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机の上には何も置かない――株式会社KADOKAWA 中経出版ブランドカンパニー長 川金正法

2013年12月11日 11時25分更新

ルールを変えようキャンペーン

 株式会社KADOKAWA 中経出版ブランドカンパニー長の川金正法に、「大切にしている自分ルール」や「ルールについての考え方」を紹介してもらいました。

机の上には何も置かない――株式会社KADOKAWA 中経出版ブランドカンパニー長 川金正法

 

机の上には何も置かない

 数年前から実行している仕事のルールがある。それは「自分の机の上には何も置かない」ということだ。

 電話、パソコン、決済箱の3つだけは仕方がない。それから、いま取りかかっている仕事の案件書類も。いま、やるべきことに関わるものだけ、絞りに絞って最低限だけ残し、それ以外のすべてのものは、机の上からなくしてしまう。関係のない書類はいったん引き出しのなかに放り込み、いま読まない本は机のうしろの本棚にしまう。もちろん、収納にはかぎりがある。収納がぱんぱんになるようだと、モノがあふれて逆流し、自分の机の上に舞い戻ってくる。机の上をシンプルにするどころではなくなる。
 だから、毎日、どんどん捨てる。一心不乱にひたすら捨てる。仕事に不要なDMが届いたら、1秒でゴミ箱の中に放り込む。ひとつの案件が終わったら、大事なところだけを手帳にメモして翌朝には捨てる。整理整頓する時間がなかったら、たとえば2013年9月以前のものは目をつぶって捨てる。そのようなわけで、身のまわりには半年以上前にかかわった仕事の書類は一切ない。しかし、それで仕事で困ったことは一度としてない。

 こうした仕事のルールを実践し始めたのも、ビジネス書の編集者として十数年、さまざまな企業に取材し、第一線で活躍する経営者やビジネスマンの仕事ぶりを見て、自社他社問わず多様なビジネス書を読んだことがきっかけだ。
 ビジネス自己啓発の大家であるカーネギーは、これもやらなきゃ、あれが心配と思いわずらうから悩んでしまう、今日一日やるべきことだけに集中しなさいという。だから机の上に未決済の書類が山積みだと、いまの仕事に専念できない。トヨタ自動車の元工場責任者は、一週間たって動かないものは捨てろと言う。なぜなら、一週間たっても動かないモのは一カ月たっても、一年たっても、十年たってもそこにそのままあるからだ。1円単位で原価低減にとりくむ現場にとって、使いもしないもののためにスペースをとる余裕はない。それは書類にしても同じ。一週間たって見返すことのないドキュメントは、一生、見返すことはない。私が尊敬しているある中小企業経営者は、身のまわりを整えることから仕事は始まると教えてくれた。その会社では毎朝の始業前に全社員で「環境整備」とよばれる活動をしており、業績は一貫して右肩上がりである。

 編集者のかけだしのころの私は、忙しければ忙しいほど、机の上は本や書類であふれかえっている状況だった。編集者だから机の上は乱雑で当然という常識を持っていた私にとって、彼らが語りかけてくることはまさに「ルールを変える思考法」というべきものであった。そして「自分の机の上には何も置かない」と仕事のルールを変え始めてから、入社以来、なかなかヒットが出ずに苦しんでいた私が、ようやく10万部クラスのヒット作を出せるようになったのである。それ以来、私はこの仕事のルールを愚直に守り続けている。

 

川金正法

株式会社KADOKAWA 中経出版ブランドカンパニー長

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