2014年04月09日17時00分

Windows情報局ななふぉ出張所

Windowsの一部無料化で見えてくる100ドルタブレットの魅力

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 4月2日~4日(現地時間)までサンフランシスコで開催されたBUILD 2014では、Windows 8.1 UpdateやWindows Phone 8.1を始めとする多くの新情報が発表されました。その中でも業界に衝撃を与えたのが、小型端末向けという条件付きながらも、Windowsのライセンス価格を無料化するという発表です。

 Windowsの一部無料化で見えてくる100ドルタブレットの魅力
↑BUILD 2014では小型デバイス向けにWindowsの無料化が発表された。

 連載開始からちょうど第100週目となる今回は、いよいよ見えてくる100ドル台のWindows端末の可能性を探ってみたいと思います。


■Windowsがついに無料になったことに対する影響は?

 BUILD 2014では、9インチ未満のタブレットやスマートフォン、IoT(Internet of Things)デバイス向けに、Windowsのライセンス価格を無料にすることが発表されました。デスクトップPCやノートPC、一般のパッケージ版におけるWindowsの価格は変わらないものの、モバイルデバイスだけが無料ということになります。

 これはかなり衝撃的な発表です。Windowsの無料版が何らかの形で発表されるのではないかというウワサはあったものの、機能面での制限は必須とみられていました。その背景には、マイクロソフトの主力商品であるWindowsを無料化しても本当に大丈夫なのか、という基本的な疑問があります。

 もし同社の収益エンジンとして、広告やクラウドサービス、アプリストアなどが“本業”に匹敵する規模に成長していたとすれば、それもあり得る話です。しかし最新の2014会計年度第2四半期の決算内容を見ても、マイクロソフトがWindowsとOfficeの収益に依存していることは明らかです。

 今回の発表では、Windowsの無料化を機能制限ではなく、画面サイズの制限により実現したという点がポイントです。8インチクラスのWindowsタブレットは、日本ではFlashゲームなどの人気により売れているものの、世界的には伸び悩んでいるのが現状です。Windows Phoneについても、Lumia 520などの低価格機が売れている以外は同様に低迷しています。

 その一方で、ビジネス市場で需要の高い10インチクラスや、それ以上の画面を持つタブレットについては、無料化の対象とはなっていません。マイクロソフトの中でも最大の収益グループとなっている、企業ユーザー向けのソフトウェア事業は守り抜く、というメッセージが感じられます。

 ビジネスモデルの面で興味深いのは、無料のWindowsにはOffice 365の使用権を1年分同梱する、という点です。デスクトップのOfficeアプリとOffice 365のクラウドサービスを1年間は無料で使ってもらい、その後は有料で継続してもらうことを狙う、フリーミアムモデルといえます。海外ではこうしたOffice 365の個人向け展開が進んでおり、Windowsの無料化を下支えする収益源として、重要な要素であると考えられます。


■マイクロソフトとPCメーカーの不公平感が解消か

 小型デバイスを対象としたWindowsの無料化は、タブレット端末を製造、販売するメーカーに大きな影響を及ぼします。特に、マイクロソフトとPCメーカーの間に生まれていた微妙な“不公平感”の緩和が期待できます。

 その原因は、マイクロソフト独自のタブレットであるSurfaceシリーズにあります。同社がPC製品を発売したことで、それまで最大のパートナーだったはずのPCメーカーが、同時にライバルにもなるという、複雑な状況が生まれました。

 しかもSurfaceの本体価格は、他のPCメーカーよりも妙に“割安”な水準に設定されていました。マイクロソフトはOSのライセンス価格について、社内向けにもメーカー向けにも等しい条件で供給していると主張していたものの、PCメーカー関係者の中には「あの値段で出せるのは、ソフトがタダだから」と直接的に非難する人もいたほどです。このような緊張関係を、Windowsの無料化は緩和する効果があるといえます。

 これはWindows Phoneについても同様です。現在のWindows Phone市場はノキアが大半のシェアを押さえており、ノキアはまもなくマイクロソフトの一部となります。これから新たに参入する端末メーカーにとって、OSを無料で使えるかどうかは重要なポイントとなるでしょう。

 Windowsの一部無料化で見えてくる100ドルタブレットの魅力
↑海外ではプリインストールのOfficeではなく、個人向けにもOffice 365が普及し始めている。


■Windows PhoneはAndroidより安くなる?

 BUILD 2014では、新たに100ドル台の端末としてLumia 630/635も発表されました。これまでにも、低価格のWindows Phone向けには割安のライセンス価格が提示されていたと言われています。それでも、100ドル台ともなれば、ハードウェアのコストダウンにも限界が出てきます。このような価格帯でOSの価格がそっくり無料となれば、かなりのインパクトをもたらすでしょう。

 さらに一部の機種では、“Androidよりも安くなる”可能性が指摘されています。なぜなら、大手メーカーはAndroidの使用に際して、マイクロソフトに特許使用料を支払っているためです。こういったメーカーにとって、Androidはもはや”無料”のOSではありません。端末1台あたりに換算すれば微々たる金額ですが、低価格市場においてAndroidと正面対決することになるWindows Phoneにとっては大きな武器になります。

 また、ハードウェア要件も引き下げられました。現在のWindows 8.1タブレットでは、2GBのメモリと32GBのストレージが最低ラインです。Windows 8.1 Updateではこれらをさらに半減し、1GBのメモリ、16GBのストレージでも動作可能になるとしています。これによって見えてくるのが、100ドル台という超低価格のWindowsタブレットです。

 Windowsの一部無料化で見えてくる100ドルタブレットの魅力
↑Windows Phone市場に参入するメーカーはWindows Phone OSを無料で搭載できる。


■100ドル台のWindowsタブレットは実現するか

 小型Windowsタブレットの価格について、日本では上位版のOfficeを同梱していることもあり、3万円台が中心となっています。一方、米国では32GBモデルで299ドルという価格を基本に、実売価格ではレノボのMiix 2 8が220ドル、デルのVenue 8 Proが250ドル前後など、200ドル台中盤まで下がってきました。iPadは例外としても、KindleやAndroidの売れ筋モデルはさらにその下を目指しています。100ドル台のタブレットも珍しくありません。

 こうした状況では、8インチクラスのWindowsタブレットにもさらなる低価格化が求められます。1GBのメモリ、16GBのストレージに無料のWindows 8.1 Updateを搭載した、100ドル台のWindowsタブレットが実現できるかどうか。まずは6月のCOMPUTEX TAIPEI 2014に注目したいところです。

山口健太さんのオフィシャルサイト
ななふぉ

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