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山根博士も行きますよね!“G博”と40ミクロンのゴジラ by遠藤諭

2014年07月09日 22時00分更新

 新作『GODZILLA』公開前に、渋谷ヒカリエで“G博 ゴジラ東京に現る”という催しが開かれる。今回のGODZILLAは、'54年の初代ゴジラとの対比がバックグラウンドストーリー、このイベントでは初代ゴジラの破壊シーンを再現したジオラマや最後にゴジラを葬る“オキシジェン・デストロイヤー”と、新作GODZILLAの撮影に使われたハリウッド直送の品々が対面するそうな。

G博 ゴジラ東京に現る
G博

 私のような怪獣世代で「米国ゴジラも絶対観るゾ」と決めているオヤジどもには、興味津々のイベント。ちなみに、こちらは東京タワーを会場に“ゴジラの世界展 in 東京タワー 〜GODZILLA GENERATION〜”という併催イベントも行なわれる。生賴範義と開田裕治の描くゴジラワールドをデジタルアートと複製原画の展示で、これも必見。

 さて、なんでこんなにゴジラと言われて気合がはいるのかというと、ゴジラを中心とした怪獣文化とでもいうべきものが日本のクリエイティビティに及ぼした影響って本当に大きいと思うからだ。爬虫類のはずがキノコ雲のように高低差のある荘厳でさえあるプロポーション、ゴリラとクジラからついたというこれ以上ないネーミングなど(『岩波国語辞典』巻末に合成語の例として出てくる)。

 それは、'50年代から'70年代にかけてくりひろげられる怪獣造形や設定の数々、しかも、それが着ぐるみに人が入ったフィクションであることを子どもでも知っているという構造に引き継がれる。この作品には語り尽くせないほどの日本の風土に根付いたエピソードや、哲学、心理学的な分析もあるだろうが、“日本人のクリエイティビティー”の1点に絞ってみても特殊な存在感を放っている。

 ところで、今回の催しタイトルの“ゴジラ東京に現わる”は、言うまでもなく今年3月に亡くなった宇津井健主演の『宇宙人東京に現わる』('56年、大映)からだろう。山口百恵の『赤い〜』シリーズのお父さん役で知られる宇津井健さんの出世作、関係者の特撮への思いが伝わってくる。ちなみに、アメリカ人ってパイラ星人までは知らないだろうなどとたかをくくっていると、ディスカバリーチャネルの『Myth BUSTERS』を見ていたら日本初のヒーロー番組といわれる『スーパージャイアンツ』('57〜'59年)で宇津井健がマントで飛んでいるシーンが出てきて椅子から転げ落ちそうになった。

 ブラウザーのFirefoxを提供するモジラ財団のキャラクターであり団体名でもある“Mozilla”を見てもわかるとおり、ゴジラはアメリカ文化の中にもいまや息づいている。ほかにも、IT業界でゴジラといえば、'90年代半ばに最先端のCPU、MIPS社の“R10000”の回路上には、40ミクロンの大きさで描かれたゴジラを思わせるイラストが刻まれているらしい。この世界ご興味のある方は“Silicon Zoo”のサイトをご覧あれ(サイトではゴジラと断定してしまっているが、あくまでそんな感じのチップ上の落書きというだけで、目に触れるものでもないので念のため)。

G博
↑MIPS R10000のチップ上のゴジラに似た怪獣のイラストを紹介する“Silocon Zoo”。

ゴジラ生誕60周年記念/最新作『GODZILLA』公開記念
G博 ゴジラ東京に現る

主催:夕刊フジ
期間:2014年7月20日(日)〜29日(火)10:00〜20:30
会場:渋谷ヒカリエ9階ヒカリエホール ホールB
入場料:一般1000円、大学生・高校生800円、中学生以下無料
前売券:セブン−イレブン(関東圏の各店舗)、東急線各駅のtoksにて発売

※ 山根博士……初代ゴジラに登場する古生物学者の山根恭平博士(志村喬)と本誌で活躍の香港在住携帯電話研究家の山根康宏氏とはあまり関係がありません。

●関連サイト
G博 公式サイト

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