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デジタル時代の勉強法 進研ゼミが小中高に新タブレットを導入

2014年02月07日 21時15分更新

 赤ペン先生でおなじみのベネッセによる通信教育講座『進研ゼミ』が、今春からタブレットを活用した新しいサービスを開始する。
 2月に都内で開催されたベネッセの発表会では、小・中・高校生向けの新講座を発表。2013年4月から先行して、タブレットを配布している中1講座を含む、全9学年の講座内容を公開した。

進研ゼミ タブレット

↑ベネッセホールディングス代表取締役社長の福島保氏(写真左)。「減少した会員数を取り戻す意味でも、ベネッセのノウハウを生かした家庭学習の新しいスタイルを確立させていきたい。2014年度から3年計画で新しいサービスを構築する」。

■勉強の過程もチェックし評価する

 タブレット導入の狙いとしては、「たとえば漢字の書き順など、紙の通信教育ではフォローしきれなかった点などもタブレットなら可能になる。これまで家庭と進研ゼミのやり取りは1往復だったが、今後はタイムリーに双方向のやりとりができるようになる」とし、デジタルならではの利便性を取り入れていく。

 また、デジタル化することで、受講生の回答率をデータ化して苦手部分の傾向をさぐったり、学校ごとの進度やひとりひとりの理解度に合わせた個別の学習コンテンツを提供できるとしている。


 まず、進研ゼミ小学講座では、従来の紙のテキストと体験教材をセットにした『チャレンジ』コースのほか、小学1~5年生向けには専用タブレットで学ぶ『チャレンジタッチ』コースを新設。保護者は、タブレット上の学習状況などをメールやスマホで随時確認できる。

 中学生向けには、2013年から中学1年生向けに開始していた『チャレンジタブレット』の提供を、中学2~3年生にもスタート。講師によるライブ授業をリアルタイムで受けられるほか、紙のテキストでわからない部分をタブレットのカメラで撮影し質問なども可能になる。

 さらに、高校講座では高1向け講座のみ『チャレンジタブレットネクスト』を配布。ノートのサイズに近い9.7インチサイズで、細かい文字が書けるようにこだわったという専用のデジタイザー方式のペンを採用している。

 これらのタブレットは、受講条件や受講期間などを満たせば、無料でプレゼントされる。WiFi環境のない家庭のためにはNECのWiFiルーターをタブレットと同時購入ができるほか、小学生向けのタブレットでは、故障や落下などを補償する有料のサポートサービスなどにも加入できる。また、小学生向け『チャレンジタッチ』では通常のインターネットは利用できない仕様になっているほか、中学生向け『チャレンジタブレット』はフィルタリングや利用制限機能などのペアレンタルコントロールが設けられている。

※中学、高校講座のみ、タブレットは申し込み制。
※いずれも途中退会の場合は、別途タブレット代金が必要。

■デジタル教育で失われたものを見直し

 今回の発表会で印象的だったのが、「タブレットを配布することが注目されがちだが、あくまでデジタルという手段を最大限に活用するものであって、タブレットはその窓口にすぎない」と繰り返し強調していた点だ。

 確かに、学校や塾などがタブレットを導入すると、そのこと自体がクローズアップされがちな点は否定できない。

 進研ゼミでは、「1986年以降、デジタルを用いた取り組みを行なってきたが、コンテンツを提供する手段としてデジタルにこだわりすぎてきた」という反省をふまえ、「紙で蓄積してきたノウハウを生かし、デジタル化で失ってきた“赤ペン先生”のようなぬくもりこそを新しく取り込みたい」としている。

進研ゼミ タブレット

↑わからない箇所をカメラで撮影し、送信。翌日には個別に回答が届く。

 具体的には、先に挙げたカメラで先生に質問を送ったり、保護者へのメールへ進捗報告したり、友達同士の勉強の進行度を確認しあったりといった、人との関わり合いなどを積極的に採用している。

 今後は、チューター制度や、紙のテキストで盛り上がっていた受講生どうしの投稿コーナーをソーシャルネットワークの中で復活させるなど、生徒のモチベーションを上げる方法なども検討している。

■タブレットはすべて日本メーカー製

 全3種類のタブレットはすべてAndorid搭載。メーカー名は公表されてないが、同一の日本メーカー製のものを使用している。それぞれの学年や目的に合わせた仕様で、3年間続けて使えるようにしているとのことだ。

進研ゼミ タブレット
進研ゼミ タブレット

↑高校講座の『チャレンジタブレット ネクスト』。Android4.2搭載、細かい文字を書く作業が多いので、ペンでの書き心地にこだわったという液晶。なめらかで書きやすい。

進研ゼミ タブレット
進研ゼミ タブレット

↑中学講座用の『チャレンジタブレット』。7インチ液晶で430gと、もっとも軽量。背面にスタンドがついた一体型のケースと、専用ペンが付く。

進研ゼミ タブレット
進研ゼミ タブレット

↑小学講座の『チャレンジタッチ』。スタンドにもなる丈夫なケース付き。液晶は9.7インチ。2月~3月に、全国のイオンなどで体験会(外部サイト)も開催される。

 なお、未就学の幼児向けには、HPと共同開発した『しまじろうタブレット』の発売も予定している。こちらもAndroidタブレットで、外観がしまじろうデザインになっている。このほか、幼児向けにも新たなサービス展開を予定しているので、小さな子供をお持ちの方々は、今後もベネッセのサービスをチェックしておくことをオススメする。

 全国の学校でデジタル化が進むなか、子供達の学習方法も変わっていく。デジタルネイティブの時代に合わせて、どのような新サービスを提供できるかが、今後の学習塾や通信教育サービスが生き残るカギとなりそうだ。

■ベネッセの通信教育サービス

・こどもちゃれんじ(0~6歳) 1980~2271円
・進研ゼミ小学講座 3520~5618円/月
・進研ゼミ中学講座 6160~6480円
・進研ゼミ高校講座 1科目5550円~12科目2万580円
※すべて、2014年度版毎月払い(消費税5%)の場合。

●関連サイト
ベネッセコーポレーション
進研ゼミ

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