週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

意識が変われば、ルールは変わる――経営コンサルタント 藤井孝一

2013年10月15日 11時25分更新

ルールを変えようキャンペーン

 全国のビジネスパーソンに「週末企業のすすめ」を提唱し、精力的に全国をとびまわっていらっしゃる経営コンサルタントの藤井孝一さんに、「大切にしている自分ルール」や「ルールについての考え方」をお聞きしました。

意識が変われば、ルールは変わる――経営コンサルタント 藤井孝一

 

■自分の時間の決定権を渡したくない

 私はものすごく時間にこだわります。
 毎日、一日の時間割をつくって、それの通りに動くようにしています。時間を自分でマネージしたいという気持ちが強いんです。
 普通のビジネスマンなら、会社の始業時間から逆算して起床して、家を出ると思いますが、それだと会社に行動を規定されているようで、いやでした。だから私は早朝4時に起きて、会社とは別の仕事をし、それから出社するようにしていました。
 自分で時間をマネージしたいと思っても、実際には難しい。私はバブルのころの営業マンだったので、残業も多かったし、接待もかなりあって、夜が遅かった。自分だけ朝型にしても、くだらない会議があったりして、時間の使い方には限界がありました。
 その後、会社を辞めて独立したのですが、起きる時間、食事の時間、寝る時間などは極力変えたくありません。毎日、決まった生活を続けています。いつも同じように過ごしたいという気持ちが強いですね。
 社外の人とアポイントをとるときでも、「その日は何時でも大丈夫です」とは言いません。自分が決めた時間帯のなかに打合せを入れるようにしています。ほかの人に、時間の決定権を渡したくないんです。
 基本的に、打合せは午後3時から5時の間に行うようにしています。6時半には仕事を終えて、7時には家に帰る。その時間には食事をしていたいんです。
 もちろん講座とか、夜の会食とかイレギュラーなことは発生しますが、できるだけ自分の時間を守りたいという気持ちは強いですね。時間割が狂ったときにはストレスを感じますが、時間割があるからどこに戻すべきかがわかっていることが大事なのです。
 ゴチャゴチャなのが普通になることが怖いんです。午前中に打合せで人と会うことは、私にとっては×、ないしは△。反省するし、次の日は元に戻そうという意識になります。それが大事だと思います。

■「毎日同じように過ごすこと」が自分にとっての「自由」

 人によって自由を感じるポイントはいろいろでしょうが、私は自分の決めたスケジュール通りに過ごすことが自由だと思っています。
 決めた通りに動かないと、不確実性が増えますよね。たとえば、いつもより早い電車に乗ると、社内がすごく混んでいたり、ダイヤ通りに着かなかったり……。できる限り、不確実性は排除したいんです。
 イレギュラーを楽しむという気持ちもわかりますが、日常生活においてはイレギュラーなことを避けたい。
 どうしてそうなったというと、会社員時代に「週末起業」をしていたことが大きいですね。会社にいながら勤務時間外に自分のビジネスをしていると、時間をとことんシェイプしないといけない。自分の決めたスケジュール通りに行動することが一番効率的だという結論に達しました。やっぱり、時間の使い方で成果が変わります。
 徹底的に時間をシェイプするにあたって、いろいろなことがありました。職場の人間とはあまり付き合わなかったので、嫌味をいわれたし、ストレスも感じました。人との付き合いをなくすと、情報は入ってこなくなりますから。特に、誰かが転勤するとか結婚するとか、人事情報にはうとくなりました(笑)。

■自分にとって一番貴重なのは時間

 何が一番貴重かといえば、時間だと思います。お金はどんどん稼ぐことが可能ですが、時間は増やすことも人からもらうこともできません。時間=命ですから、時間は本当に大事です。
 よく「会社を定年したら、やりたいことをやります」と言う人がいますけど、高齢になったらできないこともあります。そのときじゃないとできないことは絶対にありますから。
 会社員でいながら「週末起業」をしていたとき、犠牲にしていたものはあったと思います。まあ、あのまま働いていても出世はしなかったでしょう。なんだかんだいって、長くデスクに座っている人はがんばっているように見えますし、実際に成果も出るのではないでしょうか。
 もちろん、短時間で結果を出す人が一番すごいのですが、もし出ないんだったら、長く働いたほうがいい。ダメなのは、短時間しかやらないで成果も出ない人。会社からすると、一番評価が低いはずです。

■意識が変われば、ルールは変わる

 会社の就業規則って、昔からほとんど変わらないですよね。相変わらず、副業禁止と書いてあるところが多い。少しずつ減ってはきていますが、いまだにある。副業禁止については、もう少し自由にしたほうがいいと思います。
 会社の業務に没頭してほしいということなんでしょうけど、働く側も会社の考え方にあわせてしまっている部分があるとも思います。どれだけ忠誠を尽くしても、守ってくれるわけではないので、うまく立ち回ってほしいと思います。
 長いキャリアの中で、突然会社がなくなったり、辞めろと言われることがあるかもしれない。そんな「もしものとき」のために、備える必要があります。普段から情報取集をして、人脈づくりをしようとか、スキルを高めようと考えたほうがいい。
 働く側の意識が変わらないから、就業規則も変わらないのかもしれない。就業規則って本来、就業時間中だけのことでいいはずです。休日の使い方まで縛られるのは理不尽だと思います。社員だから、サラリーマンだからといって、それをただ受け入れるのはおかしいのではないでしょうか。

 私は、サラリーマンの方に起業の指導をしているのですが、一番困るのは「何をやっていいのかわからない」という人。趣味も夢も、やりたいこともない。そういう人が多いんです。
 それは、何十年も仕事しかしていないからです。せめて趣味を持ってほしい。好きなこと、「これだったら仕事にできるかも」ということを持ってほしい。
 「ライスワーク」と「ライフワーク」と言う人がいます。「ライスワーク」はお金を稼ぐためのもの、「ライフワーク」は本当にやりたいことというわけです。
 食べていくためにする仕事もあるでしょうが、食うための仕事以外にやりたいことを持っていてほしい。いい大人が、「やりたいことがわからない」というのは困りものですよね。
 これまでは、会社の名刺によっていろいろな人と関連を持つケースが多かったのですが、名刺が象徴していたものがFacebookなどにとってかわられています。大切なのは、会社関係の人脈だけではなく、個人としての人脈をどれだけ持てるかでしょうね。
 みなさんの意識が変われば、ルールは自ずと変わってくるはずです。

藤井孝一

経営コンサルタント
(株)アンテレクト代表取締役
慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

■関連サイト
角川EPUB選書 創刊記念 ルールを変えよう!キャンペーン 特設サイト

ルールを変えようキャンペーン

関連記事

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう