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スマホのアプリは2020年に姿を消す?遠藤諭が大胆予想:ABC2013秋

2013年10月21日 13時00分更新

 アンドロイド開発者の恒例行事、ABCことAndroid Bazaar and Conference 2013 Autumnが東京電機大学・東京千住キャンパスで開催された。

スマホのアプリが消える!? 遠藤諭が大胆予想 2020年のスマートライフはこうなる!:ABC2013秋

 カンファレンスでは、角川アスキー総合研究所の遠藤諭主席研究員が『~2020年のスマートライフをマニアックに予測する~』というテーマで講演を行なった。

■どうなる? 東京五輪の年のデジタル生活

スマホのアプリが消える!? 遠藤諭が大胆予想 2020年のスマートライフはこうなる!:ABC2013秋

 遠藤氏によると、2020年の世界では、世界人口が77億人、インターネット人口は40億人になると見られており、ネットに接続する機器は500億台にものぼるという。経済としては新興国が先進国の仕事を奪い、先進国では経常収支が悪化し、格差が拡大すると見られている。すでにネットがデモや反政府活動を助ける動きが始まっているが、これがさらに進んでいくだろうとのこと。

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 また遠藤氏は過去から未来へのネットの変遷を予測したシートを発表。Web2.0時代といま到来しているクラウド時代を比較すると、ネットの役割や価値、インターフェース、流行などが変わってきているという。たとえば、ネットの役割は情報を調べたり、人との連絡手段だったものが、いまのクラウド時代はすべての情報がネットにあり、SNSを主軸にしたものに変化している。

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 さらに、いまの時代から2020年を予測した場合には、クラウドからリアルタイムで情報が連結されているハイパーコネクトの時代に移っていくだろうと遠藤氏は予測する。その世界の情報の価値はSNSから社会と個人の関係に移っていき、情報は個人が意図的に投稿するタイムラインから、フィジカルコンピューティングにより人が意識しなくても行動自体が情報そのものとなり、じょじょに意図的な形がないものになっていくだろうとのこと。これにより、アプリ自体もいまのように人が意図的に起動して使う姿はなくなり、人の行動に連動したコンテンツが提供されるだけの存在となる。

 また、インターフェースは、現在のタッチ操作からボイス操作やジェスチャー操作、そして脳波インターフェースなどになる。さらに、人間とコンピューターの能力が入れ替わることにより、昔のSFであるようなシンギュラリティ(技術的特異点)や人の尊厳がテーマとなる日が現実に来るのではないかとのことだ。

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 この予測はすでに現実のものとなりつつある。Google GlassとGoogle Nowが連動するウェアラブル環境では、操作不要の非アプリインターフェースとなるため、サードパーティーがアプリのように何かこの環境で商売するためには、Googleのようなプラットフォーマーに対してコンテンツを提供するぐらいしかできなくなるだろうとのこと。

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 2020年のパソコンに関して遠藤氏は3つのプラットフォームがあると予測する。Windowsは8.1からWindows10にMac OSはXIとなり、さらにChrome OSが台頭すると予測しているようだ。また、マイクロソフトはKinectが人の動きだけではなく、環境そのものをデータ化していくだろうとのこと。

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 遠藤氏は角川アスキー総合研究所のデータから興味深いものをいくつか紹介。そのひとつがスマートフォンの利用時間だ。1日でもっともスマートフォンを利用しているのは20代前半の女性で、1日3時間以上使っているとのこと。これは、友人や知り合いがLINEなどのメッセンジャーツールを使うのに合わせて、連絡を取り合うために自らもメッセンジャーを使うため使用時間が増えるというもの。これはスマートフォンの所有率が高い世代ほど使用時間も長い傾向にあるというデータからも読み取れる。

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 また、ネット動画とゲームの利用時間では、全世代平均でネット動画は1日に25.3分、ゲームは34.4分と日本人はゲームをプレーする時間のほうが長い傾向にある。特に20代の男性は日に1時間ずつネット動画を見て、そしてゲームをしているという。時間は男性よりも短いものの、20代の女性もほかの世代に比べてネット動画とゲームのプレー時間は長い。いまどきの20代がスマートフォンやゲーム機でコンテンツを消費し余暇を楽しんでいるのがこのグラフからもわかる。スマートフォンは2年で台数は飽和すると見られているが、サービスとしてはまだまだ広がる余地があると遠藤氏は述べていた。

■会場内のおもしろ展示物

 今回のABC 2013 Autumnでは、ややバザールの規模が縮小気味のような印象を受けたが、そのなかで見つけた面白いモノを紹介しよう。

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 工学院大学金丸研究室は、毎回アンドロイドで行なうロボット制御の展示を行なっているが、今回はenchantMOONやFirefox OSでロボット制御をするデモを行なっていた。

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 特にenchantMOONに関しては独自の“シール”を開発、手書きの矢印部分がそのままインターフェースとして機能するようになっており、独特なUIが目を惹いた。

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 日本Androidの会 金沢支部・香川支部では、5000円以下で買える名刺サイズのARMボード『BeagleBoneBlack』を展示。Androidだけではなく、UbuntuやDebianも動作するため、これらを試すのに最適な教材になるとのこと。

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 また、100円ショップの部材だけで1000円前後で作ったヘッドマウントディスプレーも展示。スマホをはめ込み、その画面を左右のレンズから見ようというもの。レンズ部分はなんと虫眼鏡で、ベルト部分は犬用のリードとのこと。スマホのモーションセンサーと連動し頭を動かすと視野も移動するというデモを行なっていた。

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 電脳よろずや本舗の森永さんは、人とコミュニケーションして動くドール『まじかるマリオネット「茉莉花」』を開発。アンドロイド端末とBluetoothで接続し、制御処理は端末側で担当する。音声認識により、しゃべりかけると人工音声で応答したりお辞儀する。さらに歩くこともできるという。技術自体は目新しいものではないのだが、“ドルフィードリーム“というボークス社の市販ドールのパーツを使っているところが面白い。また、開発者が女性なためか、動きに女性的な滑らかさと優雅さがあるのも惹かれる点だ。将来的にドール用のロボット化キットとして発売されたら面白そうだ。

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 インテルブースでは、参考出品としてZ2580やZ2480搭載の日本未発売の端末たちが並んだ。インテルでは開発者向けのイベント『インテル ソフトウェアイノベーションフォーラム 2013』を10月31日に東京で開催を予定しており、その場で今後のアンドロイド端末やTizenの展望が講演される予定とのこと。

●関連サイト
ABC 2013 Autumn

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