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出品5分で即売れる Googleもアップルも認めたフリマApp『メルカリ』の秘密

2014年01月24日 22時00分更新

 スマートフォンが普及した中、これからも引き続き大きな伸びが期待できるのがeコマースだ。2013年もスマホファーストへ向かうヤフーが“Yahoo!ショッピング”の出店料を無料化し、最近はスマホ向けにサイトをリニューアルした。

 そんなeコマースの中でも個人間売買は2014年、競争が激しくなりそうな分野だ。LINEも法人と個人間と双方がプラットフォームとして使えるショッピングサービス“LINE MALL”を発表し、2013年12月に先行オープンするなど、この分野を狙っている。しかし、まだPCにおける“ヤフオク”のような決定的なサービスは登場していないのが現状だ。

 そんな中、2013年7月にリリースされたスマートフォンのフリマアプリ『メルカリ』は、Google Playの“ベストアプリ2013・ベストショッピングアプリ”に選ばれ、App storeの“App Store Best of 2013 今年のアプリ(ショッピングの新しいかたち)”を受賞するなど、個人間売買のスマホアプリとして人気を集めているサービスだ。

メルカリ

 メルカリは出品者がスマホのカメラで撮影し、商品名や説明などを入力しカンタンに出品でき、落札もカンタン。支払いも一度サービスをとおして確認できから発送。商品到着で入金されるなど安心感も高い。女性を中心に出品数は100万件を超えるほどの規模になっている。わずか半年で人気アプリとなったのか、同社取締役の石塚亮氏に話を聞いた。

メルカリ

――サービスの特徴を教えてください。

 出品したらスグ売れる(確約ではないよ!)。そういった声がソーシャル上にもたくさん出ていますし、データ的にも出品してから何分以内という割合が相当多い。アクティブユーザーが多く、家の中で着なくなった服や、誰でもある物。捨てるものではないものを出品すれば即座に売れます。

 フリマアプリと呼んでいるくらいなので、誰でもアプリ経由でいらなくなったものを売り買いができます。リアルなフリマの感じで相手との取引を楽しみながら売り買いできるのが特徴です。サービス自体の特徴は3つあり、ひとつはスマホでカンタンに使えること。スマホ上で写真を撮って、5分くらいで出品できます。2つ目は出品時の固定価格でオークション形式ではありません。

 3つ目はメルカリが、安心を担保するようにしています。お金のやり取りは落札者と出品者で直接行なわれません。購入者がボタンを押して支払われる代金は、いったんメルカリが預かります。そして、メルカリが確認してから商品発送の通知をして、購入者は問題なければ受け取り通知を送ってもらうようにしています。メルカリに受け取り通知が届いて初めて出品者はお金を引き出すことができます。いかに安心して取引できるかが、個人間取引で重要なので安心して使ってもらえるようにするのに気を配っています。購入者も商品が届かなかったら、メルカリから返金します。

メルカリ

――ユーザー層は若い女性が多いそうですが。

 20代女性、地方、主婦層が多いです。絶対的な数は都市部が多いですが、都道府県の浸透率をみると地方のほうが高いです。地方に住んでる人に活発に使われてています。地方のほうがショッピングなどの機会が少ないのが大きいかと。

 出品者と落札者のユーザー比率は、ほぼ1対1。出品もするし購入もする人が多いです。どちらも女性が多く7割くらい。フリマというのが女性に受けいられやすいというのがあるのかと思います。PCを使ったことがなく、いわゆるコンピューターというものはスマホが初めてという人が多いです。

 はじめから女性に受けるのは想定していて、ファッションに興味ある人に使ってもらうにはどうすればいいかとか考え、サイトやサービスのデザインもつくりっています。あとは地道にリアルのフリマで紹介したりとかしていました。商品も女性物のファッション系が多いです。高額なものは少なく、数千円とかです。ジャンルによって異なりますが、家電やスマホなどのカテゴリーは万単位、高い商品によっては7~8万の単位で取引されてるのもあります。最近は、『iPhone5s』発売の影響で5や4sを出す人も多いです。

メルカリ

――ガジェット系の出品も?

 実際に「iPhoneを出してメルカリですぐ売れた!」とつぶやいている人もいて。価格的には量販店に売るより若干安めだが、持っていく手間がなく家の中で全部できて、即座に売れるからこっちのがいいといいます。1円でも高く売りたいというニーズを叶えるものではないんです。手軽にいらなくなった物を捨てるよりは誰かに売って使ってもらいたい、という感覚で出品する人が多いです。

 アプリ開発のきっかけもそこにあり、リソースの再活用問題をどうやって解決していくかという、ビジネスとは別の重要な問題があります。個人間取引を促進するような仕組みがあればそういった問題を解決できるのではないかというのが発想の起源です。

――どのような使われ方が多いですか?

 ヒアリングしておもしろかったのが、毎日何度もメルカリを立ち上げて新商品がないかチェックをする人がいることです。メルカリをショッピングアプリではなく、TwitterやFacebookのように「おもしろいものがないかな?」というように使っているんです。出勤時にチェック、昼休み帰宅時にチェックして、おもしろいのがあれば買う。高いものではないので、衝動買いも気にならない。実際にそのユーザーだけがそのように使っているのではなく、メルカリをインストールした後は毎日使ってる人も多く、継続率が高いです。タイムラインを見るのが、掘り出し物を見つける宝探し的なが感じで楽しいですね。

メルカリ

――現在のビジネスモデルや今後の施策は?

 いま現在はプレオープンということで完全無料でやっていて、収益はあげていません。ただ、有料化した時点では、出品者が取引成立してから10%いただこうと考えている。いずれはそうなりますが、時期は未定です。また有料化のタイミングで機能追加も考えています。

 既存と新規どちらも両方大事です。もちろん女性だけのサービスと位置付けはしていなくて、男性向けにもこれからどんどんマーケティングしていきたいし、男性の好む商品も出品してほしいです。今の時点では、出品される商品の傾向が近いので、パーソナライゼセーションをどうするかは考えてるところです。興味ある出品者をフォローするのか、購入履歴から似たような商品を表示するのかなど、ベストなものを検討中です。

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