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業績絶好調のソフトバンク iPhone導入の武勇伝も語る孫社長

2013年11月01日 09時30分更新

 10月31日に開催された、ソフトバンクの第2四半期決算発表会。代表取締役社長兼CEOの孫正義氏がハイライトとして挙げたように、業績は絶好調だ。売上高は73%増の2.6兆円、営業利益は67%増の7151億円、純利益も84%増の3949億円を確保した。

ソフトバンク 第2四半期決算発表会

↑ソフトバンクの孫正義社長。

ソフトバンク 第2四半期決算発表会

↑決算のハイライト。売上高、営業利益、純利益ともに前年対比で大幅増を記録した。

 売上高、営業利益、純利益それぞれには、7月に買収が完了した米携帯電話会社Sprintの数値も含まれる。この決算で、孫氏は「売上でも、営業利益でも純利益でも、どの角度から取ってもドコモさんを上回ることができた」と胸を張る。

 Sprintの売上高が合算されていることについては、「“飛び道具じゃないか、そんなのでいいのか”という声もあるが、そんなのでいいというのが私の答え」と意に介さない様子。「あらゆる知恵を働かせて、あらゆる角度からなんでもありでいきたい」と意気込みを語った。

ソフトバンク 第2四半期決算発表会

↑決算でドコモやKDDIを超えたと語る孫社長。

ソフトバンク 第2四半期決算発表会
ソフトバンク 第2四半期決算発表会
ソフトバンク 第2四半期決算発表会

↑売上高、営業利益、純利益の推移。

 こうした高い収益の源泉となっているのが、純増数とユーザーひとりあたりの収益である“ARPU”だ。孫氏の考えは非常にシンプルで、“純増×ARPUが売上になる”という。スマホへのシフトに伴い、パケット通信料収入が増加しているうえに、ユーザー数も増えている。その結果、ソフトバンクの収益も上向いているというわけだ。

ソフトバンク 第2四半期決算発表会
ソフトバンク 第2四半期決算発表会

↑純増数、ARPUともに好調なのが、好決算の要因だという。

 スマホでの純増の原動力になっているのは、言わずとしれたiPhoneだ。孫氏は会見で、iPhone導入のエピソードを披露。「彼ら(アップル)がiPhoneを開発する前、ボーダフォンジャパン(ボーダフォン日本法人のこと)を買収する前に交渉に行き、そこで口約束を取ってからボーダフォンジャパンを買収した。外に種や仕掛けを言わないだけで、ちゃんと事前に準備をして、自分なりの自信を持てたからこそ戦いを挑んだ」と語った。

 iPhoneはauからも発売され、今年はドコモも導入を決定した。端末が横並びになった結果、重要となるのはネットワークやサービスだ。ネットワークについては、発表会でたびたび言及しているエリアや接続を紹介。自社グループで測定した接続率を挙げつつ、「どう計算しても、どのセグメントでも我々が1位になった」と自信をのぞかせた。

ソフトバンク 第2四半期決算発表会
ソフトバンク 第2四半期決算発表会

↑エリア、通信速度ともに大きく改善を図った。

 発表会では、直前に買収が発表された2社についての、長期的な戦略も語られた。ひとつ目の会社が、スマホ向けゲームデベロッパーのスーパーセル。同社はまだ2タイトルしかゲームをリリースしていないが、いずれも大ヒットを記録している。同じソフトバンク傘下のガンホーも、『パズル&ドラゴンズ』で高い利益を生み出しているが、孫氏によると「売上の9割は日本で、残り1割が韓国などのほかの国」だ。逆に、伸びしろはここにある。このガンホーに、スーパーセルのノウハウを注入し、グローバル展開を加速させるというのが孫氏の戦略となる。

ソフトバンク 第2四半期決算発表会

↑「ゲームを制するものがスマホコンテンツを制する」として、ガンホーやスーパーセルの戦略を語った。

ソフトバンク 第2四半期決算発表会

↑ガンホーの『パズル&ドラゴンズ』は2000万ダウンロードを突破。

ソフトバンク 第2四半期決算発表会

↑売上が世界ナンバー1のスーパーセルを買収した。

 ただ、1ユーザーあたりの売上は「ガンホーがスーパーセルより大きい」。スーパーセルのゲームはAndroid対応を始めたばかりで、そこが伸びしろになるという考えだ。

ソフトバンク 第2四半期決算発表会

↑スーパーセルのCEO、イルッカ・パーナネン氏も会見に駆けつけ、自社の方針を語った。

 もう1社買収を決めたブライトスターは、携帯電話端末の卸売を手がける企業。狙いは、端末調達力の向上にある。孫氏によると、「アメリカで競合しているAT&Tやベライゾンに比べて2倍、3倍、ドコモさんに比べて5~6倍、KDDIさんの10倍の端末を、年間で仕入れるボリュームができた」と語った。

 冬春モデルが事実上3機種で寂しいラインナップのソフトバンクだが、孫氏もそれを暗に認め、「Androidは購入台数が少なすぎて、メーカーのみなさんがソフトバンクの要求する企画、機能、価格を実現するのが難しい状況だった」と話す。こうした状態を、ブライトスターの買収で一転させたいというのが孫氏の考えだ。もちろん、ここには買収したSprintとのシナジー効果も考慮されている。

ソフトバンク 第2四半期決算発表会

↑端末の卸を手掛けるブライトスターを傘下に収め、調達力アップを狙う。

 好調な決算内容と、大型買収の成功という2本柱で順風満帆に見えるソフトバンク。確かにそれは事実だが、10月に“こっそり”と発表した、信用情報の誤登録については言葉少なだった。ソフトバンクはこの件について、いまだにプレスリリースすら出しておらず、誤登録全体の件数も個別の問い合わせに答えている状況だが、孫氏によると「その後の問い合わせはもう収まっているというのが我々の認識」ということのようだ。

 とは言え、まだ詳細な原因や経緯、解決策は一切発表されていない。孫氏は「システムのバージョンアップのときに、人為的な入力ミスがあったということのよう。それについては、気がついてすぐに入力を入れ替えて、信用調査の会社には正しい情報を送り直した。対象ユーザーにはすべて個別に対策済み。継続して問題が起こっているわけではない」と述べているが、何をどうミスして、どんな対策をしたかの具体的な中身が語られることはなかった。

※2013年11月1日11:00 一部修正しました。

●関連サイト
ソフトバンク公式サイト

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