2013年11月06日19時00分

3キャリア決算発表総括 各社が目指す未来とは

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 携帯大手3社の2013年度第2四半期決算が出そろった。NTTドコモは対前年同期比で減収増益、auは増収増益、ソフトバンクは増収増益といった結果だが、3社とも順調な決算をアピール。特にソフトバンクは、米Sprintなどの買収で大幅に収益を積み増し、初めてドコモの売上高を超えた。

決算発表 決算発表 決算発表

↑NTTドコモの加藤薫社長(左)とKDDIの田中孝司社長(中央)、ソフトバンクの孫正義社長(写真は2013年冬春モデル発表会のもの)。

○データ通信が伸びる各社

 各社の上期の決算は、NTTドコモが営業収益で前年同期比0.4%減の2兆1990億円、営業利益で同0.4%増の4732億円。KDDIが営業収益で同18%増の2兆538億円、営業利益で同50.3%の3476億円。ソフトバンクが売上高で同72.7%増の2兆5986億円、営業利益で同66.6%増の7150億円だった。3社とも売上は2兆を超えており、特にKDDIとソフトバンクは2ケタ成長となり、好調な決算だった。

  ドコモは、パケット通信料収入が同1.2%増の9493億円、コンテンツサービスなどの売上も同691億円増と好調。端末販売収入が同371億円増加したのに加え、販売費用が600億円減少し、販売の効率化で971億円の収益効果を達成した。ただ、月々サポートの影響による1338億円の減収要因が響いて利益を圧迫した。

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↑ドコモの利益要因。

 通信料収入を支えるARPU(ユーザー一人当たりの平均収入)は、前年同期に比べて音声が190円減、パケットが180円増、スマートARPUが90円増で、全体では80円増の5210円となった。月々サポートの影響を除くと、それぞれ400円減、10円増、90円増となり、全体では同6.1%減の4600円。音声収入全体では1000億円以上の減収となっており、月々サポートの影響でパケット収入などで減収分をカバーしきれなかった形だ。

 また、第2四半期の解約率が0.86%と高止まりしており、MNPでは39万減となったことで、純増数が14万9000と伸び悩んだ点も影響した。

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↑純増数とMNP、解約率。

 KDDIは、モバイル通信料収入が同5.7%増の8237億円となった。ARPUは、第2四半期で音声が110円減、データが390円増となり、全体では5100円。ここから毎月割の割引分920円を差し引き、全体では4180円だった。前年同期比で60円の減少だが、減少率は1.4%減まで改善しており、年内にはプラスに転じることを目指す。特にデータARPUは同14%増と高い伸びを示している。また、コンテンツサービスなどの付加価値ARPUは40円増の280円となり、これを加えた総合ARPUは同20円減の4460円になっている。

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↑KDDIの利益要因。

 固定系のサービスでは、auひかりが初めて黒字化するなど188億円の増益、コンテンツなどの収益も186億円積み増したことに加え、ジュピターテレコムを連結化したことにより347億円の増益が重なり、大幅な増益を達成した。ただ、増益分の54%は通信料収入が占めており、通信事業自体も好調だった。

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↑モバイル通信料収入が拡大。ARPUも減少幅が縮小している。

 収益拡大に貢献したのが、固定とのセットでスマートフォンの料金を割り引くauスマートバリューで、利用者数は540万契約まで拡大。純増数も上期で134万契約に達し、同33.4%増と好調。MNPは第2四半期で26万9000件で24カ月間1位を継続した。解約率が0.67%と業界最低な点も功を奏した。

 コンテンツサービスのauスマートパスは799万契約を突破。スマートフォンユーザーの付加価値ARPUは440円となり、収益を押し上げている。

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↑auスマートバリュー、auスマートパスの拡大が貢献している。

 ソフトバンクの決算では、モバイルサービス売上が同29%増の9960億円と大幅増。これには、連結化したガンホー、イー・アクセス、ウィルコムなどの1644億円も含まれており、それを除くと8316億円で、それでも大幅な増収となっている。

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↑各指標でドコモを抜いた結果に。

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↑売上高などの大幅増は、Sprintなどの買収が貢献した。

 これを支えるのは新規契約の増加で、純増数は上期で158万6000件の増加。iPhoneを中心に、さらにみまもりケータイやフォトビジョンといった通信機能内蔵端末が伸びを支えた。それに伴い、第2四半期のARPUは130円減の4520円となった。データARPUが170円増の2930円となった反面、みまもりケータイなどのARPUが低く、音声ARPUの300円減も重なって、ARPU全体では前年同期比マイナス。純増数は上期で28万となったが、解約率は第2四半期で1.11%と高い。

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↑国内のモバイル通信事業の売上も順調に増加。

 固定通信は、売上は同3.2%増の2703億7000万円だが、利益は591億2000万円で同1.2%減。イー・アクセスの子会社化で売り上げを伸ばしたが、ブロードバンド事業が不調で減収となっている。ヤフーをはじめとするインターネット事業は売上が1962億9000万円で同20.4%増、利益が945億8300万円で同16.4%増と好調で、全体の利益に貢献した。

 買収が完了した米Sprintに関しては第2四半期からの計上となり、売上高は7609億4100万円で、全体の売上を拡大させた。利益は223億400万の赤字だが、顧客基盤の償却費437億円が要因となった。

 ソフトバンクによる買収前から不調が伝えられていたSprintだが、第2四半期の純増数は31万3000件のマイナスとなっており、月額契約のポストペイドが53万5000と大幅にマイナスだった点が響いた。ただし、プリペイドとホールセールの純増数をそれぞれ伸ばしたことでマイナス幅は縮小させた。ポストペイドのARPUは64.28ドルと上昇傾向にあり、スマートフォンの販売比率も拡大していることで、反転攻勢を狙う。

○サービス、コンテンツで事業を拡大

 ドコモは減収減益だが、通期目標に関しては「順調な進捗」(ドコモ・加藤薫社長)としており、KDDIは売上が初めて2兆円を超え、通期20%の増益に向けて「順調」(KDDI・田中孝司社長)という状況。ソフトバンクは、Sprintらの買収によるものがあったとはいえ、「創業以来初めて、売上高でも営業利益でも純利益でもドコモを上回ることができた」(ソフトバンク・孫正義社長)。

 各社ともスマートフォンの進展でLTEユーザーが拡大。それにともないデータ通信料収入が拡大したことが大きな要因で、それに加えてKDDIとソフトバンクは、買収による収益を積み増したことで“過去最高”の決算という結果になった。

 国内の契約数は飽和状態が近く、特に契約数が多いドコモは、MNPによる値下げ競争で不利な面があり、純増数が伸び悩んでいる。第2四半期にはドコモもiPhone 5c/sの取り扱いを開始し、MNP流出が改善の兆しを見せているというものの、決定的な対策になるかどうかは未知数だ。

 純増数の大きな伸びは見込めない状況で、ソフトバンクは通信内蔵端末のフォトフレームや体組成計などで純増数の拡大を強化しつつ、さらに買収を繰り返すことで基盤拡大を図っている。決定的なのは米Sprintの買収で、大幅な成長となった。

 さらに、携帯販売の米Brightstarの買収をしたことで、端末の調達力を強化することができ、コスト削減も図れる。Sprintの業績は不調だが、孫社長は、Sprintとソフトバンクを「1チームでオペレーションしていきたい」と話し、ソフトバンク流の営業スタイルを持ち込んで「反転できる自信」を持っていると強調している。

 コンテンツやサービスも、各社が強化している分野だ。ドコモはdマーケットをはじめとするコンテンツ配信に加え、ヘルスケア、学習、通販なども手がける。dマーケットは上期で270億円の取扱高まで拡大。鍵となるのは認証基盤の「docomo ID」を開放し、他社携帯ユーザーでも利用できるようにする方針だ。これにより、“ドコモのサービスを他社ユーザーが利用する”という状況になり、ユーザーの裾野が拡大する可能性がある。

 KDDIは、auスマートパスでコンテンツやクーポンの拡大に加え、チケット販売や旅行代理店、百貨店などと提携し、リアル店舗へ誘導するO2Oビジネスへと展開を図る。800万会員と順調に拡大する契約者を背景に、他社と差別化できるコンテンツ・サービスを導入していきたい考え。

 ソフトバンクは、パズル&ドラゴンズのガンホーに加え、スマートフォンゲーム会社のSupercellを買収してゲームコンテンツを拡充。世界一のスマートフォンゲーム会社となることを狙う。eコマースの分野では、ヤフーショッピングやヤフオクなどで出店料を無料にして店舗数を拡大。商品数や流通総額で業界1位を目指す。

 コンテンツ・サービス事業は、加入者の拡大が一定規模に達しないと軌道に乗りづらいが、携帯の場合、端末購入時に加入を促すなどのプロモーションや販促活動がやりやすい。だが、サービスを端末購入時に強制的に加入させられる「抱き合わせ販売」が問題視され始めている。

 KDDIのauスマートパスなどはネット上で問題視され、田中社長が「指摘は認識している。強制は問題なので販売店に改善を指導していく」とコメント。他のキャリアの販売店でも同様の声はネット上にあり、キャリアの販売手法は曲がり角に来ている。今後、改善していくことを望みたい。

○ネットワーク強化をアピールする各社

 足元のネットワークについても各社のアピール合戦が激化している。ドコモは、LTE基地局数が37000局に達し、そのうち下り75Mbps以上の基地局28000局になった。下り150Mbps対応の基地局も提供を始め、高速化を図る。既存の4つの周波数帯に加え、15年1月からは5つ目の周波数帯も利用可能になることで、さらなるネットワーク強化を目指す。ドコモはユーザー数が多く、LTEへの移行が遅れたことで、都心部の混雑エリアでは特に苦戦を強いられていることから、対応は急務だ。

 KDDIは、800MHz帯を主力に、2.1GHz帯と1.5GHz帯を重ねて速度と容量を確保する戦略で、800MHz帯のLTEで実人口カバー率98%を達成するなど、エリアの広さやつながりやすさを強調。

 ソフトバンクは、AXGP(TD-LTE)の基地局が4万2000局、FDD LTEの基地局が2万9000局、900MHz帯の3G用基地局が2万8000局と、基地局数を順調に増加させ、買収したイー・アクセスの1.7GHz帯を使った「倍速ダブルLTE」というキーワードでつながりやすさと速度を強調。自社基準による自社調査でつながりやすさ1位をアピールするほか、ドコモとKDDIが複数回起こしたネットワークの重大事故を、900日近く連続で起こしていないと胸を張る。

 もっともソフトバンクは、端末の割賦支払いに関連して、ユーザーが未払いであると信用情報の誤登録をする重大な事故を起こしており、これに関しては修正や対策を実施した、としている。

 2013年上期の決算は、2社が好調な結果で、ドコモも回復に向けて改善の兆しを見せている。孫社長は、ドコモを超えた点に関しては「飛び道具でも何でもありで、越えればいい。あらゆる角度から何でもありで行きたい」と語り、Sprint買収による効果を強調。低調なSprint事業も「1年かけて一気にネットワークを改善し、他社に追いつき、2〜3年後には他社を上回る」と意気込む。

 KDDIもジュピターテレコム連結化の影響もあり、ARPUの反転によって安定した収益構造を構築していく必要があるだろう。ドコモは、ネットワークの改善とユーザー数の流出を抑えつつ、dマーケットなどのコンテンツ・サービスの成否が、収益改善の鍵を握りそうだ。

※2013年11月6日23時 Supercellの会社情報が一部間違っておりました。お詫びして訂正いたします。

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