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パリで開催されたウェブ系カンファレンスLeWebってどんなイベント?

2013年12月29日 10時00分更新

 フランス・パリで『LeWeb'13 Paris』が2013年12月10日~12日の3日間、開催されました。

LeWeb2013

 LeWebといっても、日本ではあまり馴染みのないイベントです。かくいう筆者も、2010年にDeNA創業者の南場智子氏が登壇していたり、2012年にノキアがLumia 620を発表したことくらいしか知りませんでした。過去の情報を探してみると、Googleのエリック・シュミット氏、Yahoo! CEOマリッサ・メイヤー氏、InstagramやSpotifyのCEOなど豪華キーマンが出演している、ヨーロッパでは要注目のイベントのようです。

LeWeb2013
↑LeWebの会場であるEurosite Les Docks。

 そこで、どのような雰囲気のイベントなのか、実際に行って確かめてみることにしました。

■LeWebは英語でいうところの”The Web”

 その名の通りWeb系のカンファレンスです。主にWebサービスやクラウド、Web系のスタートアップ企業が集まる傾向にあり、現在のLeWebは6月にロンドン、12月にパリで、毎年2回のイベントを開催しており、今年でちょうど10周年となっています。

LeWeb2013
↑会場は、地下鉄12号線の北端にできた新駅”Front Populaire”から歩いてすぐ。
LeWeb2013
↑スポンサーとしては、GoogleやMicrosoft、PayPalやEvernoteといったWebに関連した企業が名前を連ねている。

 カンファレンスは、主にメインステージとスタートアップコンテストの2会場に分かれて進行します。メインステージにはWeb系企業からのスピーカーが登壇し、20分程度のセッションでどんどん入れ替わるというスタイルです。また、スピーカーが一人でプレゼンテーションを行うのではなく、ホスト役との対談形式のセッションも多いのが特徴です。

LeWeb2013
↑PayPalの社長、David Marcus氏によるトークセッション。トーク形式のものと、プレゼンテーション形式の2タイプがある。
LeWeb2013
↑会場内にはスポンサー企業のブースも。こちらはフランス最大の通信キャリアであるOrangeのブース。

 なお、フランスといえばフランス語を使うことを重視していることで有名です。道を尋ねるだけでも「Bonjour」や「Excusez-moi」と話しかけないと教えてもらえないとの説もあるほどですが、LeWeb全体は英語で進行します。これは参加者がフランスだけでなく、ヨーロッパ各国から来ていることもありますが、あくまでグローバルのカンファレンスである以上、英語を使うべきという線引きを感じます。このあたりの感覚は、ついつい自国語に頼ってしまいがちな日本やドイツにも見習ってほしいところです。

■ネットワーキングを重視

 LeWebのメインステージには入れ替わり立ち替わり世界中からのゲストが登壇するため見ていても飽きないのですが、それと同じくらい重視されているのが参加者同士のネットワーキングです。特にランチタイムは1時間半もの時間が確保されており、日本やアメリカでのカンファレンスと比べても、余裕がある印象です。

LeWeb2013
↑1時間半以上のランチタイムは立食形式で、ネットワーキングを兼ねている。

 LeWebの3日間有効なチケットは2390ユーロ(約34万5000円)と高額なこともあり、フードやドリンクは充実しています。とはいえ、1時間半もランチを食べ続けることはできませんので、ビールやワインを片手に話し相手を見つけ、ネットワーキングに励むことになります。

LeWeb2013
↑パリということもあり、パーティ用にアレンジされたフランス料理が並ぶ。

 この時間の過ごし方は様々で、ひたすら名刺交換している人や、iPadを片手に自社サービスを短時間でデモ(ピッチ)する人、その中に混じって、セッションを終えた登壇者が歩いていることもあります。

 アジア系の参加者は珍しいようで、会場内では次々と話しかけられました。何人かと話してみた限りでは、英語が堪能なのはイギリス人くらいで、ほかはバリエーション豊かなアクセントや文法の英語が飛び交っているという印象です。

■日本からのスタートアップ企業が出展

 LeWeb'13 Parisに唯一出展した日本企業が、同名のソーシャルロケーションサービスが話題のCompath Me(コンパス・ミー)です。代表取締役社長の安藤拓道氏自ら、同社が運営するファミリーSNS『KiDDY』のプレゼンテーションを行ないました。

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↑ファミリーSNS『KiDDY』を出展した、Compath Meの安藤拓道社長。

 KiDDYは子供の育児日記をWeb上に作成できるサービスで、iPhoneまたはAndroid用のアプリで撮影した写真のアップロードが、主な機能となります。基本機能は無料で使うことができますが、アップロードした写真をカードやフォトブックに印刷するサービスは有料です。いわゆる”フリーミアム”型のサービスとなっています。

 KiDDY自体は日本語と英語でグローバルに展開していますが、日本向けには年賀状のプリントサービスを開始するなど、ローカルでの展開も行なっています。

LeWeb2013
↑日本向けには子供の写真を使った年賀状作成サービスを開始。
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↑iPhone、Androidアプリを提供している。

 筆者の周囲でも子供のいる家庭では、一眼レフカメラやビデオカメラなど、子供の成長を記録するために、さまざまなデバイスを駆使する傾向にあります。そのため、KiDDYを利用している家庭でも、年賀状やフォトブックなどの有料サービスを購入する可能性は非常に高いという印象を受けました。さらに、子供の写真は家族内での共有にとどめるなど、プライバシーにも配慮した作りとなっています。

 安藤氏によれば、欧州や北米などを今後の重要なマーケットと見込んでおり、それがLeWebに出展した意図でもあるとのこと。来場者も続々とKiDDYのブースを訪れており、日本発のサービスに興味津々の様子でした。

■今後の日本からの参加者にも期待

 筆者が会場で何度か聞かれたのが、「日本でLeWebって有名?」という質問です。正直なところ、日本に関係のある出展が少なく、日本からの報道関係者もいないため、日本のメディアへの露出は限定的というのが現状です。また、会場の空気も「アメリカに負けずに、ヨーロッパのベンチャーを盛り上げていこう」というもので、アジアからは物理的にも心理的も距離のあるイベントになっている感はあります。

 逆にいえば、日本からの参加者は簡単に目立つことができるのも事実です。ヨーロッパにWebサービスを売り込みたい企業にとって、参加を検討するに値するイベントといえるのではないでしょうか。

 次回のLeWebは2014年6月9日~10日、ロンドンで開催される予定です。

■関連サイト
LeWeb2013
Compath.me 行きたくなる自分だけのガイドブック
KiDDY - こどもダイアリー in ファミリーネットワーク

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