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良い悪いよりも、粋か野暮か――歴史研究家、文筆家 白駒妃登美

2013年12月09日 11時25分更新

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日本の歴史や文化の素晴らしさを、国内外に広く発信している「博多の歴女」白駒妃登美さんの「ルール」について、お聞きしました。

良い悪いよりも、粋か野暮か――歴史研究家、文筆家 白駒妃登美

良い悪いよりも、粋か野暮か

 私のルールは、選択肢に迷った時には、どちらが正しいとかどちらが得をするとかではなくて、「粋か野暮かで選ぶ」ということです。
 いろいろ模索した結果、粋とは何かが最近何となくわかってきて、その本質は「自分さえ良ければいいではなく、みんなのことを考えられる」ということかなって。だから、誰かに何かを伝えるという時も、どう伝えたら粋になるのかと考えて、ワンクッションおいてから伝えるようにしてます。
 例えば社内の会議だと、みんな良い会社にしたいとか良い仕事をしたいなどと思うあまり、ついつい自分と意見が違う相手に「そんなのダメ、ダメ」という言い方をしてしまうと思うんです。そういう場合に言い方を変えて、「それもいいけど、こっちの方がもっと粋なんじゃない」と伝えてみると、受け入れてもらいやすいんじゃないかと思います。「悪い」とか「間違っている」と言われてしまうと全否定されるような感じですけど、「それちょっと野暮じゃない?こっちの方が粋じゃないかな」って言われると全否定という感じがしないんですよね。日本人の価値観にはそんな感覚が合うのかなって思っています。

 あと、家族とか身近な人と意見が合わなくて言い争いになった時には、「私は勝負に勝ちたいのか、それとも幸せになりたいのか」ということを自分に問うようにしています。勝ちたいならこのまま思ったことを言ってみようって思うんですけど、幸せになりたいならちょっと言い方を考えたほうがいいなって。

 

自分ルールをゆるめると幸せを感じる

 人って必ず「こうじゃなきゃいけない」って自分ルールを持っていますよね。知らず知らずのうちに自分で自分を縛って生きていて。その自分ルールを全部捨てるのは人間である以上できないと思うんですけど、縛りをゆるくするだけで、こんなに自由で幸せな気持ちになれるんだと実感しています。以前は、今日一日を振り返った時に「何もしないまま何となく一日が終わっちゃった」と思う日があってはいけないとか、お財布にお札を入れる時には必ずこの向きでこの順番じゃないといけないとか、自分を縛るルールがたくさんありました。それがゲーム感覚で心地良くできていたらいいと思うんですけど、段々縛りがきつくなっていくと自分にもストレスですし、自分が気づかないところで周りの人にも嫌な思いをさせているかもしれないなと。
 だから最初はすごく意識して自分ルールを崩しました。あえてお札の向きを反対にして入れたり、買い物に行く時もわざと道順を変えたり、元のルールに別なルールをぶつけて壊していったんです。そうして「こだわらなくて良かったんだ」というのを体感すると、自然と縛りが薄くなっていくと思うんですね。それまで、ルールを無視するのは許されないと思って生きてきたんですけど、ゆるめても全然オッケーというのを体感しちゃうと変化が早い気がしますね。

 

人に優しく、自分にもっと優しく

 昔は変な思い込みがあって、「人に優しく、自分に厳しく」が良い生き方なんだと思っていたんです。だから「駄目な自分」というのを受け入れられなかった。でも、それはすごく矛盾しているんですよね。人間っていうのは本来、人に優しければ自分にも優しいし、自分に厳しければ、人にも厳しいはずなんですよ。それを「人に優しく、自分に厳しく」とするのはすごく作為的なわけですよね。だからそれを続けていると病んできてしまうんじゃないかなって。今では、「人に優しく」は当然ですが、その上でさらに「自分にもっと優しく」って思っています。それが私の一番大きなルール変更かもしれません。つまり「人に優しく、自分に厳しく」から「人に優しく、自分にもっと優しく」というルールに変えてみたんです。
 「自分にもっと優しく」って言うと、精神面でのことをイメージするかもしれませんが、身体のことも同じように思っていて。以前は、一日24時間はみんな一緒、ただその使い方が人によって違う、だから中身を濃く過ごさなきゃいけないって身体を酷使していたんです。酷使すればするほど「今日も良い一日を過ごした!」って思っていたんですけど、大病をしてからは身体は自分だけのものではなくて、天からの預かりものかもしれないと思い直したんですね。身体は死ぬ時に返すものなんだっていうのを強く実感してしまって。お借りしているんだから大事に使わなきゃといけないって思ったんです。これも私の中での大きなルール変更でしたね。

 

白駒妃登美(しらこまひとみ)

埼玉県生まれ、福岡県在住。慶應義塾大学卒業後、大手航空会社の国際線乗務員として7年半勤務。その後結婚、出産を経て、福岡県を拠点に結婚コンサルタントの活動をしながら、「博多の歴女」として歴史講座を積極的に展開。2012年、日本の歴史や文化の素晴らしさを国内外に広く発信する「株式会社ことほぎ」を設立。全国各地で講演活動に取り組んでいる。講演会では、「こんな歴史の先生に出会いたかった」と涙する参加者が多数。著書に『人生に悩んだら「日本史」に聞こう』(共著、祥伝社)、『感動する!日本史』(中経出版)がある。

■関連サイト

博多の歴女 白駒妃登美 公式ブログ

角川EPUB選書 創刊記念 ルールを変えよう!キャンペーン 特設サイト

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