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2014年の中国スマートフォンはオクタコアがとにかくアツい

2014年01月08日 12時00分更新

 ハイエンドスマートフォンはクアッドコアCPU搭載が当たり前となった2013年。そして2014年はいよいよオクタコアCPUを搭載する製品が続々と出てきそうです。さていつごろから搭載製品が出てくるかと思ったら、中国ではもう多数のオクタコアスマートフォンが発売、発表されているのです。

中国スマホ

↑メディアテックのオクタコアプロセッサ。

 サムスン電子が2013年春に発表したオクタコアプロセッサ「Exynos 5 octa」は同時に8コアが動くのではなく、4コア+4コアのbig.LITTLE処理で動作するものでした。これに対し台湾のメディアテックが2013年11月に発表した『MTK6592』はCortex-A7を8個搭載し同時動作が可能な“真のオクタコア”を謳っています。

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↑中国初のオクタコアスマホはZopoから登場。

 このMTK6592の発表を受け、すぐに製品をアナウンスしたのが中国の中小メーカーの『Zopo』。中国語では“卓普”と書きます。Zopoについては以前簡単に紹介したことがありますが(関連リンク )、中国初の裸眼3Dスマートフォンを発売したりと他社がやらない製品をいち早く市場に投入する新興メーカー。Zopoは中国内でもシェア10位にも入らない中小メーカーですが、オクタコアCPU搭載は下剋上ともいえる速さで大手メーカーを出し抜いています。なお中国語でコアは“核”、なのでオクタコアは“八核”と表記します。

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↑流行の最先端を素早く取り入れ(マネとも言う)。

 このZopoの『小黒2』、スペックは1.7GHzオクタコアCPU、5.5インチフルHDディスプレイ、RAM 2GB/ROM 16GB、1400万/500万画素カメラ、NFCなど。通信方式はW-CDMAとGSMに対応、本体サイズは151.4x76.1x9.1mm。スペックだけ見るとかなり使えそうな製品です。しかも背面の電池カバーは革調の表面仕上げで、これはサムスン電子のGALAXY Note 3をさっそくインスパイアしちゃってます。価格は1499元(約2万5830円)。

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↑立て続けに中国メーカーが製品を発表。

 Zopoがオクタコア一番乗りしちゃって、他の中国メーカーはさてどうするんだろうと思っている間もなく、MTK6592搭載の新製品が各社から次々に発表されています。年が明けた2014年1月、各メーカーは次々と製品を市場に投入しはじめました。いくつかの製品はすでに販売が始まっています。

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↑TCLのidol X+は海外発売も。

 中国の家電大手、TCLは2013年末の12月26日に新製品発表会を開催、世界最速オクタコアという『idol X+』を発表しました。これは他社のMTK6592が1.7GHzなのに対し、idol X+は2GHzのものを搭載しているとのこと。ディスプレイは5インチフルHD。なおTCLは世界シェア6位のメーカーですが、中国外ではアルカテルのOne Touchブランドとして製品を販売しています。そのことからこの新製品も“One Touch idol X+”としてヨーロッパやアジアでも発売される予定です。中国での価格は1999元(3万4450円)。

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↑ファーウェイもすかさず8コア搭載。

 グローバル展開している中国メーカーと言えばファーウェイの名前を忘れてはいけませんね。Zopoに続いてすかさず8コアCPUスマートフォンを発表しています。『Ascend 3X』は1.7GHz CPUに5.5インチフルHDディスプレイ、1300万/500万画素カメラ搭載、3000mAhの大容量バッテリー、さらにはW-CDMAと中国独自の3G方式TD-SCDMAに対応と欲張りな製品に仕上がっています。価格は1698元(約2万9270円)。

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↑デュアル1300万画素カメラは世界初。

 Zopoと同じ時期にスマートフォン市場に参入したThl。名前がTCLとクリソツですが同社はHTCっぽい製品を当初出していたことから、メーカー名はそちらを意識しているのでしょう。このThlもたまに面白いスマートフォンを出してくるのですが、2013年夏に発売した『美猴王』は世界初の“前後1300万画素デュアルカメラ”搭載。メインもフロントも高画質な写真撮影が可能なのです。これは自分撮りをよくする女性をターゲットにした製品なんですね。その美猴王にMTK6592を搭載した製品が『美猴王2』。こちらもCPUは1.7GHz、5インチフルHDディスプレイ、カメラは前後に1300万/1300万画素。価格は1888元(約3万2520円)。

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↑Thlからは6インチオクタコアも。

 各社オクタコアスマートフォンはフラッグシップとして1機種を発表しているのに対し、Thlはもう1機種も発表しています。それは6インチフルHDディスプレイの『TX200』。前面カメラが800万画素にスペックダウンしたほか、ディスプレイサイズ以外は『美猴王2』とほぼ同機能。こちらはビジネス向けという位置づけのようです。価格は2199元(約3万7860円)。

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↑あの将軍様スマホメーカーも参入。

 何かとお騒がせな将軍様の国向けのスマートフォンを製造しているUniscope(関連リンク)。ZopoやThlよりもさらにマイナーなメーカーですがさっそくオクタコア製品を発表。しかもAscend 3X同様に中国の3Gならまかせろ!のTD-SCDMA/W-CDMAデュアル対応。これもしかしたら近いうちに将軍様の国で“自国開発”として出てきたりしちゃうんですかね。なお価格はまだ未定です。

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↑実は中華スマホがたくさん出てる。

 こんなマイナーメーカーまで参入しちゃうとは中国の動きは速すぎる!と思っちゃうのですが、実はもう無名メーカーやら怪しいメーカーからMTK6592を搭載したスマートフォンが多数販売されているのです。中国の通販サイト、タオバオで試しに“八核智能手機(スマートフォン)”と入れて検索すると、山のように“八核”を名乗る製品が出てきます。安いものなら700元くらい、約1万2000円くらいから購入できます。年末年始特価で498元なんて限定割引販売している製品もあります(但し注文してちゃんと届くかどうかは不明)。

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↑山寨スマホのスペックはテキトー。

 試しに新長虹というメーカーのCN700という製品を見てみました。価格は799元(約1万3780円)。MTK6592搭載とは書いているのですが、これまでのちゃんとしたメーカーと違って1.5GHzとのこと。でもよくよく説明を見るとbig.LITTLEなんて表現があるってことはCPUは違う?。ちなみに新長虹のメーカーWEBサイトはありません。中国で有名な大手家電メーカー『長虹』っぽくした未認可メーカーなんですね。この手の“山寨(さんさい)スマートフォン”はスペックの判断は自己責任、購入する際は様々な情報から総合的に決断する必要があります。ま、わかりやすいのは市場価格でしょう。1000元以上のものならちゃんとMTK6592を載せている可能性は高そうです。

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↑タブレットも続々でてくる。

 スマートフォンだけではなくタブレットもMTK6592搭載の製品が多数出てきそうです。中国のスマートフォントップ3メーカーであるCoolpad(Yoolong)も自社初となるタブレット『9976A』にこのMTK6592を搭載する予定です。他のタブレットメーカーも続々と後に続くでしょうね。ということで2014年の上半期中には中国メーカー全社がオクタコアCPUモデルをラインナップに揃えてくるでしょう。どんな製品が出てくるのか楽しみです。

山根康宏さんのオフィシャルサイト
香港携帯情報局

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