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買いはi7-4930K ベンチマークでわかったIvy Bridge-Eの実力

2013年09月03日 16時01分更新

Ivy Bridge-E

 インテルの最新ハイエンドクラスCPU、開発コードネーム:Ivy Bridge-Eが発表されました。コンシューマー向けのハイエンドクラスでは、前世代のSandy Bridge-Eが2011年の11月ですから、実に1年10ヵ月ぶりです。待ってた方も多いのではないでしょうか?

Ivy Bridge-E
型番 コア/
スレッド
動作クロック
(TB最大)

 
L3
キャッシュ
対応
メモリー
TDP US
価格
i7-4960X

6/12

3.6GHz
(4GHz)
15MB 4チャンネル
DDR3 1866
130W 999
ドル
i7-4930K 6/12 3.4GHz
(3.9GHz)
12MB 4チャンネル
DDR3 1866
130W 555
ドル
i7-4820K 4/8 3.4GHz
(3.9GHz)
10MB 4チャンネル
DDR3 1866
130W 317
ドル

 

 Ivy Bridge-Eは3次元トライゲートトランジスター技術による22nm世代で、TDPこそSandy Bridge-Eと同じ130Wですが、実使用上の大幅な省電力化が期待されています。サポートメモリーも4チャンネル動作の点は同じですが、DDR3 1600から1866へ向上。

 また、Sandy Bridge-Eと同様、ソケットはLGA2011、チップセットはX79なので、Sandy Bridge-E(Core i7-3960X、Core i7-3930K、Core i7-3820)ユーザーはCPUを買い換えれば使えます。その際、マザーボードはIvy Bridge-E用の最新BIOSへのアップデートが必要です。

 今回の検証ではあらかじめIvy Bridge-Eに対応するBIOSを採用したASUSの最新X79マザー『X79-DELUXE』を使いました。なお、Sandy Bridge-Eとの比較のほか、Haswell世代のメインストリームCPUである、Core i7-4770Kも比べましたので参考にしてください。メモリーはDDR3 1600 2GB×4枚、グラフィックボードはGeForce GTX760で合わせました。

■検証環境
●LGA2011
CPU:Core i7-4960X、Core i7-4930K、Core i7-4820K、Core i7-3690X、Core i7-3930K、Core i7-3820
マザーボード:ASUS『X79-DELUXE』(X79)
CPUクーラー:インテル『RTS2011AC』(純正空冷)

●LGA1150
CPU:Core i7-4770K
マザーボード:ASUS『Z87-A』(Z87)
CPUクーラー:インテル『Core i7-4770K』付属品

●共通
メモリー:キングストン『KHX1600C9D3LK2/4GX』(PC12800 DDR3 2GB×2枚組)×2
グラフィックボード:ASUS『GTX760-DC2OC-2GD5』(GeForce GTX760)
SSD:インテル『DC S3500 SSDSC2BB160G401』(SATA3、160GB)
電源ユニット:シルバーストーン『Strider Gold 850W』(850W、80PLUS GOLD)
OS:Windows8 Pro(64ビット)

CGレンダリング(その1)
Ivy Bridge-E
Ivy Bridge-E

 まずは定番CGレンダリングソフトの『CINEBENCH R11.5』。シングルスレッドではさすがに最新コアを採用したi7-4770Kが強いですね。しかしながら、フルスレッド動作となるマルチスレッドテストでは、LGA2011の6コア/12スレッド勢がいずれも10ptsを超えて圧倒。Ivy Bridge-E、Sandy Bridge-Eともに最上位とミドル製品の差が約1.03倍ですが、Ivy Bridge-Eのミドルi7-4930KがなんとSandy Bridge-Eの最上位i7-3960Xに勝利。これ、価格性能比ではかなりおいしいCPUじゃないですかね?

 ちなみに、最新のIvy Bridge-Eでも4コア/8スレッドのi7-4820Kはi7-4770Kに負けました。恐るべしHaswell。

CGレンダリング(その2)
Ivy Bridge-E
Ivy Bridge-E

 次に、『Shade 3D Professional Ver.14』によるCGレンダリングでテスト。モデリング済みの.shdファイル(66.8MB)をレンダリングしました。順位はCINEBENCH R11.5と同じですが、i7-4770Kが大健闘しております。とはいえ、Ivy Bridge-Eの6コア勢は33分20秒以下でワンクラス上の印象。

ギガピクセルパノラマ作成
Ivy Bridge-E
Ivy Bridge-E

 225枚のJPEGを1枚に合成し、1枚6万2332×1万4504ドットのTIFFファイルを作成するギガピクセルパノラマ作成テスト。こちらもCPUパワーをとんでもなく使う試験で、ソフトはkolor社の『autopano giga 3』を使用しました。結果は、CGレンダリングテスト同様で順当です。あいかわらずi7-4930Kは11分台とSandy Bridge-E最上位のi7-3960Xに勝利し続けています。

動画エンコード
Ivy Bridge-E
Ivy Bridge-E

 さて、動画エンコードではどうでしょう?『TMPGEnc Video Mastering Works 5』を使用し、再生時間11分50秒のフルHD動画(AVCHD)を1280×720ドットのiPad2用mp4へ2パスで高画質変換してみました。結果はご覧のとおり、やはりi7-4960Xと4930Kがいずれも20分を切り、ワンツーフィニッシュ。動画エンコードでもその優位性は保てそうです。ちなみに、QSVを利用した動画エンコードではi7-4770Kが圧倒的なのでそんなに画質にこだわらないよーと言う方はi7-4770Kも十分魅力的な選択肢ですね。

Ivy Bridge-E

 ここからはCPU温度や消費電力を見ていきましょう。CPU温度は3シーンで計測しました。autopano giga時は、パノラマ合成作業中のピーク温度ですが、極悪負荷のOCCT実行時にほど近い温度が出ました。Ivy Bridge-E勢はいずれもSandy Bridge-E世代の同クラス製品よりも作業中のCPU温度が低くなっています。CPUクーラーが違うので、i7-4770Kの値は参考としてご覧ください。

Ivy Bridge-E

 システム全体の消費電力でも3シーンぶん計測。i7-4770K搭載のLGA1150環境ではOCCT時でも150ワット未満と、LGA2011の4コア勢と比べてかなり優秀なのはさておき、ここでも注目はやはりi7-4930K。Ivy Bridge-EとSandy Bridge-Eの最上位対決ではOCCT時で32ワットほど消費電力がダウンしてますが、ミドル対決では39ワットも省電力になってました。これぞ22nmの省エネ性能ですね!

 まとめますと、

・Ivy Bridge-EはSandy Bridge-Eと比べ、性能向上は1割程度にとどまるが、高負荷時で30~40ワットほど省電力になった

・Ivy Bridge-Eのミドル製品Core i7-4930Kは、CGレンダリングやパノラマ合成において、Sandy Bridge-E世代の最上位Core i7-3960Xよりも高性能。

・4コア/8スレッドのLGA2011対応CPUはCore i7-4770Kに負ける場合がほとんど。

 というところ。Ivy Bridge-Eの発売は9月11日予定。もろもろかんがみて国内市場における予想実売価格はCore i7-4960Xが11万8000円前後、Core i7-4930Kが6万8000円前後、Core i7-4820Kが3万4000円前後でしょう。とはいえ、Sandy Bridge-E世代の最上位であるCore i7-3960Xが10万円前後ぐらいですから、性能も省電力性も上のCore i7-4930Kはかなりお買い得に見えてきたイッペイでした。

■関連サイト
インテル

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