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auはiPhoneだけじゃない “選べる自由”に原点回帰した2013年冬モデル

2013年10月03日 09時00分更新

 「夏の質問に対してお応えしようと思ってそろえてきたのが本音。“選べる自由”とauは言うが、あまり選べないと言われてしまった。お客様の側に立って、色々なものを選べるようしないといけない。たくさん選べるという原点に戻った」

 KDDIの代表取締役社長、田中孝司氏がこう語っているように、auの冬モデルは豪華絢爛のラインアップだ。スマホは全7機種。ソニーからは『Xperia Z1』を、サムスンからは『GALAXY Note3』をと、グローバルで人気の高いフラッグシップモデルをいち早く調達。その上で、auの独自色を出すため、LGエレクトロニクスと『isai』を共同で開発した。

 国内メーカーのモデルも、富士通の『ARROWS Z』、シャープの『AQUOS PHONE SERIE』、京セラの『DIGNO M』と、各メーカーのフラッグシップ的な端末を取りそろえた。また、「今回の紹介は冬モデルだけ。春モデルは春にやりたい。そこでも新たなファブレット、タブレットを拡充していきたい」と、年明けにも新モデルを投入する計画を明かしている。

au 2013年冬モデル

↑「選べる自由の原点回帰」と語る、KDDIの田中社長。

au 2013年冬モデル

↑ドコモのツートップにも選ばれたソニー、サムスンのフラッグシップモデルを、いち早く導入した。

au 2013年冬モデル
au 2013年冬モデル
au 2013年冬モデル

↑ARROWS Z、AQUOS PHONE SERIE、DIGNO Mと、国内メーカーモデルも充実させた。

 田中氏が「あまり選べないと言われてしまった」というように、auは春から夏にかけてのラインアップが手薄だった。今年前半は、iPhoneに傾倒した戦い方だったとも言えるだろう。一方で、9月にはドコモがiPhoneを取り扱うようになり、3キャリアでiPhoneが横並びになった。

 結果として、まずネットワークの競争に焦点があたった。3社とも端末が横並びなら、差が大きく出るのはつながりやすさや速度となる。ソフトバンクに続き、auが夏モデルの発表会で、改めて800MHzのLTEのエリアの広さをアピールしているのもそのためだ。

au 2013年冬モデル

↑Androidは昨年から対応していたが、800MHzのLTEを改めてアピールした。

 もうひとつ重要になるのが、iPhone以外のラインアップを拡充すること。3キャリアが持つiPhoneは“どこでも買える端末”になってしまった。逆に、auにはXperiaもGALAXYも最新のモデルがないというのでは、相対的にラインアップが見劣りしてしまう。

 これでは、iPhoneに食傷気味のユーザーが他社に移ってしまう。競争に勝つには、これまでAndroid一本足だったドコモと同レベルのスマホを用意する必要がある。田中氏もこうした状況を「ドコモさんがiPhoneを出した今、ちゃんと選べた方がいい。お客さんが選んで(iPhone)1色になるならそれは仕方がないが、それでは僕らの義務を果たしたことにならない」と語っている。

 また、当のiPhone自体も、グローバルでは人気に陰りが見えている。とくに日本は諸外国に比べてiPhoneのシェアが極端に高い。もし海外と同様、日本のユーザーの嗜好がAndroidに移り、シェアも海外に近づいていくとすると、春夏のようなラインアップでは競争に勝ち抜けない。

 実際、iPhone 5cは現時点で大ヒットに至っておらず、田中氏も「在庫がだぶついているのでは」という質問に対し、「ちょっとね」と言葉を濁している。今後、キャッシュバックなどで価格が下がれば売れ行きは上向く可能性はあるが、キャリア関係者からも「期待外れ」との声を耳にしており、予断を許さない状況だ。

 これは、メーカー側の思惑とも合致する。ドコモは夏モデルでツートップ戦略を採用し、ソニーとサムスンを推した。その上で、9月にはiPhoneまで導入している。このような状況は、メーカーにとっても大きなリスクだ。できればフラッグシップモデルは、複数のキャリアに分散しておきたいのが本音と言えるだろう。あるメーカー関係者も、「これからはもっとKDDIに力を入れていく」と口にしている。

 ただ、GALAXYやXperiaといった人気ブランドをそろえただけでは、あくまで他社と横並びになるだけだ。そこで鍵となるのが共同開発モデルの『isai』だ。田中氏も「スマホはグローバル化が急激に進んでいる。ここで折れるとダメだと思っている。少しプラスをつけようと思った」と、差別化の重要性を語っている。

 LGのスマホは完成度が高く、実利用者の評価は高かったが、GALAXYやXperiaに押され、日本市場でブランドが上手く築けていなかった。その足りない部分を、auの培ってきたデザイン力やブランド力によって補える。結論を出すのはまだ早いが、両社にとってウィン・ウィンのコラボと言えるだろう。

au 2013年冬モデル

↑LGエレクトロニクスと共同で開発した『isai』。一部スペックは『LG G2』と同じだが、デザインやUIは別モデルと言っていいほど作り込んだ。

 もちろん、これらのスマホは1年以上前から準備をしてきたもの。auはそのころから、ドコモのiPhoneを見こしてAndroidのラインアップを仕込んできたというわけだ。「選べる自由」に原点回帰したau。この魅力的なAndroid端末のラインアップに、ユーザーがどう反応するのか今から楽しみだ。

●関連サイト
au公式サイト

(2013年10月3日 10:30追記)誤字を修正しました。

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