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Windows情報局ななふぉ出張所

Windows Phoneの“ツートップ”はどれ?

2013年07月30日 17時00分更新

 NTTドコモが2013年夏モデルに採用した“ツートップ”戦略が、スマホ業界で話題となっています。それでは、すでに多数の端末が存在するWindows Phoneにおいて、勝手に“ツートップ”を選ぶとすれば、どれにすべきでしょうか?

■ハイエンド端末Lumia 1020ははずせない

 Windows Phone 8のローンチと同時に発表された各社のWindows Phone 8端末のうち、フラッグシップに位置するのはノキアの『Lumia 920』、HTCの『Windows Phone 8X』、サムスンの『ATIV S』の3機種でした。いずれもWindows Phone 8から導入されたHDクラスの画面解像度を採用しているのが特徴です。

 その後、ノキアは900番台としてLumia 928やLumia 925を相次いでリリース。さらに初の1000番台となるLumia 1020を発表し、先週末には米国でAT&T版が発売されています。

 “ツートップ”の1機種目として、まずはLumia 1020を選んでおきたいと思います。

Windows Phoneの“ツートップ”はどれ?
↑ツートップとして申しぶんないハイエンドのLumia 1020。

 Lumia 1020の特徴は、なんといっても圧倒的なカメラ性能です。『Nokia 808 PureView』で採用された41メガピクセルのイメージセンサーを、初めてLumiaシリーズに搭載。露出やISO感度、マニュアルフォーカスなどを、まるでデジカメのように容易に設定できるインターフェースも斬新です。グリップや三脚穴を備えたカメラグリップもユニークです。

■もう1台はどうする?

 さて、Lumia 1020以外にもう1台選ぶとすれば、どの端末がよいでしょうか?

 ほかにもLumia シリーズはバランスのいい720や小型で手に馴染む620など、豊富なバリエーションがあります。ほかにも、HTCやサムスン、最近ではファーウェイもWindows Phone 8端末をリリースしています。

 それでは、マイクロソフトはどう考えているのでしょうか。最近の海外イベントの基調講演から、そのヒントを探してみることにします。

 6月にサンフランシスコで行なわれたBUILD 2013の基調講演では、米マイクロソフトCEOのスティーブ・バルマー氏がWindows Phone端末としてLumia 928、Lumia 925、Lumia 521の3機種を紹介。最初にLumia 928と925を両手に持ち、次に低価格端末としてLumia 521を紹介しました。

Windows Phoneの“ツートップ”はどれ?
↑バルマー氏はまずLumia 928と925を紹介。
Windows Phoneの“ツートップ”はどれ?
↑続いてLumia 521を「低価格だが優れた端末」と紹介した。

 一方、7月にヒューストンで行なわれたWPC 2013初日の基調講演では、Windows部門のCMO兼CFOだったタミ・レラー氏が、Lumia 928とLumia 925を紹介。それに続くデバイス紹介のコーナーで、OEM部門のCorporate Vice Presidentのニック・パーカー氏はLumia 925とLumia 520を紹介しました。

Windows Phoneの“ツートップ”はどれ?
↑基調講演のデバイス紹介コーナーで展示されたのはLumia 925と520。

 ここでは世界中から集まったパートナー各社を意識してか、T-Mobile USAのLumia 521ではなく、グローバル向けのLumia 520が紹介されました。

Windows Phoneの“ツートップ”はどれ?
↑グローバル向けのLumia 520を手に持つニック・パーカー氏

 さらにWPC 2013の3日目の基調講演では、COOのケビン・ターナー氏がLumia 928、Lumia 925、Lumia 521を紹介。特に、「Lumia 925があればiPhoneは不要」と宣言したことで、会場は大きな拍手に包まれました。

Windows Phoneの“ツートップ”はどれ?
↑「Lumia 925があればiPhoneはいらない」と力説するケビン・ターナー氏。

 Lumia 925は、シリーズ初となる金属ボディーを採用したことで薄型・軽量化を果たしており、Lumia 920に比べて大幅に持ち歩きやすい端末です。このLumia 925も捨てがたいところです。

■低価格スマホとして躍進するLumia 520/521

 しかしここでは、低価格のLumia 520を“ツートップ”の2機種目に選びたいと思います。その理由は、Windows Phoneが大きく販売台数を伸ばしている新興市場では、やはり優れた低価格端末が重要になるからです。

 WPCの基調講演においてケビン・ターナー氏は、Windows Phoneがラテンアメリカ、インド、中東・アフリカなどの地域で大きく伸びていることを発表しました。また、すでに10ヵ国において、Windows PhoneのシェアがiPhoneを上回っていることにも言及しました。

Windows Phoneの“ツートップ”はどれ?
↑Windows Phoneは新興市場で大きく伸びている。

 OSシェアではWindows Phoneに大きく差を付けて2位にとどまるiPhoneですが、新興市場ではそれほど伸びていません。たとえばロシア最大のキャリアであるMTSは、iPhoneの販売を中止し、その代わりにWindows Phoneの販売拡大に注力するとのこと。アップルが強気な姿勢を崩さない一方で、ユーザーは低価格端末を求めています。このような状況で板挟みになったキャリアにとって、Windows Phoneが第3の選択肢として浮上するケースは今後も増加しそうです。

 低価格Androidとの競争では、Lumia 520は絶対的な価格ではまだ高いと言えます。しかしWindows Phoneでは、Androidと異なり、一定レベルのユーザー体験が保証されています。同じ価格で品質を比較すれば、Windows Phoneでも十分に対抗できるのではないでしょうか。

 低価格端末が注目を集めるのは、新興国だけではありません。米国で若年層や低所得者層の契約者が多いMetroPCSは、初のWindows Phone 8端末としてLumia 521の取り扱いを発表。T-Mobile USAよりさらに安い99.99ドルという価格で、7月26日に発売されました。

Windows Phoneの“ツートップ”はどれ?

↑T-Mobile USAに買収されたMetroPCSからも、Lumia 521が発売された(Nokia USのFacebookページより)。

■ハイエンドはまだ始まったばかり、新興市場では廉価版iPhoneに対抗

 このようにLumia 1020とLumia 520は、Windows Phone 8のなかでも特に有望な2機種であると筆者は考えています。しかし、ハイエンドとローエンドのWindows Phone 8端末はまだまだ頭数が足りないとも感じています。

 たとえばLumia 1020のカメラ以外の基本性能は、2012年10月発売のLumia 920と大きな差がありません。今後、Windows Phone OSやSDKをアップデートし、フルHDを含む最新ハードウェアに対応することが求められます。もちろんLumia 1020はカメラだけを目当てに購入する価値はあるものの、年末商戦に向けて、さらなるハイエンド端末にも期待したいものです。

 ローエンド端末では、Lumia 520のバリエーションや、さらなる低価格端末が期待されます。今秋には廉価版のiPhoneが発表されるとのうわさがあるからです。現在のところ、iPhoneが弱い市場において、Windows Phoneはうまく勢力を伸ばしています。しかし新興市場のユーザーに手の届く価格で廉価版のiPhoneが投入されれば、大きく勢力図が塗り変わる恐れもあるのです。iPhoneを迎え撃つにあたって、まずは端末ポートフォリオを十分に分厚くしておきたいところです。

山口健太さんのオフィシャルサイト
ななふぉ

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