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光造形3Dプリンター『SCOOVO MA』シリーズはデカかった

2014年09月01日 19時00分更新

坂口社長、MA10を傍らにニッコリ
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↑パッと見は「意外と小さい?」と思われがちですが、高さ992ミリで重量63キロ。キャスターがあるので移動はラクですが……。

 9月1日発売の光造形3Dプリンター『SCOOVO MA』シリーズ2機種は、最小積層ピッチ0.025ミリ(25ミクロン)の『MA30』(直販価格321万8400円)と、同0.05ミリ(50ミクロン)の『MA10』(直販価格181万4400円)。

 アビーの坂口信貴社長は「ものづくり企業や病院などがユーザー層の中心だと思いますが、個人の需要もあるはず」とコメント。

 発表会場に設置されていた『SCOOVO MA』シリーズをひと目みた記者の感想は「想像以上にデケぇ」というものでした。本体下部の光源から材料に光を照射して硬化させるので原理的にサイズは大きくなるとはいえ、六畳間に設置すると寝るスペースをかなり圧迫することは間違いありません。

MA30はさらにビッグ
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↑写真奥の『MA30』の高さは堂々の1メートル超え(1042ミリ)。

 気になる動作音ですが、液体樹脂をレジンフィーダーシートに塗布していくヘッドが移動する際にモーター音がしますが、照射中はほぼ無音。なお、材料価格は現在未公開ですが、光硬化樹脂(アクリル、ゴムライク樹脂)はそれぞれ1キロ3万円前後とのこと。別売りで樹脂に色づけする材料も用意されるようです(全12色を予定)。

エッフェル塔を造形中
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↑下から光を当てて材料を硬化させていきます。造形物は天地逆になる計算。最大造形サイズは小さいですが、余ったスペースで別のモノを造形できるので歩留まりは高そう。
造形樹脂は引き出しに注ぐ
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↑レジンフィーダーシートにジワジワと造形樹脂を塗布して硬化させていきます。材料はある程度放置していてもオーケーらしいので安心。色を変える場合は材料を入れ替え、シートを拭きとります。

 印刷アプリはWindows OS用のみ用意されます。操作画面はシンプルそのもの。OS X用は「検討します!」(坂口社長)とのこと。

ソフトは質実剛健
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↑工場の生産ラインにいるのかと錯覚させられるほど無骨な画面。ある意味萌えるポイントでしょうか。

 ゴムライク樹脂で造形されたカップ(ジャバラ状のゴムパーツ)はフニフニしており、ちゃんとカップとして使えそう。硬さはアクリル樹脂を混ぜていくことで調整できるようです。アクリル樹脂で造形された作例は、積層型とは異なり段差やギザギザが少なくかなりキレイ。このあたりは光造形方式の強みですね。

ゴムライク樹脂ならプニプニ
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↑キャップの作例は指で押すとキチンとプニプニします。硬さはアクリル樹脂を混ぜることで調整できます。
造形物はなめらか
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↑段差やギザギザが少ないなめらかな仕上がりはさすが光造形。

 1年間のハードウェア保証がつくほか、保守契約が必須ではないのも個人用途にはナイス。保守契約はオンサイトと、機器をメーカーに返送して対応のセンドバックに分かれており、オンサイトは3年契約で75万円(1年25万円)、センドバックは3年契約のみで48万円とのこと。

 『SCOOVO MA』シリーズは年500~600台の出荷を予定。光造形方式では安め(!?)とはいえ、個人で購入するには相当の覚悟が必要ですが、ガレージキットの髪を3D造形したい! という方は意外と多いのではないでしょうか。

MAとX9Hシリーズの作例
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↑大きいモノをつくりたいなら『X9H』。半透明や細かい造形を求めるなら『MA』シリーズといった印象。『X9H』の精度もかなりよさげで悩ましい。

 発表会場には高さ34センチまでの造形に対応する『SCOOVO X9H』も展示されていました。前面にはSDカードスロットと操作パネルが新たに設置され、PCレスで造形できるのが◎。最小積層ピッチは0.05ミリ(50ミクロン)で、作例の精度はなかなかのものです。

PCレスで造形可能に進化
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↑『X9H』の前面には操作パネルとSDカードスロットが用意され、PCレスで造形できます。
ヘッドはデュアルファンを搭載
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↑2つのファンとヒートシンクを搭載し、ノズル内部の熱上昇によるフィラメント詰まりを抑制。
Z軸はM14規格ねじ
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↑Zシャフトは直径14ミリ。高精度な位置決めを実現しています。
人物造形も思いのまま
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↑前髪付近にやや乱れが見られますが、熱熔解積層方式としてはなめらかな印象。これならフィギュアづくりもいけるかも?

SCOOVO MA30
・アビー
・9月1日発売
・直販価格 321万8400円(税抜298万円)

SCOOVO MA30スペック
・光源:LED&レーザーハイブリッド
・積層ピッチ:0.025mm/0.05mm(ソフト切り替え)
・XY解像度:0.05mm
・最大造形サイズ:96(W)×54(D)×150(H)mm
・造形マテリアル:アクリル樹脂/ゴムライク樹脂
・入力方式:.stl
・消費電力:約650W
・サイズ/重量:684(W)×554(D)×1042(H)mm/約65kg

SCOOVO MA10
・アビー
・9月1日発売
・直販価格 181万4400円(税抜168万円)

SCOOVO MA10スペック
・光源:LED&レーザーハイブリッド
・積層ピッチ:0.05mm
・XY解像度:0.1mm
・最大造形サイズ:100(W)×75(D)×150(H)mm
・造形マテリアル:アクリル樹脂/ゴムライク樹脂
・入力方式:.stl
・消費電力:約500W
・サイズ/重量:684(W)×554(D)×922(H)mm/約63kg

●関連サイト
アビー(製品サイト)

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