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インテルがついにSoCで本気モード?SoFIAをIDFでライブデモ

2014年04月02日 13時55分更新

インテルのスマホ・タブレット向けSoCに
足りなかったのは普及価格帯の廉価なSoC


 インテルと言えば、PC向けのCoreプロセッサーを製造している半導体メーカーというのが一般的な認識だと思われるが、インテルだってスマホやタブレット向けSoCビジネスに力を入れている。インテルのCPUは、x86という一般的にスマホ/タブレットに利用されているARMとは違うアーキテクチャーだが、同社がGoogleと協力して開発しているx86向けのAndroidには、ARMアーキテクチャー用に作られているソフトウェアを動かすバイナリートランスレーターという魔法の仕組みが組み込まれていることで、互換性の問題はほぼゼロに近く、同じAndroid向けのアプリがそのまま動作するようになっているのだ。

 このため、近年ではインテルのAndroidスマホ/タブレット向けのSoCへの注目度は高まる一方で、2月のMWCでは22nmという最先端のプロセスルールで製造されているAtom Z3700シリーズ(Merrifield、メリーフィールド)と呼ばれる最新製品も発表されている。ただ、このMerrifieldも、昨年発表されたAtom Z2500シリーズ(Clover Trail+、クローバートレイルプラス)も、どちらかと言えばハイエンドのスマホやタブレット向けの製品だった。

 ところが、これからのスマホは、MediaTeKやRockchipといった台湾や中国のSoCベンダーの低価格SoCを搭載した2万円以下の普及価格帯の製品が中心になっていくと業界では考えられている。そうした中で、Atom Z3700やAtom Z2500はスペックが豪華すぎで、かつモデムが内蔵されておらず、低価格デバイスに採用するには厳しい状況だった。このため、インテルがこれからスマホやタブレット向けのSoCに本気で取り組むには、そうした普及価格帯製品に向けたラインアップが求められていた。

IDF14 Shenzhen
↑インテルのSoFIAを搭載したリファレンスボード。

3G版SoFIAが動作する様子を初めて公開したインテル
今年の末には廉価な“インテル入ってる”スマホが登場へ


 現在インテルは中国の深セン市において、『IDF14 Shenzhen』という開発者向けのイベントを行なっている。4月2日に行なわれた基調講演において、同社CEOのブライアン・クルザニッチ氏は初めて実際に動作しているSoFIAを搭載したリファレンスボードとスマホを公開した。SoFIAは、Atomプロセッサーや3Gモデムなどがワンチップになっており、メモリーとストレージを足すだけで廉価にスマートフォンを製造できることが最大の特徴となる。今年の末までに登場する最初のバージョンは3Gモデム(HPSA+対応)になるが、2015年に登場する改良版ではLTEモデムを内蔵したバージョンも登場する予定だ。

 インテルがこのSoFIAに本気であることを示すのは、SoFIAがインテルの自社工場ではなく、外部のファウンダリー(委託製造を請け負う工場のこと)で生産が行なわれることだ。インテルの自社工場は、最先端の製造技術を利用することができるため、高性能な半導体を製造するのに適しているが、SoFIAのように性能よりもコストが重視されるSoCを製造する用途にはあまり適していない。これまでインテルが自社製品、しかもCPUを含む製品を外部のファウンダリーへ生産委託した例はほとんどなく、インテルがスマホ向けのSoC市場を取りに行くのになりふり構わず取り組んでいるということの現われだと考えられている。

 インテルCEOのクルザニッチ氏は「インテルは11月にSoFIAの計画を発表したが、それから4ヵ月でこのように実際に動かすことができた」と述べ、インテルがほかのスマホ向けSoCベンダー(QualcommやMediaTekなど)に対抗するために、これまでよりも速度を速めて製品開発を続けていることを強調している。つまり、インテルがスマホ向けSoCに本気で取り組んでいる、そういうことを同氏は言いたいのだろう。

 クルザニッチ氏は、スマホやタブレットの製造ベンダーが集中する深センの関係者に対して採用を呼びかけ、インテルが昨年11月に公開した、インテル製SoCを搭載するタブレットの出荷数を昨年実績の4倍となる4000万台を目指すという計画が順調に進んでいると、自信を示した。

 インテルはこの3G版SoFIAを第4四半期に出荷する予定になっており、今年の末にはSoFIAを搭載した廉価な“インテル入ってる”スマホが市場に登場する見通しだ。

IDF14 Shenzhen
↑3G版SoFIAを搭載したスマートフォンをデモするインテルのCEOのブライアン・クルザニッチ氏。

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IDF14 Shenzhen

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