週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

ものづくりと技術はやっぱり楽しい ヤフーのOpenHackDay Japan2取材レポ

2014年03月05日 15時00分更新

 開催からちょっと時間が経ってしまいましたが大変面白かったのでレポートを。
 2月15日〜16日にヤフーが開催した、24時間で自由にサービスを開発するコンテストイベント“Open Hack Day Japan 2”。自身もエンジニアである、ヤフーの村上臣CMOが審査委員長として参加。プレゼンの前には「24時間を90秒に凝縮してほしい。発表者は思いのたけをぶつけてほしい」と語った。

 参加チームは、15日正午から16日正午までの24時間の間で企画からサービスの開発までを行なう。16日13時から、1チーム90秒のプレゼンを全チームが行ない、そのサービスを競うものだ。提供されるデバイスやデータ、APIはIDCフロンティアの“IaaS型クラウドサービス”、アフレルの“教育版レゴ マインドストーム EV3”、気象庁の天気や気象情報のXML型データベース、NHKの“NHK番組表API”など参加者は自由に使うことができた。

Open Hack Day Japan 2

 ハックデイは、もともと世界各国のヤフー社内で行なわれていたイベントだ。24時間という時間の中で、自由にアイデアを出し、実際にサービスを開発。出来上がったプロトタイプを発表。日常の業務を離れた場所で生まれる、クリエイティブなエンジニアイベントだ。昨年の2013年2月に一般参加が可能で、気象庁やNHK、楽天など協賛を集い、オープンなハックデイを初開催した。2回目となる今年は全82組、参加者総数339名が集まった。

Open Hack Day Japan 2

 最優秀賞を獲得したのは、堂々と歩きスマホができるというアプリ『SmartWalk』。LeapMotionを内蔵したオリジナルスマホケースとアプリを連動。赤外線で目の前の障害物や人物を解析、USBでつないだPCに情報をIDCFクラウドのサーバーへ送信。サーバーで情報を解析して、その情報をiPhoneから「右」、「左」と音声で出力、スマホをみて操作しながらも歩けるというものだ。その精度は高く、眼隠してした状態でも歩けるほどだという。またイベントなどでは参加者全員の位置情報をIDCFクラウドにためておき、渋滞緩和の誘導などを参加者に送信するなどといった使い方もできる。

Open Hack Day Japan 2

 受賞したチーム“Origia”は、Hack Uを勝ち抜いてきた大学生主体のチーム。ヤフーの村上臣CMOも「技術点が高い。社会の課題を技術でなんとかしようと。ヤフーの”課題解決エンジン”も合致する。歩きスマホばっかりしている。いけないなと思いつつ、やってしまう。すべてのスマホに搭載されてほしい」と受賞理由を話し絶賛した。副賞はなんと新型『MacPro』、ただ手に持っているのはお約束のごみ箱だ。

Open Hack Day Japan 2

 Happy Hacking賞は、チームcaramelの『Mommy Ring - 妊婦さんお助けシステム』。2人とも奥さんが妊娠中という、その名のとおり妊婦さんが電車などで席を譲ってもらえるシステムだ。専用アプリと、iBeaconを搭載した発信機付きのマタニティーバッジからなる。譲る側が電車内などでアプリを起動しておくとバッジの接近を感知し、妊婦さんに席を譲ることができる。席を譲ったことはその場でツイッターに位置情報付きでポストでき、その小さなやさしさが地図上に広がり、妊婦さんを助ける輪が広がっていくのがわかる。東京ミッドタウンマネジメント株式会社賞も受賞し、「おもてなしの街、思いやる心をテーマ」とミッドタウンのコンセプトに合致するというのが受賞理由だ。

Open Hack Day Japan 2

 セイコーエプソン賞を受賞した、チームおいまつさんの『ぷらいべーとレンズ』はエプソンの新製品『Moverio BT-200』を使ったシステム。PCの入力などで他人に見られたくない、恥ずかしい言葉を隠してくれるというが……。このシステムで文字入力を行うと、ただの□(四角)が画面に表示されるだけだが、Moverioを装着して画面を見るとしっかりと文字が見えるというもの。これは表示する四角はフォントがすべてマーカーになっており、ARで文字を重ねている仕組みになっている。Moverioのちょっと楽しい使い方の提案と、マーカーのプログラムを短時間でこなしたことを評価されていた。

Open Hack Day Japan 2

 このほかにも各協賛企業賞など様々なアイデアがちりばめられたユニークなサービスが受賞したが、受賞作品以外で鈴木が気になったものはチームLEMOのフェルミ推定専用アプリ『fermi』だ。直観的、ソーシャルを利用して誰でも簡単に知識なしで、見当つかない数字を短時間で導き出せるフェルミ推定をつくれるというものだ。「年間に消費される割りばしの数は?」など一見して、まったくわからない数字を人口や外食率などいくつかの手がかりを使って推定値を出すというもの。面接などで突然出題されたりすると……。このアプリはあらかじめフェルミ推定に必要な日本の総消費電力、日本の電柱の数などの統計情報やほかのユーザーが求めたフェルミ推定が入っている。その情報をお組み合わせていくだけで、簡単に推定値を出せるというものだ。インターフェースも色の使い方などがわかりやすく、非常にスマートなシステムだった。

Open Hack Day Japan 2

 ヤフーの村上氏は「もともとネットが好きで使ってもらって喜びを得ているのが原点。半分以上がものづくり、ものづくりは楽しい、ネットサービスをつくるのが楽しい。忘れがちな心を祭り間のあるイベントで思い起こす。普段は競合も広くインターネットを見れば仲間。社内イベントもオープンにして原点を忘れない。ずっと続けていきたい」と日々謀殺される状況のなか、ものづくりの楽しさを思い出そうと今回のハックデイを締めていた。

Open Hack Day Japan 2

■関連サイト
Open Hack Day Japan 2

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう