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Apple基調講演15 Macへの回帰 OS X Lionと第2世代MacBook Air|Mac

2013年06月16日 20時00分更新

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■自分たちの原点=Macに帰ろう

 iPhoneのブレイク以降、iPod touchやiPadと立て続けにヒットを飛ばしたApple。同社はこの3年ほどの間に、iOSデバイスによって一気に世界一の「モバイルカンパニー」へと成長した。だがAppleは、自らの立ち位置を忘れてはいなかった。「Back to the Mac.」というこのイベントのサブタイトルは、「自分たちはもともとMacの会社なのだ」という矜恃を感じさせた。

 ホストを務めるのはスティーブ・ジョブズCEO。しかし、冒頭のあいさつを済ませると、ジョブズは早々にオペレーション担当に上級副社長(当時)のティム・クックに壇上を譲る。いつもの前振りとしての業績報告は、クックが淡々と説明していった。

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 クックは、2010年度のAppleの収益のうち33%がMacによるものであること、額面にして220億ドル(約2兆2000億円)であることを報告。米国のパソコン市場でMacのシェアは20%を超え、顧客満足度やカスタマーサポートでもトップの評価を受けていると述べた。

 また、自分の担当領域であるリテールストア(直営店)についても触れ、店舗数が順調に伸びており、世界で318件に達したと語った。

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■iLife '11をリリース

 再び壇上に戻ったジョブズは、「次は新しいiLifeを発表する」言ってiMovieの新機能の概要を簡単に述べると、またさっさとステージを下り、ほかの幹部たちにデモを実施させた。今回のイベントは万事この調子で、ジョブズが小刻みに壇上に上がるスタイルだった。心なしか、1カ月前のイベントよりもさらに痩せたように見え、前半は声の張りもいまひとつだった。

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 デモでは、iPhoto、iMovie、GarageBandの新バージョンが披露された。iMovieはマーケティング担当上級副社長のフィル・シラーが、iMovieはランディ・ユービロスが、GarageBandはザンダー・ソーンがそれぞれ実演。

 これらのデモを見ていて感じるのは、Apple特有の企業風土だ。デモされたiLifeの各アプリはいずれも、素人同然のユーザーにいかに写真や動画、音楽を楽しんでもらうかという視点で設計されているということだ。iMovieで映画の予告編風の動画を簡単に作成できる「予告編」機能などは、その好例と言える。

 ハードとソフト、サービスを1社で提供しているのがAppleの強みだとしばしば言われる。しかし、それはAppleがこのように「ユーザーの生活をいかに楽しく便利にするか」を追求していった結果に過ぎない。この講演を見ると強くそう感じる。

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■箸休め的に紹介されたMac版FaceTime

 さて次はいよいよ次期OS Xの発表か、と会場が期待していたところに、ジョブズは軽く変化球を挟んできた。それがMac版FaceTimeの発表だ。ジョブズとシラーにより非常に短いデモが実施された後、今日からベータ版が配布されると報告。たったそれだけのことだが、会場が妙に和やかな雰囲気になるのがわかる。

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■お待ちかねのOS X Lionプレビュー

 講演が後半に入り、ジョブズはようやくイベントの本題になった。すなわち次期OS X「Lion」だ。我々はOS XからiOSを派生させ、iPhoneを作った。その経験を生かして作ったのがiPad。そして今度は、iOSデバイスで培った経験をMacに生かす時だ……。「Back to the Mac.」の意味を、ジョブズはそう説明した。

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■Lionのデモはクレイグ・フェデリギ

 フルスクリーンアプリやMac App Store、Mission ControlといったLionの新機能をデモしてみせたのは、ソフトウェア開発担当上級副社長のクレイグ・フェデリギ。先日(2013年6月10日)開催されWWDC2013でOS X MavericksとiOS7両方の紹介を担当し、その存在感を急激に増大させた人物だ。しかしこの頃は、まだ控えめなデモンストレーターといった風情だった。

 

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■One more thingは第2世代MacBook Air

 Lionのプレビューが終わるとジョブズはその日の講演をおさらいし、これで本日のイベントはお終い、という雰囲気を醸し出した。もちろん、監修が「One more thing」を期待しているは承知の上だ。そして笑顔で「One more thing」のスライドを表示させ、第2世代のMacBook Airを発表した。

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 MacBook Airが爆発的な人気を呼ぶのは、この第2世代モデルからだ。価格がぐっと手頃になり、またよりコンパクトでプライスパフォーマンスの高い「弟分」(younger brother)、すなわち11インチモデルも加わった。メインマシンとして通用する性能を持ちながら、容易に持ち歩けるだけのサイジング、そして低価格と、新時代のエントリーモデルとして認識されるようになる。ソフト、ハードともに充実した内容のイベントだった。

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 前々回の講演からジーンズにベルトを巻くようになったジョブズだが、本講演では、そのベルトを何度も引き上げる仕草を見せた。こうして毎週の基調講演を振り返っていると、ジョブズの衰えていく様がなんとも痛ましい。

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