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YosemiteのUIから考察:OS Xのデザインはどこへ向かうのか?|Mac

スキューモーフィズムとフラットの間

 WWDC 2014でプレビューされた「OS X Yosemite」は、新機能もさることながら、大きく刷新されたユーザーインターフェース(UI)デザインでも注目を集めた。昨年はiOS 7がいわゆる「スキューモーフィズムデザイン」から「フラットデザイン」へと変更されたことで話題となったが、OS Xも同様の傾向を強めることになった。

●OS Xのデスクトップ画面のデザイン
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OS X Mountain LionとMavericksでは、Finderウィンドウのデザインを含めて大きな違いはない。一方Yosemiteでは、ちょうどiOSがiOS 7へのアップデートで大きく様変わりしたように、フラットデザインの要素が取り入れられて大胆に変化している。 同時に基本的な構成要素を踏襲することで、従来からのユーザーが戸惑わないで済むよう配慮されている

 従来用いられてきたスキューモーフィズム(Skeuomorphism)とは、別の素材や物質に似せるために施されたデザインや装飾のことで、UIデザインに活用される以前から一般的な生活にも浸透してきた表現手法だ。これに対してフラットトデザインは、交通標識や公共施設のサインのように、文字通り平面的なデザインを指す。

●フラット化してすりガラスのような質感になったDock
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OS Xのデスクトップの象徴的 な存在であるDockのデザインも、Yosemiteでは大きく変わる。すりガラスのような質感の板状になり、iOSのイメージにより近づいた。また、起動中のアプリを示すインジケーターが「ライト」から「黒いドット」に変わっている

 OS Xは、スキューモーフィズムをデジタルの世界に本格的に導入したソフトウェアだった。Mac OS 9以前のUIでも陰影を付けるなどの立体的な表現は取り入れられていたが、OS Xではよりリアルな質感が取り入れられ、本格的なスキューモーフィックデザインへと変貌。以降、OS Xは長年にわたってパソコンのUIデザインをリードし、世界中の人々をパソコンに慣れ親しませることに成功した。

慣れ親しんだデザインを捨てフラットUIを選んだ理由

 スキューモーフィズムのOS Xを使い慣れたユーザーの中には、Yosemiteのデザインに対して違和感や疑問、あるいは反感すら感じる人もいるかもしれない。では、なぜアップルはフラットデザインへの変更を選んだのだろうか? その理由は明らかだ。iPhoneおよびiOSの普及が大きな要因だ。

●Yosemiteの各種アイコンのデザイン
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Finderアイコンの基本デザインは、Mac OS 9以前から受け継がれている。Yosemiteでは目や口の線が丸みを帯び、色みも変わって雰囲気を一新した。また、YosemiteではUIの色遣いも全体的に変わっている。フォルダー アイコンを見ると、特に青の色みが明るくなっているのがわかるだろう。一方、標準アプリのアイコンは、従来の雰囲気をほぼ維持したままフラット化しているものも少なくない。「メッセージ」「App Store」「マップ」──などはその例だ。ただし、若干の陰影は残っている

 iPhoneが登場した当初は、これまでOS Xが培ってきたスキューモーフィズムデザインを採用することで、誰もが安心してiPhoneを使うことができた。しかしいまや、パソコンとスマートフォンの立場は逆転し、iPhoneおよびiOSは世界中の人々の生活の一部となった。しかし、すでにITリテラシーが身についた多くのユーザーにとって、そうしたスキューモーフィックな表現手法は必要条件ではなくなりつつある。

●iOSのアイコンデザインと比べてみる
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YosemiteのDockに並ぶアイコンを、iOSの標準状態と同じ順に並べ替えてみた。iOSのアイコンはフラットなだけでなく、形状も角の丸い正方形で統一されている。これに対してYosemiteは、スキューモーフィックな「メール」のアイコンや正円のアイコンなどが混在しており、バラツキがある

 機能の増加から、スキューモーフィックなデザインはそれぞれの役割を判別するのをむしろ困難にさせる可能性すらある。よりシンプルなフラットデザインのほうが、その役割を果たすのに適しているという判断があっても何ら不思議ではない。

 iOSとOS Xの関係に見られるように、アップルが手がけるOSのUIデザインは、総合的かつ長期的な計画の下に進められている。そうであれば、iOSとOS Xはデザインの共通化がより進み、より統一性の高い響き合うものへと変貌していくだろう。

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