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【私のハマった3冊】僕らをワクワクさせるテクノロジーと人の物語

2014年03月07日 14時00分更新

971book

クルマが先か? ヒコーキが先か? Mk.V
著 岡部いさく
二玄社
1890円

福野礼一郎の宇宙 甲
著 福野礼一郎
双葉社
1575円

宇宙船とカヌー
著 ケネス・ブラウワー
ヤマケイ文庫
1050円
 

 パソコンもスマホも、時計も自動車も飛行機も、およそ男の子の気持ちを揺さぶるハードウェアにはすべて、テクノロジーの誕生と進化の物語がある。それらは開発者の人生と重なり合い、壮大なストーリーとして流れ出し、人の心を打つ。

 そんな話が大好きで少年の気持ちを忘れない週アス読者に、技術と人をテーマにした3冊のお薦め本を紹介しよう。

『クルマが先か? ヒコーキが先か?』は、著名な軍事評論家でありながら、飛行機や自動車へのオタッキーな偏愛を軽やかに語る岡部いさくの人気シリーズ。ガソリンエンジンという共通のテクノロジーから生まれ、別々の方向に進化しながらも、ときに交錯するクルマとヒコーキの不思議な関係を描いている。登場するクルマやヒコーキの特徴が、各国の国民性をとてもよく表しているのもおもしろい。

『福野礼一郎の宇宙 甲』は暴走族出身の自動車評論家である著者が、ヒコーキや時計や日本刀など、主に自動車以外の機械を支える技術や空気力学・材料工学についてわかりやすくおもしろく解説している(後半はおもにガジェット・エッセイだが)。

 この2冊は、驚くべき博識と丁寧な自筆イラスト、権威と正反対のマニアぶりという点で不思議と共通している。

 そして今回のハイライトは、最近復刊されたばかりの名著『宇宙船とカヌー』。核爆弾を推進力にして、はるか土星や木星をめざした宇宙船計画“オリオン”の中心だった天才物理学者フリーマン・ダイソンと、北米原住民の伝統カヌーを現代のアルミやグラスファイバーによって蘇らせた手作りカヌーで北海に生きた息子ジョージ・ダイソンの親子の物語。正反対のようだが、荒涼としたフロンティアを低コストで開拓しようとする点で、この親子は驚くほど一致している。内容の多くをジョージの北海ネイチャーライフが占めるが、そこも含めてメチャクチャにおもしろい。

 

根岸智幸
電子書籍ミニッツブック (外部サイト) やってます。

※本記事は週刊アスキー3/18号(3月4日発売)の記事を転載したものです。

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