴を語った『リクルートのDNA』も読むと、働くことの意味が見えてくるかも。
 

根岸智幸
元編集者。現ウェブ屋。『東京グルメ』とか『本が好き!』とか企画運営。Twitter:@zubapita

※本記事は週刊アスキー10/21-28号(10月7日発売)の記事を転載したものです。

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