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MSエバンジェリストが明かす『わたしがクラウディア窓辺になるまで』

クラウディア窓辺はどうやってできたの?|クラウディア物語その1

2014年03月20日 19時00分更新

文● 戸倉彩(日本マイクロソフト エバンジェリスト) 編集●アタラシ

 週アスPLUS読者ならおなじみの萌えキャラ“クラウディア窓辺”さん。日本マイクロソフトの“公式”キャラクターとして、ツイッターで情報を発信したり、技術解説マンガに登場したり、コミケに出展したりと、さまざまなフィールドで活躍中です。

 その公式キャラを運用し、ときに“中の人”としてつぶやきながら育ててきたのが日本マイクロソフト Windows Azureエバンジェリストの戸倉彩さんです。そんな彼女に、クラウディア誕生秘話から、企業の“公式キャラ”を運用するうえでの苦労話、今後の野望(!?)などを語っていただきます!(計8回予定)

Claudia Madobe

 みなさん、こんにちは。日本マイクロソフト Windows Azureエバンジェリストの戸倉彩です。今からさかのぼること、3年前の2011年5月。マイクロソフトの開発者向け技術情報サイト(MSDN)上ではじめて、Windows Azureの技術解説漫画『クラウドガール - 窓と雲と碧い空 -』が公開されたのをみなさんはご存じですか?

 公開された当時、私はまだ、マイクロソフトに入社する前でした。ネットでウワサを聞いてそのサイトの存在を知ったのですが、サイトを見た瞬間、大きな衝撃を受け、すぐさま大きな興味をもったことを覚えています。

 なぜかといえば、
主人公を務める二次元キャラクターが、私が子供の頃から憧れる“金髪×ハーフ×エンジニア”という“理想の女性像”だったから。加えて、“11月20日”という誕生日が、私といっしょだったのです。偶然にしては、あまりにも劇的! それがWindows Azureの公式キャラクター“クラウディア窓辺”との出会いでした。

Claudia Madobe

出典:http://msdn.microsoft.com/ja-jp/claudia00_01

■“クラウディア窓辺”はこう誕生した

 クラウディア窓辺の生みの親は、現在の私の上司であり、同じく日本マイクロソフト エバンジェリストを務める砂金です。砂金によると、Windows Azureの公式キャラクターが日本で誕生したきっかけは、大きく2つあったそうです。

 ひとつは、2010年に開催されたIT技術者向けカンファレンス『TechEd』で配布した解説マンガ。それは、マイクロソフト本社がクラウド概要をわかりやすく解説するために用意したマンガ作品だったのですが、「アメコミ調で残念なクオリティだった」にも関わらず反響があったため、日本独自でプロジェクト化することになりました。

 もうひとつは、『数字ガール』をヒントに、日本でサービス提供を開始したばかりの“Windows Azure”のクラウド技術について、ストーリーも楽しみながら理解を深めてもらうコンテンツを提供したかったという欲求です。


 砂金は当時から、クラウド戦役をZガンダム視点でわかりやすく解説するブログ(関連サイト)や、全国で開催されるイベント、セミナーなどへの参加を通じてマイクロソフトのクラウドサービスの啓蒙活動を行っていました。しかし、技術マンガの制作は初めての経験。にもかかわらず、潤沢な予算枠が与えられていた訳ではなかったため、工夫を凝らすとともに、これからのクラウド発展に向けた未来への思いを込めながらプロジェクトを進めていたそうです。

 
実際のキャラクター作りにおいては、社内関係者やWindows Azureユーザー会(JAZUG)のコアメンバーを巻き込み、自分たちの手でひとつひとつ創造していきました。このクラウドガールの世界観には、徹底的にこだわり抜いたといいます。

 
また、マイクロソフトはグローバル企業ですから、公式の女性キャラクターを活用するとなると、当然、グローバルを意識しながら公序良俗や女性蔑視の観点で細心の注意を払って対応する必要がありました。

 同時に、企業向けエンタープライズビジネス比率の高まりとともに、築き上げてきたコーポレートブランドにネガティブな影響を及ぼさないよう配慮して、他部門や本社の合意を得てゆく必要もあります。そこで、日本における、技術者向けのマーケティング手法としての正当性をロジカルに説明したといいます。

Claudia Madobe

クラウディア窓辺のキャラクター設定

・「クラウディア窓辺」という名前は、”クラウディア”はクラウドから、”窓辺”は既にWindows 7の自作PC応援キャラクター(非公式キャラクター)で注目を集めていた「窓辺ななみ」の“いとこ”という設定から命名。

・年齢は、窓辺ななみ(英語版Windows 3.1の発売日が誕生日)よりも年上の25歳(Windows1.0の発売日が誕生日)という成人キャラクター。

・見た目は、身長170cmのすらっとして背が高い、日本人とフランス系アメリカ人とのハーフ。凛とした立ち姿に強さと美しさを兼ね備えている。

・職業は、Windows Azure上で開発系のお仕事をするシステムエンジニア。これからクラウドを学ぶ人たちに少しだけ上から目線だが、いろいろ教えてくれる。

・服装は肌の露出を控えめに、カジュアルな白いシャツに黄色のセーター、青いスカートという万人受けするものをまとわせた。

・左の耳には大きなWindows Azure風ロゴの青いピアス。

・メガネは、『新世紀エヴァンゲリオン』の『新劇場版・破』に登場したマリというキャラクターがかけている赤いフレームのメガネの影響を受けているとかいないとか。


 キャラクターデザインは、「窓辺ななみ」と同じ「わかば」さんが担当し、髪型や細かい服装のデザインなど何度かやり取りを繰り返して現状のデザインに落ち着きました。

 
キャラクターに命を吹き込んだ声優さんは、当時『魔法少女まどかマギカ』の美樹さやか役を務めていらした、“キタエリ”こと喜多村英梨さんです。

 こうして、社内的に制限のあるキャラクター作りの中でも、ところどころに日本のアニメ要素や文化を取り入れながら、クラウディア窓辺は形づくられていきました。その甲斐もあって、アニメファンも納得の企業キャラクターとして世に送り出されたうえ、さらに二次利用OKということもあって人気が高まっていきました。

Claudia Madobe

※Windows Azure公認キャラクター利用ガイドライン(関連サイト

 

■私とクラウディアのファーストコンタクト

 そして当時の私に話は戻ります。私はすっかりクラウディア窓辺に魅了され、クラウドガールのマンガが次々と更新されていくのを楽しみにしていました。

 その数ヵ月後の2011年11月。クラウド業界で活躍できることを目指していた私に最高の人生の転機が訪れました。クラウディアの生みの親、砂金が所属するデベロッパー&プラットフォーム統括本部に入社することが決定したのです。

 入社時は新規のクラウドパートナー開拓を担う営業職として配属されました。この頃の私は、長い黒髪を束ね、客先訪問も多かったのでスーツ姿で外出するのが普通でした。

 しかし、お客様との打合せがない日には、「クラウディア窓辺のイメージに少しでも近づきたい」という想いから、自前の白いシャツ、黄色セーター、紺色のスカート、赤いメガネで出社していました(笑)。プライベートな時間では、本名は明かさずに“クラウディア窓辺”としてコスプレイヤーとして活動を始めたりもしていました。

 そして
時折、新作クラウドガールのマンガのレビューや、ノベルティ制作などの会議に呼んでもらったりしながら、私も少しずつプロジェクトの一員として関わるようになっていきました。それはとても大きなモチベーションとなり、慣れない営業活動や、Windows Azureの知識向上に一生懸命励むことができました。

 
それから約半年後の2012年7月。さらに奇跡的なことが起こりました。もともとシステムエンジニアをしていた私が将来的に希望していた技術職への道が再び開かれ、Windows Azureエバンジェリストとしてデビューすることになったのです。

 これを機に、私は誰から言われたわけでもなく、髪をバッサリと切り、金髪に染めました。そして、自らも“クラウディア窓辺2.5次元担当”として、今の二人に与えられた最大のミッションである「Windows Azureの技術を普及させる活動」に専念することを心に強く誓ったのです。

 このように“クラウディア窓辺”は、企業での役割や目的を果たすべく、技術マンガのコンテンツとしての提供からスタートしました。しかし、今ではTwitterを通じたキャラクターコミュニケーション(@Claudia_Azure)や、リアルな世界でもあちらこちらで頑張っています。

■関連サイト
クラウドガール

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