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iBeaconは買い物の楽しさを復活させられるか!? ストアビーコンの挑戦 |Mac

 iBeacon(アイビーコン)は、アップルがiOS7の新機能として発表した、Bluetoothを基礎技術とした近距離通信の仕組み。iBeaconシステムの導入により、これまでは実現が難しかったマーケティング施策やデータ集めが低コストで可能になると期待されています。

 iBeaconを使ったサービスは、日本国内でも続々と登場しています。日本写真印刷が開発中のiBeaconをアプリに導入する汎用ソリューション「ストアビーコン」もそのひとつです。

iBeaconは買い物の楽しさを復活させられるか!? ストアビーコンの挑戦 |Mac

↑試作中のストアビーコンのビーコン端末。製品版の販売は9月を予定している

O2Oマーケティングに役立つ機能がすべて実装

ストアビーコンの最大の特徴は、iBeaconを使った「O2Oマーケティング」の実現に必要な基本機能がすべてそろっている点。メッセージをスマホに発信する機能や、店舗に設置されたビーコン端末を検知してコンテンツ(テキスト/画像/動画)を表示する機能、顧客情報をデータとして蓄積することで店舗での展開から効果検証、来店頻度に合わせたユーザーへの対応まで幅広く網羅しています。

iBeaconは買い物の楽しさを復活させられるか!? ストアビーコンの挑戦 |Mac

 iBeaconがなぜ、これほど盛り上がっているのかという理由のひとつにネット(オンライン)から店舗(オフライン)にユーザーを送る「O2O(Online to Offline)マーケティング」の分野での活用が挙げられます。近年、消費者が「ショールーミング」という行動に出ることが多いと言われます。実店舗で実物を確認してから、Amazonや楽天市場などのECサイトで商品を購入することで、こういった行動が年々増えたことで、ECサイトが成長し、実店舗が苦戦するという状態を作り出しているようです。

 「O2O マーケティング」は、ウェブサイトなどで呼び込んだユーザーに、実店舗で買い物してもらうことを目標としたマーケティング施策のことですが、iBeaconはスマホシェア 6割超を誇る iPhone に直接通知を送ることが可能なため、このO2O マーケティングで活躍するのではと期待されているのです。

 海外では既に来店ポイントを付与するサービスが始まっていますが、日本でもiBeaconを使ったO2Oマーケティングが普及するかどうかは未知数。同社の広報担当も「実店舗での買いものが楽しめる仕組みを作れるかどうかが、普及のポイントだと思っている」と話しています。流行に終わらせない仕組みづくりを各社が提供できるかが今後の課題と言えそうです。

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↑大阪のグランフロント大阪で「Cloud Days大阪2014」の模様。商業施設向けのシステム開発社やメーカーの調査部門/技術系の管理職など、大勢の人が詰めかけた

iBeaconは買い物の楽しさを復活させられるか!? ストアビーコンの挑戦 |Mac

↑ビーコン端末とiPhoneの距離が一定以上近づくと「いらっしゃ〜い」の画面が表示される

「クーポンはもうダサい」という店舗の本音から開発がスタート

 ストアビーコンは、当初O2Oでよく活用されるクーポンの発信ツールとして開発が進められていました。しかし、店舗を持つ企業側にヒアリングを重ねて行くうちに「クーポンはもうダサい」「安売りで来るお客さんは2回目は来てくれない」「もうチラシに限界を感じている」など意外なコメントが聞かれたそうです。

 しかし、こういうコメントはエンドユーザーの立場で考えるとよく分かります。ストアビーコンの開発者も、不要なクーポンを送りつけてくるサービスにはうんざりする事が多いと感じていたのだとか。そのため、単にクーポンを発信するツールにしてしまうと、iBeacon自体が普及しないのではないかとの懸念が持ち上がりました。

 そこで、エンドユーザーの立場に立ち帰り「店頭での体験を進化させる」という方針のもと、開発コンセプトの再度検討が始まりました。そして、現在β版を先行導入中の店舗とのアイデア出しでは、「いかに店舗での体験価値を上げていくか」がテーマになっています。

 具体的な活用法としては、「ストアビーコン」の基本機能をアプリに組み込むことで、キャラクター雑貨の店舗で店内でしか聞けない人気声優のメッセージを配信したり、壁紙などの店舗限定コンテンツがダウンロードできたりといった活用方法が想定されています。さらに、メッセージやコンテンツは管理画面でコントロールできるので、店舗ごとに独自 のコンテンツを発信するなどの柔軟な運用も可能です。

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↑できたて惣菜を案内したり、お勧めの商品を紹介したりと、ユーザーの動線にあわせた「ライブ感」のあるプロモーションが実施できる

 それだけではありません、これまでは難しかった顧客属性に応じたコンテンツ提供も可能になります。例えば、来店頻度の高い顧客へのプレゼント、車で来ている人に駐車券を無料配布など単なる値引きではなく、場所や顧客の行動に合わせた役立つクーポンや情報を提供することができます。こうしたユーザー本意のサービスを実現することで店舗での買い物満足度が高まり、結果として売り上げに貢献すると言います。

 失われつつある買い物の楽しさを再び取り戻すことができるか。ストアビーコンの挑戦は始まったばかりです。

 MacPeople5月号(3月28日発売)では「いま絶対押えておきたいiBeacon」として、技術的な仕組みから活用テクニック、プログラミングの基礎まで徹底解説。これさえ読めば、iBeaconのすべてがわかります。

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 そのほか、System1.0からMacOSと名称を変えたSystem7.6、初代iMacにプリインストールされていたMacOS8、最新のOSXMavericksまで歴代MacOSが受け継いできた仕組みや機能を隅々まで紹介しています。

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