2014年09月20日18時00分

【私のハマった3冊】名古屋は東日本か西日本か 関西と関東の違いを考察する

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関西と関東
著 宮本又次
文春学藝ライブラリー
1706円

東京語の歴史
著 杉本つとむ
講談社学術文庫
1264円

新幹線と日本の半世紀
著 近藤正高
交通新聞社新書
864円
 

 名古屋は東日本なのか西日本なのか? 意見が分かれるところだが、地元出身の私としては、文化的には関東に近いところが多いように思う。たとえばカップうどん・そばは日本の東西でつゆが違うが、名古屋で売られているのは関東と同じ濃口だ。

 歴史的にも岐阜県の関ケ原をもって東日本と西日本に分けられるそうだから、名古屋は関東寄りということになる。江戸幕府を開いた徳川家康も、名古屋を東国を守る重要な拠点と位置づけた。だが時代が下るうちに関西商人が勢力を伸ばし、京都・大坂の商圏に入ったと、宮本又次『関西と関東』は書く。

 同書は関西と関東の違いを、風土・食物・服飾・芸能・言葉などさまざまな事柄から考察した一冊だ。ただ著者は上方研究の専門家だけに、関西びいきの語調が強く、関東の人が読むとカチンと来るところもあるだろう。江戸っ子が初鰹を好み、それに高値がつけられたことについても、 “つまり「高いからうまい」と考える”わけで“江戸人の味覚の貧弱さを示すものといえる”と手厳しい。

 同じ関西人でも、江戸前期の文人・井原西鶴は江戸の人間に好意的だ。西鶴は、高いものを高いと思わず買う江戸人の気質を評価し、京・大坂に住みなれた“心のちいさきもの”とはくらべようのないほど江戸は抜きん出ているとまで書いた。杉本つとむ『東京語の歴史』はこうした話を紹介しつつ、各地から人々が流入するなかで江戸弁が形成されていく過程をたどる。

 東西の交流は昔から盛んだったものの、それでもなお言葉を含む文化の違いは大きく残った。50年前の東海道新幹線の開業時には、東京と大阪を行き交う運転士のあいだで訛りの違いから混乱も生じたという。拙著『新幹線と日本の半世紀』に書いたように、新幹線のおかげで東京~大阪間を移動する人は格段に増え、情報交流密度は高まった。同時に、東西の文化の違いも小さくなっていったのである。
 

近藤正高
ライター。ウェブサイト『cakes』にてタモリを通して戦後史をたどる『タモリの地図』を連載中。

※本記事は週刊アスキー9/30号(9月16日発売)の記事を転載したものです。

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