週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

7月30日に82時間生中継ダイオウグソクムシ人気のワケ

2013年07月29日 19時30分更新

 深海200~1000メートルほどの深さに生息している海生甲殻類の一種“ダイオウグソクムシ”。巨大ダンゴムシとカニを掛け合わせたような外見で、そのキモカワイさから一躍時の人ならぬ、時のグソクムシに! きっかけはニコニコ生放送だ。

ダイオウグソクムシたん

 2009年1月2日に約50グラムのアジ1匹を食べて以来、約5年間もエサを食べていない鳥羽水族館の通称“1号たん”を始めとするダイオウグソクムシを観ようということで、3月29日より48時間の水槽生中継を実施。なんと75万人もの視聴者数、130万件のコメント数を記録。続いて4月30日にも60時間の生中継を実施し、こちらの視聴者数は87万人、コメント数は128万件という大盛況に終わった。

 そんな人気放送の仕掛け人、株式会社ドワンゴコンテンツの営業本部コンテンツ営業部の長尾健太郎さんに話を聞くことができた。

ダイオウグソクムシ

──企画立案のきっかけは?

 もともと水族館の飼育員にあこがれていた時期があり、生物が好きでした。なので、動物関連のニュースなどは幅広く見ていたというのがあります。そんなとき、伊勢志摩経済新聞というウェブ記事で、絶食記録を更新し続けている鳥羽水族館のダイオウグソクムシ“1号”を知ったのがきっかけです。

 深海生物なので、基本的には活性が低いのですが、約5年もゴハンを食べていないのは珍しい事例です。しかもなぜ、食べずに生きていられるのかは解明されていないところに興味を持ちました。

──そこで24時間体制で監視してみようと?

 もしかすると“夜中にゴハンを食べている可能性もあるのでは?”と思ったのも動機のひとつです。人の居ない水族館というのも興味深いですよね。ダイオウグソクムシの水槽の隣にはバイカルアザラシも居て、変な鳴き声が聞こえてきたり、水槽の壁をバンバン! と叩く音が聞こえてきたり、意外と賑やかなんだなと(笑)。こうした普段見えない一面を体験できたのも盛り上がっていたなと感じます。

──反響は大きかったですか?

 コメントを見ていると、やはり生物全般に興味を持っているリスナーさんが多いと感じました。なかには大型テレビに生中継の映像を映して、自宅に水槽があるかのような雰囲気を楽しんでいる方もいらっしゃるというのを聞いています。

ダイオウグソクムシ

──放送中はひんぱんに運営コメントがありましたね

 制作者サイドとしての遊び心というのはあります(笑)ただ、ダイオウグソクムシがひっくり返ったりして、リスナーさんが心配するコメントをしても、司会者や放送主が出演しているわけではないので、コメントに対するレスポンスがない状態になります。それはさみしいと思うんです。ボクは放送中、ずっとホテルで番組を監視しているので、そんな事を考えながら、コメントを下さったリスナーさんに対して運営コメントを書き込んでいました。

──ニコニコだからこその取り組みですね

 コメントがあるからこそ、この放送は人気になったと思うんです。 ダウオウグソクムシは何時間も動かない事もあるのですが、そんなときリスナーさんどうしがコメントを使ったゲームを始めたりと、ニコニコ独特の方法で、流れる時間を共有して、みんなで楽しんで下さっているなと感じていました。

 また、ずっと放送を見ているリスナーさんの中には、ダイオウグソクムシにとても詳しくなっちゃった人もいて、他のリスナーさんや、鳥羽水族館の水槽近くに設置してあるニコニコ動画のモニター越しに、来館者の方に説明をしてあげている様子も見られました。

 さらに、ダイオウグソクムシの熱狂的なファンを“グソラー”と呼んだり、朝の挨拶にはグッソモーニング、夜はグッソイブニングなどの言葉も誕生していましたね(笑)こちらが演出しなくても、ユーザー間でこうした発展をしていくのが面白いなと思います。

──ちなみに、2回目の60時間生中継が決定したいきさつは?

 シーズン1が好評だったというのが単純な理由です。ちなみにシーズン2を60時間としたのは“なんとなく”です(笑)ただ、もし次回やるとしたら、いったい何時間にすれば良いのか…と、頭を抱えていました。

──ということは次回放送は予定している?

 あります! 7月30日、午前8時から“【82時間】ダイオウグソクムシたん中継シーズンIII@鳥羽水族館”を放送します。ウミサボテン、フィロゾーマの幼生(日本でここだけ)、フウセンウオ、ポルカドットバットフィッシュなど変わった生き物が盛りだくさんなので、楽しみにして下さい!

■ダイオウグソクムシ生中継シーズン3決定
 3回目は放送時間を82時間に拡大して、ダイオウグソクムシの生放送を実施。また、7月13日に鳥羽水族館内にオープンした、ダイオウグソクムシを始めとする、“生態がよくわからない生き物”や、“風変わりな生き物”55種300点を展示する“へんな生きもの研究所”の生物たちも紹介予定だ。

 しかも“へんな生きもの研究所”のダイオウグソクムシ水槽は、以前よりサイズが大きくなり、おなじみの1号、5号、7号たんに加えて新たに8匹が加わっている。今回の放送では、その新入りを含めた合計11匹のダイオウグソクムシが出演するぞ!

■関連サイト
【82時間】ダイオウグソクムシたん中継シーズンIII@鳥羽水族館

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう