週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

ponanzaの勝利で幕を閉じた電王戦第五局の一部始終レポート・会見編

2014年04月21日 18時20分更新

文● いーじま ●撮影 篠原孝志(パシャ)

 最終局は長くなってしまったので、対局編と会見編に分けました。まずは対局編を読んでください。

終局直後のインタビュー

第3回将棋電王戦第五局

――残念な結果でしたが横歩取りに誘導して、作戦通りな展開でしたか?
屋敷九段「序盤は予定通りだったんですが、30手目4四歩と指されたあたりから、どういうふうに指していくか難しい感じでしたね」

――飛車交換のあたりは?
屋敷九段「ちょっとうまくさばかれているかなと思ったのですが、こちらも玉頭へ行って、まぁ大変な感じかなと思ってやっていたのですが」

――そのあと駒損されて、結構難しい勝負かと思ったのですが。
屋敷九段「そうですね、どこまで行ってもかなり難しいかなと。左に逃げ込んで少し残しているのかなと思ったのですが、終盤玉頭戦になって、よくわからなかったという感じでしたね」

――どのへんで悪くなったと。
屋敷九段「最後△6九に角を成られたのが手厚い手で、ちょっとあれでダメかなと思いました」

――控室ではPonanzaの指す手に驚きの声が上がっていたのですが。
屋敷九段「△1六香は打たれそうな気がしていたのですが、88手目7九銀は気が付かなかったですね。逃げ越していけるのかと思ったのですが、上に逃げなくて細かい指しかたが必要だったかもしれないです。なんか、かえって逃げ越せるのでありがたいような気がしたのですが。ただ、拠点をつくられて△6八成香とされたので、ちょっとやっぱりごちゃごちゃしていたので難しいかなと」

――練習でPonanzaと指されたと思いますが、今日のPonanzaはいかがでしたか。
屋敷九段「やはり中盤戦が相当強いと感じましたね。終盤玉頭戦でごちゃごちゃとしてましたが、最後少し余していると思っていたのですが、△8三歩と突かれたときかなり焦りましたね。桂馬取った瞬間に気がついたのですが、ちょっと方針に悩みましたね。取って勝負すべきか、本譜のように進んで龍ができるのでまだ先は長いかなと思ったのですが。銀は取られてしまいましたし、向こうも寄らない形になってしまいましたので、少しずつまずかったかなと思いました」

――Ponanzaの終盤の強さを感じましたか?
屋敷九段「△7九銀からそこを拠点にし、厚くして攻めるというやりかたが、独特の迫り方でしたね。△5九角成りとくるかと思って、それならきわどく残したかなと思っていたのですが。銀を打たれて上に逃げ越そうとしたが、相手も△6四玉と逃げられた形が寄らないので、難しい終盤戦でしたね」

――敗戦となってしまった感想は。
屋敷九段「終盤何手か間違えたので、敗戦は仕方がないですね」

――団体の主将としての敗戦は?
屋敷九段「どのソフトもレベルが上って強いと感じたので、厳しい結果でしたね」

第3回将棋電王戦第五局

――Ponanzaの今日の戦いぶりは?
山本氏「飛車交換していたあたりは良いと思っていたみたいですが、88手目の△7九銀から▲9七玉の変化は、あまり感触が良くなかったみたいで、評価値がどんどん下がっていて。一時はPonanzaが+600程度の評価値だったのが、+120程度にまで落ちました。ただ、▲8一成香△8三歩としたところで急に良くなりました。そこで▲4九飛と打つのはどうかとみていました。▲4九飛としてお互い粘ってもう一試合とかなったら、かなり難しい将棋になっていたと思います」

――今日はずいぶん時間を使われていたようですが。
山本氏「読み筋がまとまらないので、予想の評価値より下がることが多々あったので、そこでかなり時間を使っていました」

――今年も勝って昨年とはまた違った感じですか。
山本氏「昨年は全然色々と見えていないところがあったのですが、今年はほかの人の試合も見られた。勝ったことに対しては正直嬉しいことです。将棋の内容もかなり熱戦で作者としてうれしいことだと思います」

――チームとして勝ったことについては。
山本氏「コンピューター将棋ソフトは強くなっていますし、ほかのいろんなソフトがあることを知ってもらえたことがうれしいことかなと思っています」

第3回将棋電王戦第五局

↑投了図の画面。評価値30000超え。詰み確定。

終局後の会見

Ponanza開発者・山本一成氏

第3回将棋電王戦第五局

「対局は途中でPonanza有利に進んでいたと思いますが、ジリジリ押し返され、一時形勢互角まで行きました。その後(屋敷九段に)見落としがあったのか、Ponanzaが勝利出来ました。かなりの熱戦でしたし作者として熱戦が指せたことに勝る喜びはないです」

Ponanza開発者・下山晃氏

第3回将棋電王戦第五局

「主に私は検討室にいてノートPCでソフトを動かしながら検討を聞いていたのですが、中盤ぐらいからほとんどのソフトがPonanza有利とみていたのですが、プロの方々の検討の方では、互角ぐらいの声が多くて。実際、その時点では互角ぐらいだったのかなと思ったので、それが印象深かったです。コンピューターは負けるときはスゴイ弱く見える負け方をするのですが、今回のような熱戦になってよかったと思います」

屋敷伸之九段

第3回将棋電王戦第五局

「結果は残念なものになってしまいました。熱戦になったことはよかった。序盤から非常に難しく、中盤、終盤も難しい将棋でした。実は最後少しあませるのかなと思っていました。Ponanzaの評価値も互角ぐらいでしたので、大局観といいますか、将棋の難しさを感じたところですね。終盤ちょっと調べてみないとわからないですが、勝ちがあったのかもしれないけれど、熱戦だったのでよかったと思います」

立会人・田丸昇九段

第3回将棋電王戦第五局

「今日は大きなトラブルもなく無事に終了したので立会人として安堵しています。今回の対局は日本全国でかなりの人達が注目しているようで、それにふさわしい大熱戦でした。屋敷九段とPonanzaに敬意を評します。終盤△7九銀を打ったとき、ここで解説をしていまして、プロから見ても信じられない手で、暴発してしまったというかやけを起こしたと思っていたのですが、とんだ見込み違いでした。スゴイ勝負だったということを局後に知りました」

日本将棋連盟・谷川浩司会長

第3回将棋電王戦第五局

「Ponanza開発者のお二方、お疲れ様でした。主催者であるドワンゴのみなさんにも厚く御礼申し上げます。今日の将棋はコンピューターのほうが駒得、形勢判断が難しくて、コンピューターは常に有利だとみていたようですが、実際は形勢不明な将棋が続いていたと思います。その中で、Ponanza側にコンピューターらしい手が連続し、プロの感覚ですとやや疑問手に映るのですが、実際に指されると対応に難しい。そのような手の連続だったと思います。屋敷九段もそのたびに読み直して、かなり神経の消耗があったのではないかと感じております。屋敷九段も作戦とか時間の使い方とか、予定通り進めていたと思いますが、終盤勝ちがあったかもしれないが勝ちきれなかったのは残念です」

ドワンゴ・川上会長

第3回将棋電王戦第五局

「対局された屋敷九段、開発者の山本さん・下山さん、素晴らしい対局を有難うございました。視聴者数は、昨年は第5局の48万人が最高でした。この局が現時点で63万人(4月20日現在75万人超え)を超えており、過去最高に達しています。ニコ生をご覧の将棋ファンの方々、ありかとうございました」

――昨年も出られて、どの程度強くなったのか。
山本氏「去年は10台のマシンをクラスタ接続して使って佐藤慎一四段と対局しましたが、そのときのクラスタでつなぐマシンより強くなっている。どのくらいというのは難しいですが、レーティングの上昇の推移から推測すると、です。強くなったのは1つずつ改良を重ねていて、もう1ランク上の強さになったと思います」

――Ponanzaには弱点はあったのでょうか?
屋敷九段「弱点を見つけたかったのですが、正直難しかった。横歩取りは作戦通り。△6二玉とか端歩も予定通り。ただ、そのあとの形勢判断をPonanzaの駒得対駒の効率ということで、どうなるかと。終盤の入り口ぐらいまではうまく行っていたのではないか。玉頭戦になってしまってごちゃごちゃしてしまい、相手のほうが地力が上だったのではないか」

――△7九銀が驚いたそうですが、実際の心境は。
屋敷九段「少しこちらがあませそうと感じていたところ、はじめは王手で左に追いやる感じでびっくりしたのですが、ありがたいような感じがして、すぐ左に逃げ込んで、上がってしまいました。もう少し細かい指し方が必要だったかもしれない。9筋に逃げましたが、そのあと歩を連打され、こちらの玉の出足も止められてしまったので。もしかしたら△7九銀のところで、もう少し腰を落として考えていたら、すぐ上がっらず寄手や引く手などいろいろありましたが、その辺りも考えなければいけなかったかもしれない。難しいという認識なら考えていたかもしれないですが、少し甘せそうだと思っていたので。終盤は見なおさなければならないですが、問題手が重なったかもしれないでね」

――その辺りの誤算がだんだん形勢的にPonanza側に傾いたと
屋敷九段「▲8一成香としたあと△8三歩が見えてしまって、そこで勝負すべきか、もう少し長引かせるべきか感じでは思っていた。だがなかなか入玉できるような形に成らなかったので、▲4九飛や6六歩など勝負する手を考えるべきだったかもしれない。ごちゃごちゃした終盤なので、調べてみないとなんとも言えない」

――Ponanzaはどれぐらいまで強くなれるのか。
山本氏「難しい質問ですね。プログラマーの神様が書いたらもっと強くなると思います。しかし今のプログラマーはコンピューターの性能を使い切れていない気がします」

――残り10分ぐらい結局出たり入ったりしていましたが。
屋敷九段
「残り10分ぐらいでは、どうやって形をつくるか、すで負けの局面だったので、席を立ってお手洗いで気持ちを整理をつけたり、今回は感想戦はなかったのですが、ふだんの対局でもそういうような形なので、気持ちの整理をつけたというとこでしょうか。勝負どころはもう少し前でしたが。残り10分で投了すべきか考えた。最後は綺麗に詰まされたので、自分で言うのもなんですが、いい投了図ではないか」

――対人間とは気持ちとして違うところはあったのか。
屋敷九段「ふだんの対局とはあまり変わらないですね。こちらもうまく指せば勝ちそうかなと思っていましたが、最終的には評価値も大差になっていたので、最後はうまく負かされたなと思った」

第3回将棋電王戦第五局

第3回将棋電王戦MVP決定

 MVPは視聴者の投票によって決まった。まず、ソフトの中で一番を選び、そのあと棋士の中で一番を選ぶ。そして、棋士とソフトの一番どうしで決戦を行なった。

 結果は習甦の開発者竹内氏に。賞品のエルグランドの目録(キー)を日産自動車の方から受け取った。

第3回将棋電王戦第五局
第3回将棋電王戦第五局

↑ソフトも棋士もひとつ頭を抜けた状態で選ばれた。

第3回将棋電王戦第五局

↑55.1%の得票を得て習甦が選ばれた。

第3回将棋電王戦第五局

↑ソフトでトップを取ったときの竹内氏の表情。びっくりしたとしかコメントを言えなかったほど。

第3回将棋電王戦第五局

↑賞品のエルグランドを贈呈された。

日本将棋連盟・谷川会長

第3回将棋電王戦第五局

「改めまして、開発者の皆様、5名のプロ棋士の皆様、主催のドワンゴさんおよび協賛していただいた関係者の皆様、報道関係者の皆様、そして遅い時間まで御覧頂いた視聴者の皆様に厚く御礼申し上げます。今回レギュレーションを変えて臨みましたが、この1年間で更にコンピューターが強くなったことが実感です。第一局の菅井五段は、将棋連盟としても自信をもって送り出した若手期待の棋士ですが、習甦の指し回しが見事でした。今回MVPは習甦の竹内さんに決まりましたが、第3回の五番勝負の流れを決めた一戦としてMVPにふさわしい活躍をしたと思います。昨年に続き今年も負け越しという結果に終わり、この厳しい現実を受け止めなければならないと思います」

ドワンゴ・川上会長

第3回将棋電王戦第五局

「電王戦に関わるすべて皆さん、本当にありがとうございました。今回、数字の上ではプロ棋士側の1勝4敗という結果になりましたが、実際の勝負の内容は、そういった数字からはわからないような、非常に中身の濃いすばらしい内容だったと思います。そして、人間とコンピューターの戦いというものをどういうふうに捉えていけばいいのかということは、森下九段もご指摘がありましたが、たぶん人間対人間のルールを適用すること自体がおかしいのではないかということを私どもも考えておりまして、人間とコンピューターの戦いはどうあるべきかということを、今回はルール変更はできませんでしたが、私なりに考えた結果、とりあえず対局者を電王手くんにしようと、デンソーさんに協賛していただいた次第です。今後、まだ電王戦が続くかどうかわかりませんが、いろいろなやり方を試していきたいと思っています。よろしくお願いします」

――今回事前にソフトを提供され、棋士側有利なルールにもかかわらず4敗してしまった感想を。
谷川会長「事前に提供されたことは、棋士にとって第2回よりは有利だったとは思います。ただ、コンピューターソフトの研究をしても、必勝法などは解明もできないですし、作戦などもその都度変えてくることもできます。傾向を掴むことはできるかもしれませんが、弱点を掴むことまではできない。それぐらい強くなってきている」

菅井五段「自分の場合は力負けだったので、あまり研究が生かせなかったですね。コンピューターに対しての必勝法は、もうちょっと頑張れば見つかったかもしれませんが、あまりそれに意味を感じなかったので、それも敗因の1つかなと思います」

佐藤六段「4敗のうちの1つなので、責任を感じています。私も菅井五段と同じ意見で、必勝法を探すというよりも、正々堂々とぶつかって勝ちたい気持ちが強かった。ただ負けてしまったのでそのやり方は間違っていたのかなと思っています」

豊島七段「研究を一生懸命やりましたが、それでも必勝法を見つけるのは無理と感じました。また公式戦でもしっかり結果を出さなければならないので、人間同士の戦いと近い中でコンピューターとの戦い方を探っていた。今回、必勝の手順ではないが、何となくこうなったら勝つ可能性が高いのではないか、こうなると負ける可能性が高いなどといった、漠然とした感じで、激しい流れではどうか、ゆっくりとした流れではどうかといった、そういうのがちょっとずつ掴めた。序盤から中盤にかけて横歩取りから▲2一角打までは研究できましたが次の手が外れたので、自分ではそんな感じでした」

森下九段「1勝4敗というプロとしては不甲斐なく、結果は重く受け止めている。ツツカナは対コンピューターというより、対人間としてトレーニングできまして。最初は持ち時間10分、秒読み30秒で練習しましたが非常に良いトレーニングになり、公式戦でも臆することなくしっかり指せた。将棋というのは、いい手を指すより悪い手を指したほうが負ける。20年以上前の話ですが、谷川会長や羽生三冠などと対局して、なんでこの将棋を負けなければならないのだろうと度々思うことがあった。ここまで築いた将棋を負けるのは頭がオカシイのではないかと度々思うことがあった。コンピューターは致命的なミスを起こさない。悪い手でも、後ろからヒタヒタとついてくる感じで。人間対人間は疲労などでどうしてもミスすることがある。コンピューターはそういった意味で疲れないので、人間側もヒューマンエラーをなくして、技術対技術の勝負をするべきではないかと。コンピューターの技術は読破力と過去の棋譜を覚えている正確なデータ、人間の技術には判断力と大局観。しかし、人間側にはどうしてもヒューマンエラーが出てしまう。私も今回2手ほどミスをしてしまった。気の緩みや疲労によって、そういうものは出てしまう。そこで一手お互い15分でミスのない将棋を指しましょうと。実際に指してみたところ、盤駒を使うだけで疲労感も違いますしミスも少ないかなと。このようにヒューマンエラーのない勝負をしてみたいですね」

屋敷九段「個人的には満足してます。ただ、団体戦としてはこのような結果になってしまったことを重く受け止め、最後の大将戦でも私が負けたので、プロ棋士側が今回は完敗だったと思います。傾向と対策は練って来ましたが、中盤以降の指し方はこんな感じかなと思いましたが、終盤のドロドロした難しい局面で、どういう手を選択していくか。その辺りが地力の差が出てしまった。今後終盤力を磨かなければならない。ソフトもお借りできたことで公式戦に向けても有効に使わせていただいているので、今後終盤力というものを自分の研究だけでなく、ソフトを用いた研究をしなければならないと思いました」

――これまでコンピューターはどれだけ強くなるんだろうと思って発展してきたと思いますが、現在コンピューターはどのくらいの実力にあるのか。
谷川会長「去年、今年の結果もありますので、プロでも中位以上の実力があることは認めざるをえないと思っています」

――今後電王戦があるとしたらどのようなメンバーで臨むのか。
谷川会長「今後のことに関してはまだ未定です。今日は60万人以上の方が視聴されていますし、ファンの方々は次回もと思っている方も多いと思います。今回の結果を受けて、次回があるとしたら、相当な決意をもって臨まなければならないと思います。タイトルホルダーに関しましては、将棋連盟のものではないと思ってますので、全く別だと考えております」

 最後に締めの言葉。

川上会長「電王戦の次回につきましてはまだ決まっておりませんが、電王トーナメントに関しましては今年も開催しますので、将棋ソフトの開発者の方々はぜひ参加をお願いいたします」

第3回将棋電王戦第五局

 こうして1ヶ月間続いて熱き戦いは終局した。プロ棋士側の1勝4敗で終わったが、ものすごい接戦だったとはいえ、負けてしまったという結果だけがひとり歩きしそうな、今回も白熱した戦いだった。コンピューターの棋力はすでにトップ棋士レベルと言っても過言ではないだろう。ただ、もう一度戦えば、プロ棋士が勝つかもしれないし、コンピューターソフトも完璧ではない。どちらもまだ発展する余地は残っているのだ。

 次回電王戦はまだ白紙の状態だそうだが、ぜひとも続けてほしい。視聴者が望んでいるのは、関係者すべてが重々承知だろう。チェスのときと同様、王者との対局。将棋でいうところのタイトル保持者との対局だ。これはもう避けては通れない道だと思う。

 ルールについてはいろいろな意見が出ているが、わたし的に今回のルールをベースに多少見直しはあってもいいが、あまり変えてほしくはない。ヒューマンエラーがあるから将棋が成り立つ部分もあるし、コンピューターが完璧だとも思わない。コンピューター同士の戦いでは対人間より低い勝率になるのだから、人間ももっとコンピューターを研究に取り入れて磨きをかければ、まだまだコンピューターと対等にやれるはずだ。

 逆に心配なのが、今トップレベルの棋士との対局を先延ばしすることで、棋力が衰えてしまうことだ。羽生三冠も森内竜王・名人も40代。どうせやるのなら、強いときに対局してほしい。

 昔はコンピューターと対局するには、その間人間との対局を断たなければ無理だとも言われていた。しかし、今回対局したプロ棋士たちは、コンピューターと練習することで、自分の棋力が上がっていると口にしている。モチベーションが上がった棋士もいた。コンピューターの指す手の良い所をいかに吸収し、実践で活かすか。これからの棋士は、コンピューターとのつきあいかたも重要なファクターとなるであろう。

 電王トーナメントは今年も開催することは決まっている。ただ、対局する棋士が事前に決まっていれば、さらに参加したい意欲が生まれるだろう。トッププロとの対局を夢見る開発者は少なくない。電王戦の存続を願いつつ、将棋文化の発展につながる次の一手を関係者の方々みんなで考えてほしい。

●関連サイト
『GALLERIA 電王戦』モデル
日本将棋連盟
第3回将棋電王戦のページ
将棋電王トーナメント

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう