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日本発売は年末?Alienware Alpha開発者インタビュー:E3 2014

2014年06月12日 16時30分更新

文● ジサトラアキラ 編集●ノノ

 E3に合わせて発表された、デル初のコンソールゲーム機『Alienware Alpha』(関連記事)。

AlienwareAlpha
AlienwareAlpha

↑背面にはHDMIイン・アウト、ギガビットLAN、USB3.0×2、デジタル音声出力がある。

 Alienwareブースのほとんどの試遊台がAlienware Alphaだった。

AlienwareAlpha

 PCゲーム販売サイト『Steam』を利用した家庭用ゲーム機という製品だが、中身はインテルプラットフォームのWindows8.1搭載“PC”だ。気になる中身を開発担当者に、日本での展開をマーケティング担当者にそれぞれ聞いてみた。

開発担当者 Marc Diana氏(左)

AlienwareAlpha

――基本的なスペックと価格、カスタマイズできるパーツを教えてください。

Diana氏「Core i3、カスタムされたNVIDIA製Maxwell世代のモバイル用GPU、メモリー 4GB、HDD 500GBを搭載するベーシックな構成で549ドル。CPUはCore i5やCore i7などが選択できます」

――Windows搭載ですが、これをコンソール機と呼ぶ理由は?

「カスタムされたUIにあります。起動すると、ユーザーがWindowsのブート画面などを見ることなく、自社で開発したAlpha用のホーム画面が表示されます。そこからSteamのBig Picture(テレビなどの大画面でゲームパッドを用いて操作するためのUI
)を利用します。もちろんBig Pictureを直接表示させることもできます。起動してからすべてコントローラーのみで操作できます」

AlienwareAlpha

↑Diana氏が手書きで書いてくれた、SteamとAlpha専用UI、Windowsの関係図。


――起動時間はどのくらいですか?

「今回のデモ機は45秒ぐらいですが、実際には20秒前後を実現しています」

――初めてユーザーが購入したときに、例えばWindowsのアクティベートはどうやって行なうのですか?

「重要なポイントです。基本的にはゲームパッドだけを同梱して出荷することになるので、必要な情報の入力をすべてゲームパッドだけで行なえるようなカスタムされたUIを用意します」

――Steamゲームは頻繁にアップデートがかかります。コンソール機では、そういったことがないのでユーザーにとってはすぐに遊べないことはわずらわしいのでは?

「例えば、外出先でスマホ用のSteamアプリでゲームを購入して、家に着くまでにAlphaにダウンロードしておく、といったこともできます。遠隔でスリープ状態から起動する、といった仕組みは今後実現したいと考えています。メニューに“アップデートする”といったボタンを追加するアイデアももっています。また、Windowsやグラフィックドライバーは、ユーザーが自由にアップデートするタイミングを決められる仕様になっていないので、それは対応したいと考えています」

AlienwareAlpha

↑裏ブタを外してパーツ交換が可能とのこと。

――消費電力はどのくらい?

「待機状態で20W、最大出力で130W前後です。これはほかのコンソール機と同じぐらいです」

――GPUに選択肢がない理由は?

「デスクトップ用のGTX750Tiより少し上ぐらいの性能です。GPUはマザーボードにハンダ付けされているので交換ができません。ちなみに、裏ブタを外して、ユーザー自身でCPUやストレージ、メモリーを交換することも可能です」

――ゲーム性能については、CPUよりGPUのほうが重要だと思いますが?

「NVIDIAとGPUを共同開発するときもそこをイチバン気をつけていました。なのでMaxwellを採用しています。CPUについては高性能になることでボトルネックは解消されるので、それに付随して描画性能は上がります」

――搭載するGPUの性能はどのように決めたんですか?

「750Tiより少し上の性能で固定した理由は、まずひとつが今マーケットに出ているGPUの中で1ワットあたりのパフォーマンスが最も優れているバランスだからです。ふたつ目はSteamにあるゲームのほとんどを1080p/60fpsで描画できる性能だからです」

 ここで、自身がいちばん好きだというゲーム『ダークソウルII』を用いて、解像度1920×1200ドット、画質設定”High“で、影の描写やパーティクル効果を有効にしても、カクつくことなく動くことを見せてくれた。
 
――SteamOS搭載バージョンの予定はありますか?

「対応ゲームが少ないのでまずはPCからですが、計画はあります。来年のことになりますが、AlphaのsettingメニューからSteamOSを導入する、といったことも可能です。SteamOSでコストダウンができますが、対応ゲームがまだ少ないので、Windowsがベストです。将来的にはOpenGLで作成されたマルチプラットフォーム対応ゲームが増えてくるでしょう」


ブランドマネージャー 添田貴嗣氏

AlienwareAlpha

――日本でも展開すると決めた理由は?

添田氏「迷いはありませんでした。Alienware PCが順調で、世界でも成長率は日本がイチバンです。ゲームメーカーと協業してのマーティング活動がうまくいき、ブランド名も認知されて来ているのだと思います。ビジネスを広げるにあたって、日本ではコンソール市場が無視できない規模なので、ちょうどよいのではないでしょうか」

――AlienwareのPCは外見にこだわっているぶん高いというイメージがあります。ほかにもゲーミングPCがある中でなぜ選ばれているのでしょうか。

「中身を見ても作り込みや使っているパーツが違います。特に排熱の仕組みはかなりこだわっています。そういった点が選ばれている理由だと思います」

――日本での発売時期と価格は決まっていますか?

「海外ではホリデーシーズンとアナウンスされていますので、日本もほぼ同じ時期です。549ドルとあまりギャップがないようにする予定です」

――549ドルはPS4、Xbox Oneと比べると高いですが?

「ハードウェアとしての優位性ですね。最低でも他のコンソール機と比べて遜色のないスペックを実現していて、さらにそこで遊べるコンテンツが重要だと考えています。Steamは10ドルからタイトルがあるので、トータルで考えるとお得になりますね」

――Steamゲームといえば英語でしか遊べない洋ゲーが多いです。日本語対応のゲームが増えることが必要だと思いますか?

「一気に増えることはないと思いますが、日本のゲーム会社もSteamというプラットフォームは無視できない存在だと言っています。我々がこの製品を出すことで、Steamを運営するValveやゲーム会社と連係して、ユーザーが求める(日本語対応の)タイトルを出すことをもっともっと加速させて行きたいと思います」

――デルとしてゲーム会社にアプローチすることはあるのですか?

「実際にすでにありますし、これからも積極的に行なっていいきたいと思います。今まで話してきたゲーム会社の感触もよく、SteamのプラットフォームやAlphaに興味をもってもらえているので、ポジティブに捉えています」

――既存のコンソール機と競合するものなのでしょうか?

「私は競合製品ではないと思っています。カジュアルにゲームをしている人はAlphaのターゲットからは外れるのではないかと考えています。やっぱりゲームが好きで色々なゲーム、洋ゲーも含めて遊んでいる方に買っていただきたいと考えています。日本でもSteamのアカウントベースでみると50万弱ぐらいいて、日本だけでみたら小さい数字ではありません。まずは今PCで遊んでいる方に、コントローラーでプレイするという遊び方もあるよということを知ってもらって興味をもってもらうことも大事にしたいと考えています」

――販売促進の施策はあるのでしょうか?

「現時点で詳しいことは言えませんが、次の東京ゲームショーで発表できることもあると思います。ぜひ東京ゲームショーに来て触っていただきたいと思います」

■関連サイト
Alienware Alpha
 

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