2014年04月11日16時00分

究極の手描きアプリPAPER専用ペン『Pencil』レビュー え、技適もOK?

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 日本でも人気のある紙への手書きを再現するアプリ米FiftyThree社のPAPER。独特の描画感覚にハマった人も多いと聞く。自分もその1人だ。

 伊モレスキン社のノートをイメージしたデザインと、アナログチックなユーザーインターフェースは、絵や文字を書くのは楽しいというのをiPad上でも再現してみせた。より一層のアナログ感覚を得たいが為にタッチペンをあれこれと使ってみたが、PC上のペンタブの様な紙とペンな感覚は得られなかった。最大の原因はiPad側のタッチパネルで、ペンタブの様に筆圧までを検知する仕組みがないからだ。こればかりは仕方が無い。

 そして昨年末に同社より登場したのが、PAPERに最適なタッチペン『Pencil』。ややずんぐりとした木目のボディの前後には黒いパーツがはめ込まれている。変わった形の鉛筆のような見た目はともかくとして、アプリのために作ったハードウェアというのにとても興味をひかれた。レビューには絶賛の嵐。

Pencil
↑木の棒に導電性のゴムが付いただけに見えるシンプルな形状。しかし、実際は……。

 ただのタッチペンと思いきや、中には特殊なセンサーと情報をiPadに送るためのBluetoothモジュール。それを駆動するためのバッテリーを内蔵している。見た目と裏腹に随分とハイテク。アプリの話題性もあり、米国内でも大人気で入手難だったが、友人のお陰でやっと入手できた。

Pencil
↑某お菓子のような可愛い紙箱に入ったパッケージ。

 Pencilにはウォルナット(クルミ)と、アルミボディのグラファイトの2種類がリリースされている。木の素材感が暖かく心地良いウォルナットに対して、グラファイトはアルマイト処理が施されたクールでシャープなイメージ。価格はウォルナットが59.95ドル、グラファイトが49.95ドル。4月初旬現在、Pencilは米国とカナダのみへの出荷となっている。

 自分はメインビジュアルモデルでもあるウォルナット(クルミ)を選んだのだが、現物を手にして思ったのは、スケッチに使うマーカーのコピックに似ていること。四角っぽいボディは転がりにくく、握った時にペンの方向を掴みやすい。また、太めなので長時間の作業でも疲れにくいというメリットもある。サイズは138.0(H)×15.6(W)×8.5(D)mmで、重量はウォルナットが26g、グラファイトが34g。

Pencil
↑デッサンなどをする人にはご存じの「コピック」。持った感じがこれにそっくり。
Pencil
↑外観とは裏腹に、持つ力も最小限でしっかりと持てる。

 Pencilの両端にある黒い部分は導電性の薄いラバーで触ると中身が無くフワフワしている。奥には金属製の接点がセットされている。先端を引き抜くとリチウムポリマーバッテリーが内蔵された電源モジュールが表れる。末端には充電用のUSB端子。ラバーのペン先は両端とも交換可能で、同オンラインショップでも販売している。1セットが予備としてパッケージに同梱。ラバーを引っぱれば簡単に取れるので交換は簡単。

Pencil
Pencil
Pencil

 充電はPCのUSBポートか、USB出力のあるバッテリーからの給電で約90分。満充電で約1ヵ月間、使用可能。

Pencil
↑本体には充電状態を示すLEDインジケータが装備されている。オレンジは充電中でグリーンになったら充電完了。

 使い方はアプリPAPERを起動して、パレット左端にあるPencilアイコンを数秒タッチするだけ。自動的にBluletoothのペアリングがスタートして、アイコンが反転すればOK。PAPER上でPencilが使える状態になる。FiftyThree社ではこれをKiss to Pairと呼んでいる。機能設定からペアリングする必要がないので、子供でも簡単だ。ペアリングは必要に応じてON/OFFが切り替えられる。iPadをスリープ状態にするとPencilとの接続はキャンセルされるので、再度起動させた際はペアリング(Kiss to Pair)が必要だ。

Pencil
↑Pencil自体に電源スイッチは無い。アプリケーションがアクティブ状態になると自動的に接続される仕組み。これはBluetooth LE(Low Energy)により実現しており、消費電力と接続までの時間短縮が短いのが特徴。

 PAPERは通常、指で描く仕様だが、Pencilとペアリングをすると、描くメインツールはPencilに切り替わる。これまでの指は書いた内容を“混ぜる(ブレンド)”という機能に変わり、PAPERの表現力が増すしくみ。そしてペンのお尻側は消しゴムとなっており、ツールパレットを一切使わずこの3機能をサクサクと使い分けられる。また、Pencilがアクティブの状態では、パームリジェクション機能が働き、iPadの画面上に手を置いても、画面に文字や絵を描き続けることができる。より自然なポジションが得られるのだ。

Pencil
↑iPadくらいの画面面積になると、書く際には手のひらを画面に置いた方が安定する。ただし、iPadは手のひらでも画面が反応してしまうため、パームリジェクション機能が有効だ。

 書き味は、指と比較すると独特の抵抗感と柔らかさが加わって気持ちいい。想像していたよりもずっとソフト。タッチは自然な感じで、堅いタッチパネルをタッチペンでコツコツと叩いている感じは皆無だ。

 メーカーでは保護フィルムとの併用は、ラバーとの摩擦度合いの違いによる変摩耗や書き味低下などの理由から勧めない旨を記載しているが、ガラス保護フィルムの場合は表面のコーティングなどとの相性は抜群だったことを追記しておく。

 しばらくPencilを使用していて思ったのは、筆圧検知が感じられないことだ。最初は搭載されているものと思いこんでいたのだが、そもそもFiftyThree社のWEBを読んでも、それらしいことは描いていない。ではなぜ、こんなに手間の掛かった仕組みにしているのか?

 恐らくは人体の静電容量を頼ったタッチペンでは、ユーザーによる差違により、アプリ上でのメーカーが思うとおりの反応ができないと想像する。電源を持ったタッチペンなら静電容量も安定しているはずだ。Bluetoothは何らかの補正情報や、機能切り替えの情報を送っているものと思われる。前記したパームリジェクション機能もこの方法で無いと実現できなかっただろう。

 ペン両端のラバー内には、14金メッキが施された特殊な接点がある。画面とこの接点の間に導電性のラバーが加わることで、接点への反応が向上すると共に独特なタッチ感が生まれるのだろう。メーカーでは画面への反応が悪くなった際に、まずこの接点表面の清掃を推奨している。それくらいシビアに検出をしているようだ。

Pencil
Pencil
↑Pencilの先端部パーツ。ペン先のセンサー部はスプリング状の部品で固定されており、力を掛けると全ての方向に曲がる。背面はプレート状の部品がネジで固定されている。どちらも表面は14金メッキが施されている。
Pencil
↑ペン先のラバーはペン本体の内側に配置された電極と接触する仕組み。ペン先のセンサーとラバーの接触度合の違いを検出しているようだ。

 ハードウェア、ソフトウェア共に複雑な構造の感圧タイプのタッチペンよりも、シンプルな構成でペンの使い心地の良さという理想を具現化したPencilにはとても感心した。これもアプリから開発したという点が影響しているのだろう。

 現時点で完全対応しているのは、同社のアプリ『PAPER』のみだが、タッチペンとしては他のアプリ上でもそのまま使用できる。ただし、消しゴムやブレンドは使用できない。今後、Pencilに対応したSDKを提供するとのことなので、対応アプリも増えるであろう。

 入手した当初、感圧でないことに残念な気分がしたのは事実だが、1週間ほど使い込んだ結果はPAPERを使うならばPencilで十分だし、タッチペンの類を使いたいと思うのは現時点でPAPERだけなので、何ら問題じゃないと感じた。今ではiPad miniとセットでいつも持ち歩いている。

 余談だが、自分が買う直前になって気が付いたこと。Pencilには2種類あるのは前記のとおり。それぞれの違いは素材だけと思いきや、説明をちゃんと読まないと気が付かないのが、ウォルナットモデルだけ磁石が内蔵されていること。このお陰でiPadのスマートカバーにPencilを貼り付けて固定できる。てっきり全てのモデルで貼り付けられると思っていた。これから入手するひとは注意されたし。

Pencil
↑ウォルナットだけが磁石を内蔵しており、スマートカバーにペタッと貼り付けられる。何気にこれは便利だし、ワンポイントとしてもオシャレ。でも、気を付けないと外れてしまうので屋外では気を付けること……。

 最後に気になるものを見つけたので、お知らせ。電源モジュール表面に貼り付けられているラベルに、日本の技術基準適合証明(技的)マークがあった。米国とカナダのみへの出荷となっている製品なので、本来は必要の無いもの。これがあるということは近いうちに日本での販売も視野に入れているということだろう。正式な発売を期待したい!

 もちろん、運良く海外で購入しても、このマークがあれば日本国内での使用もOKだ。なので、今回のこのレビューが週間リスキーにならなかったのはそういう訳だ(笑)

Pencil
↑電源モジュール部表面に貼られているシールには、見慣れた技適マークが!

■関連サイト
Pencil
PAPER(iTunes Store)

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