2014年01月26日20時00分

京セラ独自の人工宝石「京都オパール」を知ってた?【素材マニア】|Mac

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意外と長い京セラの人工宝石の歴史

 「京セラ」という企業名を聞いて、週アスPLUSの読者の皆さんはどんなイメージを持ちますか? 携帯電話やスマートフォン、あるいは電子機器に組み込まれる半導体部品などのメーカーと思っている人が多いのではないでしょうか。

 実は、京セラは人工宝石のメーカーとしても国内随一の企業なのです。創業時の社名が「京都セラミック」だったことからわかるように、同社は元々セラミックス製品のメーカーとして出発しました。その後は成長とともに事業分野も拡大していき、現在の事業グループを形成するに至るわけですが、人工宝石もセラミックスの結晶化技術から派生したビジネスの1つなのです。

 この事業の歴史は意外に古く、1975年の人工エメラルド製造を皮切りに、アレキサンドライトやルビー、サファイアなど多種多様な人工宝石を開発してきました。今回紹介する「京都オパール」もその事業の一種で、各種産業用の装飾素材としていまホットなジャンルとなっています。

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 昨年の11月に株式会社パワーサポートから発売された「京都オパールフィルム」は、この京都オパールを素材として採用したiPhone5シリーズ用の保護フィルムです。オパール独特の、光が揺れ動くさま(これを「遊色効果」と呼びます)がとてもキレイで、光り物好きな女性にはたまらない製品ですよね。
 

京都オパールとは何か?

 さて、製品もさることながら、素材マニアとしては「京都オパール」が何なのか、気になるところ。というわけで、京セラにお邪魔して、企画担当の方にお話を聞いてきました。

●オパールの内部構造
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 京都オパールは、京セラが開発した装飾用合成オパールのブランド名です。装飾用素材とはいえ、成分的には天然のオパールと同じ。天然のオパールは、シリカ(石英)の粒子が規則的に並んだ隙間に無機物が充填された状態の鉱物を指します。天然オパールが自然界で偶然的に発生したものであるのに対し、合成オパールはオパールが形成される条件を人工的に再現したものというわけです。
 

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 具体的にはどうやって合成オパールを製造するかというと、これが非常に地味。原材料となるシリカの粒を合成し、これを液体に混ぜると乳白色のコロイド溶液ができます(上写真)。あとはこの溶液をプールのような容器に入れ、シリカの粒子が沈殿し、固まるのをひたすら待つのだそうです。つまり、生成環境は人工的ではあるものの、生成過程自体は天然のオパールとほぼ同じなんですね。

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 こちらが合成したオパールの固まり。光の干渉による遊色効果が確認できます。ちなみに、天然ものでこのような厚みのある固まりが産出することはまずないそうです。

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 こちらも同様の固まりですが、キラキラの色がグリーンのみなのがわかるでしょうか? このように採光の色をコントロールできるのは、合成ならではのメリットと言えます。
 

●京都オパール(樹脂含浸タイプ)の内部構造
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 また京都オパールには、天然ものと同じ「無機タイプ」のほかに、「樹脂含浸タイプ」もあります。これは、シリカ粒子の隙間に無機物ではなく樹脂を充填した樹脂(プラスチック)を用いることで、無機タイプよりも加工性を向上させたものです。

 樹脂含浸タイプは無機タイプよりも加工性に優れ、カラーバリエーションが豊富という特徴があります。
 

いま注目の高分子樹脂コロイド結晶タイプ

●京都オパール(高分子樹脂コロイド結晶タイプ)の内部構造
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 そして、それをさらに進化させたのが「高分子樹脂コロイド結晶タイプ」。これは、主成分となる高分子樹脂中のシリカ粒子に強い電荷を与えることで、粒子を等間隔に配列させ結晶化させることに成功したものです。

 従来の京都オパールに比べて樹脂量を増やし、割れや欠けを低減させたことで、素材としての加工性の大幅な向上と、製造サイズの大型化を実現しています。冒頭で紹介した「京都オパールフィルム」もこの高分子樹脂コロイド結晶タイプです。オパール特有の遊色効果を保持しつつ、薄くしても割れにくく、曲げられるという特徴があります。

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 上の写真は、高分子樹脂コロイド結晶タイプの硬化前の状態です。そっとしておくとやや濁りのある透明な液体ですが(左)ビンを振ってから数分間静置させるとオパール特有のキラキラを確認できます(右)。

用途が広がる京都オパール

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 こちらが、「京都オパールフィルム」を貼ったiPhone5s/5cです。オパールの発色はグリーンとレッドの2色展開で、電源オフ時にはキラキラが強調され、画面を表示した時も邪魔にならない程度にキラキラ感を楽しめます。

 フィルムだけでなくiPhoneケースも作ってほしいところですが、熱硬化樹脂を使用している関係で、現段階では立体的な造形は難しいそう。薄さや強度、加工コストなどを考えると、平面なフィルムにするのがちょうどいいのでしょうね。

 京セラは、熱可塑性樹脂の使用なども含め、今後も改良を重ねていくとのこと。

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 こちらは、京都オパール(樹脂含浸タイプ)のサンプルです。カラーバリエーションが豊富で、同じ色でもカットの向き(結晶の方向に対して垂直か水平か)によって見え方が異なるのも魅力。

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 すでに、時計の文字盤や理美容ハサミ、フルートといった製品に応用されています。これからもっと製品のバリエーションが増えていきそうです。

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 個人的にすごいと思ったのが、上の作品。これは螺鈿(らでん)の技法を用いた作品です。螺鈿とは、貝殻の内側の虹色に光る部分(真珠層)を板状に切り出し、漆地の彫刻部分に埋め込む工芸品です。貝殻の代わりにカラフルな京都オパールを使用することで、まるでモザイクタイルのような美しい作品ができるわけです。

 日本独自の文化が国際的にも国内的にも見直されつつあるいま、こんな風に最新の素材と日本の伝統工芸がコラボレーションするのは、すごくワクワクしますね。

(※追記:2014年1月27日 高分子樹脂コロイド結晶タイプに関する表現を一部改めました)
 

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