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宇宙への挑戦の歴史を目撃 『宇宙博2014』に行ってきた!~JAXA編~

2014年08月14日 10時00分更新

文● 秋山文野 編集●にゃかむらKONOSU 撮影●小林伸

 さあ。NASAエリアを堪能したあとは、いよいよ我らが日本のJAXAゾーンへ向かいます!

■大迫力の実物大“はやぶさ”とISS実験モジュール

宇宙博2014

 JAXAエリアに入ると、天井には国際宇宙ステーション(10分の1サイズ)と小型ソーラー電力セイル実証機『IKAROS(イカロス)』の実物ソーラーセイル(左)が肩を並べるという、宇宙博ならではの2ショットが。ソーラーセイルは、台形に分割したうちの1点です。

宇宙博2014JAXA

 イカロスのセイル展開機構も解説されています。薄い膜を折りたたんで円筒形の展開機構に巻き付け、回転させながら遠心力で広げていくのですね。

宇宙博2014JAXA

 どーんとそびえるのは、ISS日本実験棟『きぼう』の実物大モデル。JAXAの筑波宇宙センターにも実物大モデルがありますが、こちらは宇宙博のために製作されたというピカピカの新品だとか!

宇宙博2014JAXA

 “きぼう”は、右手にある小型エアーロックとロボットアームを駆使し、超小型衛星の放出やタンパク質結晶実験などが可能な施設です。上に突き出た円筒形の部分は貨物室で、いわば“きぼう”の押し入れですね。

宇宙博2014JAXA

 宇宙博では、階段を上って“きぼう”の中に入ることができます。日本人初のコマンダー、若田光一宇宙飛行士になったつもりで、中を通り抜けてみると楽ししいですよ!

宇宙博2014JAXA

 ほかの国のモジュールとつながる入口部分には、のれんがかかっており、こちらはJAXA星出彰彦宇宙飛行士が掲げたもの。開会式に出席した古川聡宇宙飛行士が、入り口の右上に、7月18日の日付入りサインを記しているので、必ずチェックしてください。

宇宙博2014JAXA
宇宙博2014JAXA

 ISSのトイレシステムや住居モジュールも閲覧可能です。なじみのあるケチャップやマヨネーズも宇宙にもって行けるんですね。

宇宙博2014JAXA

 こちらは糸川英夫博士が開発した、日本初の実験用ロケット『ペンシルロケット』です。2013年、JAXA宇宙科学研究所の阪本成一教授がペンシルロケット遺産を収集し、200機中の17機を確認。全長23センチの標準型に加え、全長30センチと長いペンシル300、標準型を2機重ねた2段式ペンシルなどのバリエーションが存在します。スクラップから見つかったものもあるとのことで、ほかにもまだ見つかる可能性もあるそうです。

宇宙博2014JAXA

 もちろん、日本のロケット開発の歴史もじっくりと学ぶことができます!

宇宙博2014JAXA

 宇宙と地上を往復して旅行客を運ぶ宇宙船を目指し、宇宙科学研究所が開発した、再使用ロケット『RVT』の試験機。

宇宙博2014JAXA

 人気の惑星探査機『はやぶさ』も実物大で展示されています。こちらは開発中に作られた熱構造モデルと呼ばれる試作機。手前にあるのは2014年度打ち上げ予定の『はやぶさ2』の模型です。NASAは2020年代に小惑星から大量のサンプルを持ち帰る有人探査計画を準備していますが、そのターゲットにはイトカワや『はやぶさ2』の目的地の小惑星、1999JU3も入っています。

宇宙博2014JAXA

 1998年に打ち上げられた、日本初の火星探査機『のぞみ』の模型もありました。のぞみは、残念ながら火星軌道投入まで至りませんでしたが、本来であれば火星上空の大気と太陽風についての研究を目的とした探査衛星です。

宇宙博2014JAXA

 衛星開発の貴重な試験機も展示。これは1970年に打ち上げられた日本初の人工衛星『おおすみ』の2分の1モデルです。実物は大気圏突入で消滅しました。

 まさに現在の宇宙開発で非常に盛り上がっているジャンル、小型相乗り衛星の展示も数多く見られました。

宇宙博2014JAXA
↑こちらは東北大学の『RISESAT』。1215年以降の打ち上げを目指しています。
宇宙博2014JAXA
↑2009年にJAXAの衛星『いぶき』と共に打ち上げられた相乗り超小型衛星。東京都立産業高等専門学校の『KKS-1(KISEKI)』です。当時の開発メンバーのひとりは、今は“初音ミク衛星”の開発に参加しています。
宇宙博2014JAXA

 妙な形をしていますが、これも3Dプリンターで製作された、人工衛星。多摩美術大学/東京大学共同の『ARTSAT2:DESPATCH』は、2014年末、はやぶさ2と相乗りで宇宙を目指す予定です。

宇宙博2014JAXA

 2013年9月14日にイプシロンロケット初号機で打ち上げられたばかりの“宇宙門松”こと、惑星分光観測衛星『ひさき』のミッション機器(望遠鏡)部分も宇宙博にやってきました。

宇宙博2014JAXA

 お次は日本とヨーロッパが協力して進めている国際共同水星探査計画『ベピコロンボ』。JAXAが開発中の磁気圏観測衛星『MNO』の構造モデル。ヨーロッパでは表面を探査する探査機『MPO』を開発しています。

宇宙博2014JAXA

 国立天文台から、TMT望遠鏡のセグメントミラーと呼ばれる、機器の一部を展示。口径30メートル、超大型望遠鏡の実現を目指す『TMT』計画。これは実物で、このままTMT望遠鏡に取り付ければ機能するそうです。

宇宙博2014JAXA

 日本は南極で多数の隕石を収集しているのですが、国立極地研究所が収集した南極隕石のなかから、1978年に発見された鉄隕石が展示されています。こちらは触って感触を確かめることもできます。

宇宙博2014JAXA

 宇宙博唯一の動態展示、『宇宙エレベーター』。展示用のクライマー昇降を見学することができます。宇宙エレベーター協会が毎年実施する技術競技会では、これまで1100メートルの高さまで昇降したクライマーが最高記録。展示用クライマーは、宇宙博開催中に7メートルの高さを数百回往復する予定なので、実現すれば競技クライマーより耐久性が高いということに!?

宇宙博2014JAXA

 2013年8月、宇宙エレベーターチャレンジ『SPEC』で世界最高の1100メートル昇降に成功したチーム奥澤のクライマー『momonGa-5。』も実物が展示されています。

 以上、足早に紹介したJAXAエリアでした。NASAとJAXAがタッグを組んで開催する超特別イベント『宇宙博2014』。会期は9月23日までと長めなので、ぜひ足を運んでみてください。宇宙博公式キャラクター、キュリオ君が会場に現われることもあるようですよ!

宇宙博2014JAXA

『SPACE EXPO 宇宙博 2014 | NASA・JAXAの挑戦』
http://www.space-expo2014.jp/
開催期間:2014年9月23日(火・祝)9時30分~17時
会場:幕張メッセ 国際展示場 10・11ホール(千葉県)
入場料:一般2500円、高校・大学生1500円、小・中学生900円

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